ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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レ・ヴァン・フランセ
4月18日午後7時頃、三鷹市芸術文化センター・風のホールへ。フランスのエスプリを受け継ぐスーパープレイヤー集団、レ・ヴァン・フランセによる演奏会。

風のホールは、客席数625のシューボックス型中ホールである。木のぬくもりの感じられるアコースティックな響きが特徴的で、音響の良さで知られている。都心からは移動に小一時間を要するが、折角の機会なので、至近距離かつベストな音響で鑑賞すべく、オフィスを早々に抜け出し、会場に向かった。

筆者の確保した座席は、1階席6列目中央上手より。ステージ上で発ち上がった響きが適度な臨場感と残響を伴って伝わってくる抜群のポジションであった。ホール内には、近隣に住むと思われる音楽ファンらに加え、楽器を手にした学生らが多く詰め掛け、ほぼ満席。若い世代が多かったためか、ホール内には、活気と緊張感が漲っていた。なお、場内アナウンスでも繰り返されていたが、年配のファンを中心に、演奏中にプログラムやチラシを床に落とす場面が散見されたのが非常に惜しかった。

今回採り上げられたのは、フランスの作曲家であるミヨー、プーランク、タファネルの各作品に加え、オーストリアの作曲家ツェムリンスキーの小品。レ・ヴァン・フランセの委嘱を受けて作曲されたとするティエリー・ペクの作品も演奏された。

この日は、冒頭から目を丸くさせられた。一曲目は、プーランクのオーボエ、バソン、ピアノのための三重奏曲だが、フランソワ・ルルー(オーボエ)とジルベール・オダン(バソン)が絶好調である。それぞれの楽器は豊麗な響きのオーラに包まれており、クリアであり柔らかくもある濃密な波動の集合が筆者の全身に対して訴えかける。目の前で二人の歌手が二重唱を演じているかのような錯覚に陥った。これまで筆者自身の中では、管楽器に関しては、息の流れという制約があるため、どうしても直線的なイメージの方が強かったが、彼らの演奏は、そんな筆者の認識を根底から覆すほどに衝撃的であった。

二曲目は、ミヨーのピアノ、フルート、オーボエ、クラリネットのためのソナタ。こちらは、アリア的というよりも、アンサンブル的な様相の強い構成。音色のブレンドが愉しめる。エマニュエル・パユ(フルート)は、女性のみならず、男性までもが惚れてしまうほどにカッコいい。ポール・メイエ(クラリネット)も、渋さを滲み出しつつ、キリッと魅せるあたりが心憎い。三本の管楽器が織り成す響きのパレットの多彩さと奥深さは、今でも鮮明に脳裏に刻み付けられている。

三曲目に演奏されたペクの六重奏曲は、バリ島とジャワ島のガムランから、ごく自由に着想を得た作品であるとのことだが、雑多な印象は否めず、幻惑的なサウンドによる音のオブジェと称するには、ほど遠かったように感じられた。とはいえ、キレのある現代奏法を垣間見ることが出来たため、一応の収穫はあった。

休憩を挟み、プログラムの後半一曲目は、タファネルの木管五重奏曲。管楽器のみで繰り広げられるサウンドは、ピアノを伴うときとは、また違った趣きである。最も違うのは、語り口のソフトさであろうか。優美かつ柔らかな音色と、そよ風になびくような軽やかさは、まさにフランス流の身のこなしである。リズムや旋律が糸を紡ぐように連なる上空で、華のあるパッセージが花びらのように舞う風景が筆者の眼前に広がった。全盛期のアンサンブル・ウィーン・ベルリンによる演奏に学生時代から馴染んできた筆者にとっては、その基本的なアプローチの違いに興味津々であった。

ツェムリンスキーの小品を挟み、プログラムは、いよいよプーランクの六重奏曲へ。プーランクのファンタジーが彩り鮮やかに繰り広げられる。四曲目のタファネルでもそうだったが、ラドヴァン・ヴラトコヴィッチ(ホルン)がいい味を出している。エリック・ル・サージュ(ピアノ)が涼しい顔をしながら確信犯的に煽っているのではないかと思われるような場面も見られたが、ライブならではの緊張感。プレイヤー全員が超ノリノリで、素晴らしいフィナーレとなった。

割れんばかりの拍手に応えて演奏されたアンコールは、ルーセルのディベルティスマンと、プーランクの六重奏曲の第一楽章。ホール内の興奮は、頂点にまで高まった。満面の笑みでステージを後にする彼らの姿に、この日の演奏会の充実度の高さが窺われた。

レ・ヴァン・フランセの存在感は絶大であった。彼らの醸し出す音楽は、よきフランスの上品さと気品に加え、自由闊達さに満ち溢れていた。ソロとアンサンブルの描き分けの見事さは、アンサンブルの究極の醍醐味でもある。本当の意味で、楽器の存在を忘れさせるほどに圧倒的な技術力と表現力がベースとなっていることは、言うまでもない。

なお、かつてフルートも手にしたことのある筆者にとっては、パユの演奏を眼前で体験できたことは、大きな悦びであった。パユの独奏に触れるのは、昨夏のザルツブルク音楽祭以来、二度目だが、煌びやかなパッセージ、芯のしっかりした響き、優美なカンタービレに加え、あえて艶を消した奥ゆかしい表現など、フルートという楽器の魅力をここまで音楽的に表現できる奏者は、なかなかお目にかかれない。


(公演情報)

レ・ヴァン・フランセ

三鷹市芸術文化センター・風のホール
2012年4月18日19時15分開演

エマニュエル・パユ(フルート)
フランソワ・ルルー(オーボエ)
ポール・メイエ(クラリネット)
ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)
ジルベール・オダン(バソン)
エリック・ルサージュ(ピアノ)

プーランク:オーボエ、バソン、ピアノのための三重奏曲
ミヨー:ピアノ、フルート、オーボエ、
クラリネットのためのソナタ Op.47
ティエリー・ペク:六重奏曲(委嘱作品、日本初演) 
タファネル:木管五重奏曲 
ツェムリンスキー:木管五重奏のためのユモレスケ(ロンド)
プーランク:六重奏曲
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[2012/04/19 14:41] | 国内視聴記 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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4月18日午後7時頃、三鷹市芸術文化センター・風のホールへ。フランスのエスプリを受け継ぐスーパープレーヤー集団、レ・ヴァン・フランセによる演奏会。風のホールは、客席ぬくもりの感じられるアコースティックな響きが特徴的で、音響の良さで知られている。都心からは移...
[2012/04/19 14:55] まとめwoネタ速suru
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