ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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スウロヴァチェフスキ指揮読響―第513回定期演奏会「ショスタコ1番&ブルックナー3番」
3月7日午後7時前、サントリーホールへ。スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮読売日本交響楽団による第513回定期演奏会。ショスタコーヴィチの交響曲第1番とブルックナーの交響曲第3番が採り上げられた。曲目のためか、会場内は、普段以上に男性率が高い。やや殺伐とした空気が流れているようにも感じられた。いつもの定期演奏会とは、客層が異なるのは明らかであった。

ミスターSの指揮するブルックナーの交響曲第3番は、昨年5月のベルリンフィルの定期演奏会で体験済みだが、このときは、暴れ馬であるベルリンフィルが自己を曲げず意地を張りすぎたため、ミスターS特有の分析的かつ計算し尽された音像の構築までには至っていなかった。それゆえ、筆者自身としては、オーケストラが馴染みの読響に代わることにより、どのような違いが生まれるのかが最大の関心事であった。

座席は、いつもの指定席である1階席通路より少し前のセンター。同じ座席で演奏を聴き比べるられるのは、定期会員ならではの愉しみである。

プログラムの前半は、ショスタコーヴィチの交響曲第1番。第一楽章の序奏から響きの立ち方が全く異なることに驚かされる。舞台上にさわさわと冷たい風がなびき、荒涼とした凍てつく大地が広がった。ショスタコーヴィチの後期の作品を彷彿とさせるような深い響きだ。
第一楽章の主部に入ってからは、オーケストラは、ミスターSのタクトに喰らいつこうと必死。弾丸のように突進する気合いは、大地をえぐるような低弦、重く鈍い衝撃をもって叩きつける管打楽器など、この世のものとは思えないような物々しいムードを多数醸し出したが、他方で、細かいパッセージやリズムが前のめりになるという問題も残した。テンポがなかなか落ち着かず、細部の輪郭もいまいちで、全体を通しての安定性という観点からは、課題が山積であった。
緩徐楽章である第三楽章は、切々と沁みる空気の下、抑圧された鎮魂歌が流れ続け、聴き応えがあったが、音が薄くなる箇所で緊張感が途切れそうになる場面が数回生じてしまうなど、万全とはいえなかった。
個人的には、ミスターSのオーラとそれに触発された楽員らを眺めているだけで、相当痛快であったので、十分に愉しめたが、客観的にみれば、ミスターSの要求にきちんと応えるだけの練習が足りていなかったといわれてもやむを得ない出来であったと思われる。

プログラムの後半は、ブルックナーの交響曲第3番。音楽的には、昨年5月に聴いたベルリンフィルの定期演奏会における演奏など全く比べものにならないほどに充実していた。なるほど、ミスターSは、こういうブルックナーを目指していたのか、と妙に納得がいった(なお、筆者は、昨年12月にマゼールとミュンヘンフィルによる同曲の演奏を聴いているが、完全に別の作品を聴いているかのような新鮮さがあった。)。
読響の場合、ミスターS流の演奏作法が板についており、愚直にそれを実践しようとする点で抜きんでている。力むことなく、伸びやかに、しかし、細部まで十分に目が行き届いており、スコア上の音符の数々が活き活きと蘇っていた。加えて、オーケストラ全体として。室内楽を奏でているような、そんな雰囲気に満ち溢れていた。縦の線がこれだけ完璧に噛み合う演奏は、なかなかお目にかかれるものではない。特に、第一楽章の中盤以降や第二楽章などは、姿勢を正してしみじみと聴き入りたくなるほどであった。
とりわけ、コンサートマスター小森谷の率いる弦セクションは、いつになく優しいタッチで各フレーズをまとめ、その極上の旋律美は、最後までぶれることがなかった。この日の弦セクションの完成度は、96点ぐらいといっても過言ではない。
なお、この日の演奏では、弦セクションの秀逸さが際立っていたが、他方で、ホルンセクションの不安定さは、許容範囲を超えていた。また、弦セクションの超本気モードに比べると、木管セクションには緩さがあり、響きの解像度がよくなかった。毎度のことではあるが、もう少しどうにかしてほしいと思えてならない。
ともあれ、この日の演奏は、ミスターSと読響のコンビによるここ数年の演奏の中でも、最も内容の濃い仕上がりだったのではなかろうか。

このように、演奏自体は、とてもよい雰囲気であったのだが、残念なことに、前半も後半も、たった一名がおそらく確信犯的にフライング拍手をやったため、全てがぶち壊しになった(こういう輩は、自意識過剰ゆえ、注意をしても治るものではない。特定して出入禁止にすべきである。)。また、前半のシュスタコーヴィチでは、第四楽章のゲネラルパウゼで、客席の一部から拍手が起きかけるという事件も発生(なお、念のため申し上げると、1階12列目中央付近にも拍手をした輩がいたが、それは筆者ではない。ただ、周囲からの冷たい視線がこちらに向かっていて、妙な心境に陥った。)。無論、見識のある定期会員は、こうした悪行に手を染めることはない。この日の客席は、いつもとは空気が違っていたようだ。

カーテンコールでは、ミスターSを讃える熱い拍手が湧き上がった。一般参賀は一回。なお、2階席後方付近から罵声のようなブラボーの嵐が飛んできたが、お世辞にも品のあるブラボーとはいえず、違和感はひとしおであった。


(公演情報)

第513回定期演奏会

2012年3月 7日(水) 19:00開演
会場:サントリーホール

指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(読売日響桂冠名誉指揮者)

ショスタコーヴィチ/交響曲 第1番 ヘ短調 作品10
ブルックナー/交響曲 第3番 ニ短調 WAB.103
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[2012/03/08 17:59] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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コメント
コンサート評に関しては、すべてが同意
とはいきまませんが
後半の、不届きな輩に」対しての御意見は
全く同意いたします
私は昨夜のコンサートを心から楽しみましたが
数人の、しょうもない連中の為に
ぶち壊し!でした

ちなみに私の個人的Bな感想は
ショスタコの方が楽しめました
[2012/03/08 21:00] URL | リック #- [ 編集 ]
コメントをいただき、ありがとうございました。
この日のコンサートは、聴く人によってだいぶ印象が違ったようです。でも、色々な人が色々な角度から愉しめる演奏会というのは、それ自体がとてもよいものだと思います。
ちなみに、ショスタコについては、昨年10月の大野さん指揮リヨン国立歌劇場管の演奏会における精緻な印象が強烈に残っていたため、ミスターSの引き出す個々の響きの面白さに非常に感銘を受けつつも、技術的な噛み合わせの悪さが気になってしまったというのが正直なところです。1階席前方であったため、細かいところが目立って聴こえてしまったのかもしれません。
[2012/03/15 11:24] URL | 筆者 #- [ 編集 ]
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