ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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下野指揮読響―第535回定期演奏会「ドヴォルザーク/レクイエム」
3月12日午後7時前、サントリーホールへ。下野竜也指揮読売日本交響楽団による第535回定期演奏会。ドヴォルザークのレクイエムが採り上げられた。独唱陣は中嶋彰子、藤村美穂子、吉田浩之、久保田真澄の各氏が務め、田中信昭らの指導を受けた国立音楽大学合唱団が共演。コンサートマスターには、長原幸太がゲスト出演した。なお、出演を予定していたバスの妻屋秀和は、体調不良により急遽降板した。

筆者の座席は、指定席であるRB9列目。入場者数は7、8割程度か。年度末の繁忙期を迎え、欠席者が割と多かったようだ。業務の都合で、筆者自身も危うく欠席になるところであった。

さて、この日の公演で最も光っていたのは、国立音楽大学合唱団の健闘ぶりである。ポリフォニックな和声の遷移が鮮やかに浮かび上がり、純度の高いハーモニーを存分に愉しむことができた。声に若さが残る点や、ところどころ下支えが不足する点、また音量的な拡がりに不十分さが残る点など、理想を言い出せばきりがないが、作品と真剣に向かい合った彼らの素直な気持ちがそのまま音として伝わってきており、日本で聴く合唱の演奏の中でも高く評価されるべき仕上がりであったといえる。

他方、全体としての仕上がりに関しては、前評判の高さに照らすと、必ずしも十分なものではなかったように感じた。

下野のタクトは、全体的に綺麗に磨き上げられたサウンドを志向していた。各楽器に対する表情付けも念入りに行われており、よく整理されていた。しかし、演奏全体としてみると、この作品の捉え方をめぐって、ステージ上で十分に認識が統一されていなかったようにも見受けられる。各奏者はそれぞれの想いを抱きながら演奏していたと予想されるが、そのベクトルが一つに束ねきれていなかったようにも感じられた。表向きはまとまっているが、どこか物足りない。

また、オーケストラに関しては、主に響きの点で課題が残る仕上がりであったことも指摘せざるを得ない。今回演奏されたドヴォルザークのレクイエムは、ポリフォニックな響きの美しさが際立つ作品である。そのため、オーケストラには、純度の高いハーモニーの構築が求められるが、この日は、特に木管セクションを中心に、音程が微妙に乱れ、和声が明快に定まらず、終始滲んだ表情となってしまった。金管セクションも不安定さを露呈し、全体の響きの中に溶け込むようなニュアンスは見出せなかった。他方、弦楽器セクションは、細めの線で綺麗にまとまり、繊細さを表現できていたが、どこかよそよそしさが漂い、いつものような一体感が薄かったようにも感じた。

なお、第二部に入ると、後半で盛り上がりを見せる曲が複数登場するが、第九曲「オッフェルトリウム」のフーガは、音楽的に充実した高揚感となったものの、その後の第十曲「生贄と賛美の祈りを」、第十一曲「サンクトゥス」は、後半が勢いに任せた盛り上げとなってしまい、曲ごとの変化があまり浮かび上がらなかった。

独唱陣に関しては、直前にメンバー変更が生じたことを踏まえると、まずまずの仕上がりであったのかもしれない。急遽代役で出演することとなった久保田は、演奏機会の少ないこの作品でありながら、全体の流れを損なうことなく、卒なく無難にまとめられていた。吉田は、伸びやかな美声でアンサンブルを牽引し、特に華のある歌唱部分で好演。日本を代表するメゾ・ソプラノ歌手の藤村は、さすがの貫録と抜群の安定感で、芯のあるブレのない歌唱を示すも、彼女の実力からすると、可もなく不可もなくという仕上がりであろうか。中嶋は、ドラマチックな歌唱で力強さを表現するも、作品の性質や下野が狙った方向性に照らすと、多少の違和感があり、どちらかというと、藤村のように、確実に的に当ててくるようなスタンスで臨んだ方が全体の流れにはマッチしていたのではないかと感じた。

このように、凝縮の度合いがいま一歩のまま演奏は進行したが、最終の第十三曲「アニュス・デイ」に関しては、下野の作品構成力は光っており、感慨深さを多少は醸し出すことに成功していた。もっとも、演奏終了後に30秒もの静寂を演出するほどの仕上がりであったとは思えず、やや芝居がかっていたのではないかと個人的には感じた。東日本大震災から3年という節目の時期ゆえ、そうした想いを籠めたかったという気持ちも理解できなくはないが。


(公演情報)

第535回定期演奏会
2014年3月12日(水) 19:00開演
会場:サントリーホール

指揮=下野竜也
ソプラノ=中嶋彰子
メゾ・ソプラノ=藤村実穂子
テナー=吉田浩之
バス=久保田真澄
合唱=国立音楽大学合唱団

ドヴォルザーク:レクイエム 作品89
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[2014/03/16 18:54] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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