ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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下野指揮読響―第515回定期演奏会「シューマン」
5月15日午後7時前、サントリーホールへ。下野竜也指揮読売日本交響楽団による第515回定期演奏会。シューマンに照準を合わせたプログラムが披露された。

座席は、いつもの指定席である1階席通路より少し前のセンター。先月分は、同じ月のサントリーホール名曲シリーズに振り替えてしまったため、この席に座るのは2か月ぶりだが、久しぶりに定位置に戻ると、この場所の問題点が色々と見えてきてしまう。トロンボーンから直撃を受けるのが最大の難点だ。ヴァイオリンの直接音もやや気になる。読響の場合、上手側の方がバランスがよいかもしれない。

プログラム前半一曲目は、ライマンの「管弦楽のための7つの断章」(日本初演)。

ロベルト・シューマンを追悼して作曲された作品で、ヴァイオリン協奏曲のモチーフが引用されるが、現代的かつ鬱屈とした書法であるため、受ける印象はシューマンとは正反対である。

プログラム構成の秀逸さゆえ、興味をそそられたが、この日の演奏に関していえば、手際良くまとめられてはいたものの、響きが上滑り気味で、ドイツ語特有の重厚さや響きの深さも感じられず、作品の兼ね備えるパワーが十分に表現されていたようには思えなかった。こういった表現は、ドイツの専売特許なのだろうか。

プログラム前半二曲目は、シューマンのヴァイオリン協奏曲。若きヴァイオリニスト、三浦文彰が独奏を務めた。

三浦を聴いた第一印象は、音色の創り方の巧さ。陰鬱さも兼ね備えたシューマンらしい響きを見事に演出していた点は、高く評価されるべきであろう。ただ、シューマンのヴァイオリン協奏曲を演奏するには、色々な意味で年齢が若すぎたのではなかろうか。

技術的には申し分ないが、細かい動きの根底に流れるフレーズ感が感じられないため、音楽として聴こえてこない。加えて、呼吸の中にシューマン特有の揺らぎが伴わないため、オーケストラとの対話が全く成立しておらず、独奏だけが別録りの音源を聴かされているかのような錯覚に陥った。オーケストラも、卒なく合わせてはいたものの、キャラ設定が中途半端で、能天気さが前面に出てしまったようだ。

演奏後の拍手は盛大であったが、筆者個人の中では、チグハグさばかりが耳に残った。

さて、気を取り直して聴いたプログラム後半は、シューマンの交響曲第2番。こちらは、溌剌とし、しかも腰の据わった正統派らしい響きが愉しめた。

注目すべきは、シューマンの和声に対する下野自身のセンスの良さ。澄んでいるのに、柔らかく、温もりも感じられる。スコア全体の見通しが良好で、メリハリも明快であったし、バランスの図り方や弱音の美しさには、感心させられた。しかも、そのアプローチの仕方は、ミスターSのような変化球ではなく、王道を行く真っ向勝負である。緻密な研究と周到な準備の成果といえよう。

また、クリアな造形の下、各フレーズが、フレッシュな推進力と適度な弾力を伴い、流れ良く浮かび上がっていた点も素晴らしかった。日頃は打点を出しすぎてしまう下野だが、この日は、締める箇所と任せる箇所を大胆に色分けし、合わせることよりも音楽の流れを尊重したことにより、音楽的な魅力が格段に上がったように感じられた。

なお、ライブならではのドライブ感も満載で、とりわけ第二楽章のコーダでは、破綻寸前の状態まで煽りに煽ったが、多少の粗さはあっても、こういう思い切りの良さは、むしろ好感度が高い。オーケストラの状態も悪くはなく、下野の熱意に十分に応えていたといえるだろう。

終演は午後9時すぎ。緊急の会議が入っていたため、すぐに職場に戻る。


(公演情報)

第515回定期演奏会
2012年5月15日(火) 19:00開演
会場:サントリーホール

指揮=下野竜也
ヴァイオリン=三浦文彰

ライマン:管弦楽のための7つの断章 -ロベルト・シューマンを追悼して-(日本初演)
シューマン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
シューマン:交響曲 第2番 ハ長調 作品61
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[2012/05/16 02:58] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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