ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ウィーン途中降機(年末年始11-12年)①―メスト指揮ウィーン国立歌劇場「死者の家から」
12月30日午前、ブリュッセルを発ち、OS352便にてウィーンへ。オーストリア航空のサービスは心地よい。昼過ぎに宿泊先であるNHウィーンエアポートホテルにチェックイン。今月初めからヨーロッパは暖冬続きで、日中は気温が10度近くまで上昇することもあるが、ウィーンも例外ではなく、先月下旬の訪問時よりもだいぶ空気が柔らかい。

しばし休憩の後、市内へ向かう。目抜き通りは、観光客であふれていて、数分に一回の頻度で日本人観光客に遭遇する状況。観光大国の集客力はさすがである。

午後6時半すぎ、国立オペラ座へ。この日は、フランツ・ウェルザー・メスト指揮ウィーン国立歌劇場によるヤナーチェク「死者の家から」。チューリッヒ歌劇場との共同制作による今シーズンのプレミエである。

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筆者の座席は、2.Rang Loge Rechts 10の1列目。シンフォニックなサウンドを味わうには最適なポジションである。今回も期待通りの音響が愉しめた。

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ペーター・コンヴィチュニーの演出は、ヤナーチェクがこの作品に籠めた世界観を完全にぶち壊す挑戦的な演出だったと思われる。特に、第三幕のモノローグで、シシュコフがルカを特定できなかったり、幕切れのゴリャンチコフの解放の場面で、巨大なロシア人形の中に入れられたゴリャンチコフが、監獄所長によって頭を撃ち抜かれたのは、意味不明。ここまで台本を改変されると、観客は付いていけないし、音楽の流れとミスマッチになる。

加えて、演出プランが外面的な効果にシフトしすぎており、各場面があまりに陳腐な姿に改変されていた。コンヴィチュニーお得意の客席を巻き込む演出も、役者が突然客席に登場して何かを絶叫するという分かりやすい手法の焼き直しにすぎず、お化け屋敷的なスリルには繋がっても、作品の本筋には何ら関係しない。第二幕の劇中劇は、ストリップショーやハプニングバーを髣髴とさせるようなキワドイ演技が満載で、それ自体は刺激的だが、これも作品の本筋には何ら関係しない。

エンターテインメントと割り切って観劇すれば、そこそこ楽しめるが、パトリス・シェローによる緊張感のある演出を知る者としては、この作品をここまで下品かつ安っぽく仕上げたことに、ある意味で感心しつつも、半ば呆れてしまったというのが本音である。

他方、メストは、乗りに乗っていた。ヤナーチェクの「死者の家から」に関しては、筆者は、音楽的な完成度が超越しているとの印象を持っているが、メストは、歌手も含めた全体のアンサンブルを絶妙にコントロールし、スマートかつ流暢でありながら、とても熱く、そして躍動的に、ヤナーチェクのハーモニーやリズム感を描き出していた。旋律や響きにふわっとした空気を送り込みつつも、要所をビシッと締め、実にスムーズなギアチェンジでテンポの変わり目を絶妙に調整する技は、圧巻である。

ホーネックとダナイローヴァのダブルコンマスに率いられたオーケストラは、多くのメンバーが顔を真っ赤にしながら音楽に没頭する健闘ぶり。個々のセクションの響きの美しさは、他の追随を許さない。ウィーン流のヤナーチェクだが、国が近いこともあり、美しさの背後に見え隠れする親和性が独特の熱気をもたらしていたようだ。

やっつけ仕事的な雰囲気も感じさせるが、さすがプレミエ演目だけあって、音楽的なベクトルは揃っており、アンサンブルが安定している。この日は、5回目の上演で、今シーズンの最終公演であるためか、音楽が板についているように感じられた。開演前に多くの奏者が必死でさらっているのはいつものことだが、各自がもう少し譜読みの時間を確保して一つひとつの公演により丁寧に取り組めば、響きに落ち着きが出てくるはずなのだが、世界の第一線で働くビジネスマンよりも多忙な彼らには、その余裕はないのかもしれない。勿体無い限りである。

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カーテンコールは、メストに対するブラボーの大合唱。これがこの日の上演の全てを示していた。普段よりも観光客が多かったが、演目がマイナーだったためか、勘違い客は混じっておらず、全体のマナーはとてもよかった。

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終演後は、前回に引き続き、Zu den 3 Hackenで食事を採る。牛の脳みそのから揚げが美味しかった。


(公演情報)

AUS EINEM TOTENHAUS | Leos Janácek

30. Dezember 2011
19:30-21:00

Franz Welser-Möst | Dirigent
Peter Konwitschny | Regie

Sorin Coliban | Alexandr Petrovic Gorjancikov
Misha Didyk | Luka Kusmitsch
Herbert Lippert | Skuratov
Christopher Maltman | Siskov
Gergely Németi | Aljeja
Carlos Osuna | Der große Sträfling
Hans Peter Kammerer | Der kleine Sträfling
Alexandru Moisiuc | Der Platzkommandant
Herwig Pecoraro | Der ganz alte Sträfling
Janusz Monarcha | Cekunov
Clemens Unterreiner | Der betrunkene Sträfling
Tae Joong Yang | Der junge Sträfling
Donna Ellen | Dirne
Michael Roider | Šapkin
Benedikt Kobel | Cerevin
Markus Eiche | Don Juan
Peter Jelosits | Kedril
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[2012/01/03 21:58] | 海外視聴記(ウィーン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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