ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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モネ劇場―マスネ「シンデレラ(サンデリヨン)」(2回目)
12月28日午後7時半すぎ、モネ劇場へ。演目は前回と同じくマスネ「シンデレラ(サンデリヨン)」だが、今回はBキャストの日で、サンデリヨン役と王子役が前回と異なる。また、クリスマス明けの3公演は指揮者も交替しており、この違いがどのように現れるかが筆者個人の最大の関心事だった。

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筆者の座席は、Balcon 2の下手側サイドの1列目。あえて舞台に近い座席を選んでみた。舞台が一部見切れるが、役者の表情を窺えたり、オーケストラピットの中を覗いたりできるので、前回とは異なった楽しみ方が出来た。

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舞台は、とても安定している。各役者の演技に関しては、奇をてらう動きはないし、演出家から細かく指示を受けた形跡もないが、合唱の一人ひとりに至るまで、舞台人としての晴れ晴れとした表情が板についており、こういう仕草が自然に出来ているあたりは、さすがというほかない。

王子とサンデリヨンの二重唱や、サンデリヨンとパンドルフの二重唱など、音楽的に内容の濃いシーンでは、「静」を基本とし、一般的なオペラの演出と異なるところはないにもかかわらず、全体として舞台に変化と緊張感が漲っていたのは、立ち位置のプランニングの秀逸さ、そして役者が多く登場する「動」のシーンにおける変化の多彩さに起因するのではなかろうか。個々を見ると、動きはシンプルだが、立ち位置やタイミングを微妙にずらすことで舞台に奥行きが出る。また、舞台上の役者全員がバタバタと動き回った直後に、ある一定の方向に向けてストップモーションで視線を送るといった手法も、遠近法の一種として効果的に用いられていた。また、合唱団の中に混じったバレエダンサーらが積極的に身体を動かすことで、合唱団の動きにもリズム感が生み出されていた。

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キャスト陣に関しては、クリスマス休暇で身体を休めたためか、ダブルキャストではないキャスト陣の歌唱の伸びは、前回よりも良かった気がする。サンデリヨン役のリナート・シャハムは、Aキャストのアンネ・カトリーヌ・ジレと比べると、表情の変化や声の伸びの点では、若干物足りなかったが、大人なサンデリヨンで、悲痛さや孤独さの表現に関しては、より迫るものがあった。王子役は、Aキャストとは異なり、テノールが務める。フレデリック・アントゥーンが演じたが、歌唱も演技も申し分なかったものの、「シンデレラ(サンデリヨン)」という作品の性質に照らすと、メゾソプラノが演じた方が説得力がある気がする。というのも、男性的な仕草に関しては、当然のことながら、テノールが演じた方が様になるのだが、王子とサンデリヨンが男女のペアで演じられると、少年と少女の物語というイメージからかけ離れ、通俗的な男女の恋物語という雰囲気が強く出てしまうからだ。無垢な王子と母性愛を秘めるサンデリヨンという組み合わせがベストではないかと感じた。

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モネ歌劇場管は、この日も好演。サミュエル・ジャンの指揮は、要所を押さえた捌き方で、テンポよく音楽を運んでいた。アルティノグリュと比べると、振り方が大雑把なので、音楽の緻密さは後退したが、骨太で腰の据わった開放的な響きで、モネ歌劇場管らしい素朴で自由なサウンドが展開。アルティノグリュの指揮では、マスネの描いた室内楽的な響きが強調されていたが、ジャンの指揮では、逆にシンフォニックなスケールの大きさが浮かび上がっていた。前回とは座席が異なり、この日はオーケストラピット内の生々しい音がダイレクトに届く場所であったため、単純な比較は出来ないが、同一のプロダクションといえども、指揮者によりこれだけ音色が異なってくるというのは、面白い発見であった。

カーテンコールでは、特に階上席から盛大なブラボーが飛んでいた。日による母集団の違いも興味深い。

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この日は、筆者にとっては、ブリュッセルでの最後の音楽鑑賞であった。二日後の朝には、ブリュッセルを発つ。実質4ヶ月ではあったが、ブリュッセルという街で繰り広げられる数々の演奏会に接し、良くも悪くも多くのことを学んだ。なお、モネ劇場に関しては、公演終了後1ヶ月間は、ネット上で上演の模様を鑑賞することができる。今後も定期的にチェックしていこうと思う。

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(公演情報)

We 28 December 2011, 20:00 (La Monnaie)

Music direction / Samuel Jean
Director / Laurent Pelly

Cendrillon / Rinat Shaham
Le Prince Charmant / Frédéric Antoun
Mme de la Haltière / Nora Gubisch
La Fée / Eglise Gutiérrez
Noémie / Ilse Eerens
Dorothée / Angélique Noldus
Pandolfe / Lionel Lhote
Le Doyen / Yves Saelens
Le Surintendant des plasisirs / Quirijn de Lang
Premier Ministre / Donal J. Byrne
Le Roi / Patrick Bolleire
Premier Esprit / Yuhmi Iwamoto
Deuxième Esprit / Charlotte Cromheeke
Troisième Esprit & Une Jeune Fille / Caroline Jestaedt
Quatrième Esprit & Une Jeune Fille / Amalia Avilan
Cinquième Esprit & Une Jeune Fille / Audrey Kessedjian
Sixième Esprit / Camille Merckx
Le Héraut / Pascal Macou

Orchestra / La Monnaie Symphony Orchestra & Chorus
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[2011/12/29 09:54] | 海外視聴記(ブリュッセル) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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