ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:--] | スポンサー広告 |
藤原歌劇団公演「フィガロの結婚」
3月3日午後1時すぎ、東京文化会館へ。藤原歌劇団公演「フィガロの結婚」(Aキャスト)。同団が「フィガロの結婚」を上演するのは1971年以来、今回が41年ぶり2回目とのこと。藤原歌劇団の本公演、しかも土曜日のマチネということもあり、会場の空気は、筆者が日頃慣れ親しんでいる演奏会に比べると、華やかな印象。関係者やその知り合いが多かったようにも見受けられたが、ともあれ、満席に近い会場内は、同団の公演を楽しみに集まったお客さんばかりであり、落ち着いて観劇できる環境であった。

座席は、2階R3列の中央付近。雨宿り席であるため、響きはかなり減殺されてしまうが、舞台はそこそこ観やすかった。

キャスト陣は、総じてバランスがよく、アンサンブル上演の徹底という基本コンセプトが見事に結実していた。この方向性は、重唱の多いモーツァルトの歌劇作品では、特にプラスに働く。前半はやや硬さも見られたが、ストーリーの進行とともに、落ち着きが生まれ、音楽と台本にスッと入っていくことができた。出演者らの真摯な姿勢がまっすぐに伝わってくるのも、大変心地よい。気心の知れた仲間同士であるがゆえの安定感、そして、きめ細やかな心遣いは、藤原歌劇団ならではの良さである。欲を言うと、全体的にきれいにまとまりすぎていたようにも思われ、もう少し悪人的なエッセンスが入った方が刺激的であったようにも感じたが、出演者らの人柄を踏まえると、妙に納得のいくところでもあり、個人的にはなかなか興味深かった。

この日の立役者は、指揮者のアルベルト・ゼッタ。音楽を運び、劇場の空気を動かせる真のマエストロである。二歩先を読み、多種多様なアウフタクトを駆使しながら、極上の流れと響きを導き出す手腕には、心底感銘を受けた。オーケストラピットに入った東京フィルは、序曲では若干乱れたが、すぐに立て直し、その後は、歌手と一体化した絶妙なバランスで、優美な旋律ときめ細やかなリズム感を活き活きと演出していた。フレーズ末尾で色気が不足したり、強奏で若干粗さが感じられたりと、惜しい場面も散見されたが、総じて素晴らしい仕上がり。劇場全体が幸せな空気に包まれていたのは、ゼッタと東京フィルの好サポートがあってのことであろう。

演出に関しては、舞台全体を壁や布で箱状に囲った上で、場に応じて、縦横2枚ずつの吊り物でこれを仕切るというシンプルなもの。家具や小道具等は、ほとんど置かれていない。ベージュを基調とした優しい色合いゆえ、安心して眺めることができるが、これだけ少ないセットで魅せるためには、立ち位置の構成等をさらに工夫しないと、緊張感の持続は難しい。もっとも、最低限のシンプルな舞台であったがゆえにモーツァルトの音楽に心を委ねることができたという意味では、不満は感じなかった。「フィガロの結婚」の上演には、東京文化会館という会場は大きすぎるので、ある程度割り引いて考えなければならないだろう。

なお、この日は、滅多に演奏されないマルチェッリーナのアリアとバジリオのアリアも聴くことができた。貴重な機会であり、お二方とも立派に歌い上げてはいたが、作品全体のバランスを考えると、省略されるのが通常であるというのも理解できるように感じた。

ともあれ、最後は、冒頭から積み上げてきた演奏者全員の想いが一つにまとまり、じーんとくるフィナーレに。午後の至福なひと時であった。


(公演情報)

藤原歌劇団公演
モーツァルト「フィガロの結婚」

2012年3月3日(土)14:00開演
東京文化会館

指揮:アルベルト・ゼッダ
演出:マルコ・ガンディーニ

アルマヴィーヴァ:須藤 慎吾
伯爵夫人:砂川 涼子
フィガロ:久保田 真澄
スザンナ:川越 塔子
ケルビーノ:向野 由美子
マルチェッリーナ:牧野 真由美
バルトロ:三浦 克次
バジリオ:小山 陽二郎
ドン・クルツィオ:青柳 明
バルバリーナ:小田 切一恵
アントニオ:坂本 伸司
農民の女:種田 尚子/山邊 聖美

合唱/藤原歌劇団合唱部
管弦楽/東京フィルハーモニー交響楽団
スポンサーサイト
[2012/03/05 16:44] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(0) |
<<スウロヴァチェフスキ指揮読響―第513回定期演奏会「ショスタコ1番&ブルックナー3番」 | ホーム | ヴァンスカ指揮読響―第512回定期演奏会「ブラームス1番」>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://mashi1978.blog97.fc2.com/tb.php/108-8963b84d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
プロフィール

mashi1978

Author:mashi1978
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。