ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(12年3月)⑤―ヴァイグレ指揮ベルリンコンツェルトハウス管「新世界より」
3月11日午後3時半すぎ、再びコンツェルトハウスへ。セバスティアン・ヴァイグレ指揮によるコンツェルトハウス管弦楽団による演奏会。ワーグナーの「リエンツィ」序曲、ゾンマーの歌曲、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」が採り上げられた。会場内は、このオーケストラを愛するベルリン市民を中心に、客席の8割程度が埋まっていた。

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コンツェルトハウス管の楽器配置は特殊だ。対抗配置に驚きはないが、舞台中央にコントラバスを横一列に並べ、ホルンを上手側の中央付近に配置しつつ、トランペットとトロンボーンと打楽器を下手側の奥に押し込むという不思議な配置である。明らかに下手側に偏っているが、このホールの特性を考えた場合、この配置がベストということなのであろう。実際に飛んでくる音色を聴き、納得が出来た。

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コンツェルトハウス管を聴くのは、今回が初めて。オーケストラとしての響きの重心は、やや低めで、渋めの響きとくすんだ音色がこのホールの音響にマッチしている。奏法は、いわば美しい楷書体で、音の立ち上がりの輪郭はクリア。フレーズ末尾の処理は繊細であり、早めに減衰するホールの余韻に委ねることで、フレーズをうまくまとめていた。弦楽器セクションのBowingの素晴らしさは、このホールに鍛えられたからであろうか。管楽器も弦楽器も、個々の技量という意味では、万全とはいえない(しかし、かなり高水準にはある)が、響きの創り方に関しては、特にハイレベルなセンスを兼ね備えていることが窺われた。そして、後述するとおり、このオーケストラは、変態集団でもあった。

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筆者の座席は、1.Rang正面の1列目。午前中に平土間席で聴いた響きが1.Rang正面でどのように聴こえるかが関心事であった。

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プログラム前半一曲目は、ワーグナーの「リエンツィ」序曲。金管楽器の堂々とした鳴りっぷりが印象的であった。ホルンセクションからは、横一列に並ぶコントラバスと呼応して立ち上がった音が、より力強さを増し、ドイツらしいホルンの響きとなって客席に届いてきた。この充実感は、筆者がこれまでに体感した中では、暫定一位である。また、下手側の奥に押し込まれた金管・打楽器セクションからは、シューボックスの壁を最大限に活用した重く厚い響きが飛んできた。オーケストラ全体としては、冒頭からノリノリで、フレッシュな雰囲気を醸し出していたが、上滑りしないのはさすが。隅から隅までドイツ的であり、腰の据わったテンポ感やリズム感は、実に見事であった。

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プログラム前半二曲目は、ゾンマーの歌曲。エリザベート・クルマンが独唱を務めた。この作品に関しては、インターネット上にほとんど情報がなく、事前の予習は諦めざるを得なかった。作品としては、聴きやすい響きだが、地味な印象。オーケストレーションが室内楽的であり、この日は編成を絞って演奏されたため、このホールの響き方を知るにはよかったが、それ以上のものではなかった。なお、コンツェルトハウスは、歌手には優しくないホールかもしれない。舞台上で立ち上がる響きの中に独唱が取り込まれて埋没してしまうため、歌声が前に抜けてこないのである。同じシューボックス型でも、ホールによって全然変わってくるのが興味深い。

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休憩をはさみ、プログラム後半は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。前述のとおり、この曲では、オーケストラの変態ぶりが如何なく発揮された。オーケストラの鳴り方は、とっても「ドイツ」な印象。骨太であり、腰の据わったテンポ感やリズム感は、さらに凄みを増した。フレーズのまとめ方も巧いが、それ以上に感心させられたのは、対旋律や伴奏型における音の押し出しの強さである。各奏者が最後のひと踏ん張りまできちんと仕事をするので、管弦楽の造形がより力強く浮かび上がる。他方で、管楽器を中心とした独奏(特に、クラリネット)がくすんだ響きと自由な歌回しにより良い味を出しすぎていて、かなり面白かった。ホルンソロの巧さも際立っていた。妥協のないドイツ人魂が脈々と流れているように感じられた。
なお、ヴァイグレの指揮は、テンポ感、ニュアンスの両面において、作為的かつ妙なもので、スコアを思い浮かべても、腑に落ちることはほとんどなかった。特に、第一楽章は、序奏から主部まで、常にちぐはぐな印象であった。もっとも、第二楽章以降は、実は、指揮者だけでなく、オーケストラも変態であることが分かったので、壮大なネタの宝庫として鑑賞する方向に切り替えたため、筆者個人としては、愉しむことができた。なお、第二楽章では、冒頭のイングリッシュ・ホルンの質素な歌い方、中間部の木管楽器の伸びやかさ、その後に現れる弦楽器の抑圧された響きなどが顕著だったが、この点は、ホールの淡い響きを活かした判断で、印象的であった。

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ベルリンというと、最初に思い浮かぶのは、ベルリンフィルだが、コンツェルトハウス管には、ホールと一体化した魅力がある。ホールが楽器とは、こういうことをいうのだろう。また、ドイツ人気質が色濃く残っており、オーケストラに携わる人には、是非とも現地で聴いてほしいオーケストラの一つといえる。日下紗矢子が第一コンサートマスターとして活躍しているという意味でも、日本人として応援したくなる。

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終演後は、まっすぐホテルに戻り、シャワーを浴び、夜の公演に備える。


(公演情報)

Gesänge vom anderen Ufer

Sonntag, 11.03.12
16.00 Uhr | Großer Saal
Konzerthaus berlin

Konzerthausorchester Berlin
Sebastian Weigle
Elisabeth Kulman Mezzosopran

Richard Wagner / Ouvertüre zur Oper "Rienzi"
Hans Sommer / "Sapphos Gesänge" - Sechs Gesänge nach Texten von Carmen Sylva für Mezzosopran und Orchester op. 6
Antonín Dvorák / Sinfonie Nr. 9 e-Moll op. 95 ("Aus der Neuen Welt")
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[2012/03/13 22:01] | 海外視聴記(ベルリン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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