ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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カンブルラン指揮読響―第548回名曲シリーズ「フランク/交響曲」ほか
4月21日午後6時前、サントリーホールへ。シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団による第548回サントリーホール名曲シリーズ。4月の定期演奏会からの振替分である。

この日は、フランクの交響曲をメインに据えたプログラムで、前半には、メシアンやイベールの作品が配された。カンブルランの選曲のセンスが光る。

座席は1階12列右側。同じ12列目でも、いつもの指定席である中央とはだいぶ響きが異なる。各楽器の音色が凹凸なくブレンドされて届く点、低弦セクションの厚い壁が金管セクションからの直接音をセーブしてくれる点、前列に座る人の頭が視界の妨げにならない点で、中央座席よりもストレスは少ないが、臨場感が若干薄れてしまうというデメリットもある。不思議なものだ。

プログラム前半一曲目は、メシアンの「ほほえみ」。モーツァルトを意識して書かれた最晩年の作品で、「この作品の中で約9分間、ほほえみが続くように願って書いた」とのことである。筆者の聴いた印象としては、この作品を聴いて微笑むことは至難の業であるようにも思われたが、ともあれ、この日の演奏では、作品の大部分を支配する静寂が緻密な響きによりしっとりと表現されており、メシアンの崇高な世界観が浮かび上がっていた。オーケストラ全体の響きのバランスがとても良く、読響の好調さが窺われた。トランペットのロングトーンがふらついていたのが残念。

前半二曲目は、イベールの「3つの小品」。愛らしい作品で、どこかリラックスした雰囲気が流れる。首席奏者による木管五重奏により演奏されたが、どの部分も丁寧かつ細やかに仕上げられており、クオリティは高かった。オーケストラの中で演奏する際にも、木管セクション全体として、これくらいの緊張感があればと思わずにはいられなかった。なお、筆者は、数日前に、レ・ヴァン・フランセを体感済みであったため、響きの広がりの少なさに物足りなさを感じざるを得なかったが、それは言わないことにする。

前半三曲目は、須川展也を独奏に迎え、イベールの「アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲」。軽快で楽しげな作品であり、悪くない仕上がりであったが、須川の独奏は、音の抜けがいまいちで、細かいパッセージのキレもパーフェクトとはいえなかった。もっとも、このような印象を持ったのは、筆者が座った場所のせいかもしれない。なお、オーケストラは、弦楽器が最大3プルトという小編成により演奏されたが、室内オーケストラのような刺激的なアンサンブルは繰り広げられず、単に人数が減っただけという印象にとどまった。

休憩を挟み、後半は、フランクの交響曲。フランクは、ベルギー生まれのフランス系作曲家だが、この作品自体は、ドイツ音楽の影響を強く受けている。カンブルランと読響のコンビが取り組むことにより、どのような化学反応が起きるかが筆者の最大の関心事であった。

結果は、文句なしの超名演と断言できるほどの完成度であった。全ての瞬間で和声が鳴りきっていて、響きの密度が非常に濃い。緊張の糸が途切れる箇所が一度もなかったのは、驚異的である。読響は、近年稀に見るほどの好調ぶりで、地に足がついた充実の演奏が見事であった。

カンブルランの職人的なタクトも冴えていた。響きが蓄積され、飽和しそうになる一歩手前で、キレの良いアウフタクトで舵を切り、重心を少し高めに誘導する。すると、重苦しさや力みが姿を消し、フランス流のしなやかさや色彩感が花開く。この絶妙なバランスは、魔術師の仕業としか思えない。また、旋律を情感たっぷりに歌わせているのに、テンポやリズムが弛緩しないのも、さすがである。霧の晴れ間からふっとパッセージを立ち上がらせる手腕にも、感心させられた。

本当に素晴らしい演奏であった。メシアンにおける静寂とフランクの冒頭における深遠な雰囲気のコラボも完璧であった。完成度の高さに加え、熱い想いが宿るのも読響ならではの魅力である。終演後の拍手の熱狂ぶりがこの日の演奏会の全てを語っていたように感じられた。

カンブルランの任期が2016年3月まで延長されたことが先日発表された。このコンビからますます目が離せなくなってきた。


(公演情報)

第548回サントリーホール名曲シリーズ

2012年4月21日(土) 18:00開演
会場:サントリーホール

指揮=シルヴァン・カンブルラン
サクソフォーン=須川展也

メシアン:ほほえみ
イベール:3つの小品 (Fl:倉田優、Ob:辻功、Cl:藤井洋子、Fg:井上俊次、Hr:松坂隼)
イベール:アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲
フランク:交響曲 ニ短調
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[2012/04/21 23:03] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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