ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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アムステルダム行き(11年12月)―ハイティンク指揮ロイヤルコンセルトヘボウ管―Rシュトラウス
12月25日午前10時50分発のタリスでアムステルダムへ。ベルギーからオランダに近づくにつれて街並みが整頓されていくのが面白い。ロッテルダム以北は、近代的な街並みだ。

街の中心部をしばし散策の上、午後2時すぎにコンセルトヘボウへ。この日は、ベルナルド・ハイティンク指揮ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団による定期演奏会。リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」及び「アルプス交響曲」が採り上げられた。

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筆者の座席は、平土間20列目センター。コンセルトヘボウの平土間席は30列目まであるが、予想よりも奥行きは浅く、20列目であっても舞台が近く感じられる。

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今回は奮発して最高ランクのチケットを購入したが、筆者の座席で聴いたコンセルトヘボウの響きは、オーケストラサウンドに対する筆者の認識を塗り替える衝撃的なものであった。豊麗な残響を伴いながらも、細部まで克明に聴こえる。弦楽器の柔らかな響きの層の中で、華やかな管楽器が、あるときは見事にブレンドされ、あるときは煌びやかに立ち上がるのだ。また、奏でられた響きが密度を保ったまま持続するため、ホール全体が和声感を演出しているようにも感じられた。肉声がよく通るのも素晴らしい。

響きの豊かさや柔らかさでこれに匹敵するのは、ウィーン楽友協会だが、あちらは、独特のムードが強く、またダイナミクスレンジに対するキャパシティが小さいという問題を孕む。コンセルトヘボウは、空間が大きい分、その点の心配はない。他方で、音の分離の良さの点では、ケルンのフィルハーモニーやミュンヘンのガスタイクが想起されるが、コンセルトヘボウは、これらのホールで感じるような機能的な響きとは無縁であり、響きの質が違う。世界一のホールと称する声も聞かれるが、その通りだと感じた。

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一曲目は「4つの最後の歌」。アニヤ・ハルテロスの独唱に心を打たれた。

「春」と「九月」は伸びやかで健康的に、「眠りにつくとき」はしっとり寂しげに、「夕映えの中で」はむしろ前向きに。それぞれの歌曲の内容が丁寧かつダイナミックに表現されていた。オーケストラの繊細な響きとのマッチングも素晴らしかった。

なお、ハイティンクは、4つの歌曲を続けて演奏したかったようだが、ハイティンクが指揮棒を構え続けているにもかかわらず、それぞれの歌曲の演奏が終わるたびに、客席から多数の咳が発生し、中断を余儀なくされていた。4曲続けて聴くことができていれば、この日の演奏の印象は、より違ったものになっていたであろう。ともあれ、演奏中は、ほとんど雑音がせず、静寂が保たれていたので、鑑賞上の支障はなかった。

一曲目が終わった時点で、満場のスタンディングオベーション。それに匹敵する演奏であったと思われる。

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二曲目は「アルプス交響曲」。壮麗で立派な演奏であった。

ハイティンクは、繊細な弱音から豪快な最強音まで、音のパレットを描くかのように、ロイヤル・コンセルトヘボウ管から、ありとあらゆる響きを引き出していた。美しい山並みというよりは、ゴツゴツした岩肌に近い無骨なアプローチだが、全体のバランスが完璧にコントロールされているため、荒さは感じられない。オルガンまで動員される超巨大編成ゆえ、コンセルトヘボウの音色を隅々まで堪能することができた。永年の信頼関係が成せる業だろう。ハイティンクの愚直さとオーケストラの真面目かつ真剣な姿勢が相まって、この日の演奏に一体感がもたらされていた。

ただ、この日の演奏は、彼らのベスト演奏とまではいえないようにも感じた。

弦楽器や木管楽器に関しては、ハーモニーは申し分ないのだが、ユニゾンで音が滲む場面が散見されたのが気になった。もっとも、この点は、コンセルトヘボウの音響が良すぎるがゆえに、粗が目立ってしまったのかもしれない。

また、首席トランペットに関しては、高らかに鳴らすべき箇所で音が萎える瞬間があるなど、守りに入っているようにも見受けられた。その他の金管楽器も、ごく稀にではあるが、傷が生じ、100点満点の仕上がりとまでは言えなかった。

加えて、ハイティンクのアプローチでは、場面に呼応したムードが一切排除されているので、音色の変化に乏しく、特に後半は、筆者自身の緊張感が途切れそうになる瞬間が何度かあった。この点は、ハイティンクの芸風なので致し方ないが、この作品は、純粋に管弦楽的にアプローチするには、やや厳しい作品であるようにも感じられた。

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以上のとおり、若干の弱さもあったが、全体としては、世界のトップレベルと断言できる水準にあり、ロイヤル・コンセルトヘボウ管の名に恥じない仕上がりであったと思われる。

二曲目が終わった後も、満場のスタンディングオベーション。コンセルトヘボウでは、スタンディングオベーションが通例なのであろうか。

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終演後は、街中を散策してみたが、目ぼしいお店はどこも店を閉じていたため、時間を持て余してしまった。20時16分発のタリスでブリュッセルへ帰る。


(公演情報)

Zondag 25 december 15:00
Grote Zaal

Koninklijk Concertgebouworkest
Bernard Haitink - dirigent
Anja Harteros - sopraan

R. Strauss - Vier letzte Lieder
R. Strauss - Eine Alpensinfonie, op. 64
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[2011/12/27 02:31] | 海外視聴記(アムステルダム) | トラックバック(0) | コメント(2) |
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