ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(12年5月)②―サンティ指揮チューリッヒ歌劇場「仮面舞踏会」
5月24日、早朝からホテルの自室内で仕事をこなす。日本での追い立てられるような日々の延長だが、汗ばむくらいの陽気の中、オープンカフェでのんびり過ごすという欧州の生活スタイルとのギャップを再認識し、複雑な心境に陥る。

昼過ぎにホテルを出て、中央駅近くのデザイン美術館へ。国内外のデザインやモダンアートが集合した美術館で、この日は特別企画で、100年分のポスターがずらっと並べられていた。不勉強のため、専門的なことは分からないが、時代とともに変遷するモダンアートの一面を鳥瞰することができた気がした。

ホテルに戻り、夜の公演に備え、しばし仮眠。事件が起きたのは、この後であった。目が覚めたのは、なんと午後7時20分。寝坊してしまい、開演に間に合わないという大失態を犯してしまったのだ。日々の激務から解放されたことによる気の緩みか、昨日以来の不測の事態に伴う疲労のためか。愕然としたが、そうも言っていられないので、大慌てでチューリッヒ歌劇場へ向かう。演目は、ネッロ・サンティ指揮のヴェルディ「仮面舞踏会」。第一幕第二場、ウルリカのアリアの後から入場することができたが、息はあがってしまっているし、カメラをホテルに置いてきてしまうし、もう惨憺たる結果。今回の旅程の最大の目的であり、昨年のうちに、平土間1列目のマエストロの真後ろの座席を確保していたのに、悔やんでも悔やみきれない。

今回は、昨年4月にプレミエを迎えた演出の再演。このプロダクションに関しては、昨年4月29日に観劇済みであり、奇をてらった演出に閉口させられた記憶から、舞台に関しては全く期待していなかったが、この日は、プレミエ時に比べると、良くも悪くも舞台上に落ち着きが生まれており、角が取れて丸みを帯びた印象だった。

筆者自身のテンションが下がっていたからかもしれないが、この日は、特にオーケストラピット内の緊張感が弛緩しすぎていたように見受けられた。昨日のような集中力が感じられず、オーケストラのメンバーの私語が多かった。

主要キャスト陣の中では、グスターヴォ役のピョートル・ベチャワとオスカル役のセン・グオが絶好調。レナート役のウラディミル・ストヤノフも好演。他方、アメーリア役のガブリエラ・ゲオルギエヴァは、貫録は十分だが、恰幅の良い歌いっぷりで、表現が大味。そして、ゲオルギエバに触発されたためか、キャスト陣のアンサンブルがフリーな感じになってしまい、音楽が緩み気味になってしまったのが非常に残念。歌手を聴くという従来のオペラ鑑賞の観点からは、これで良いのだろうが、マエストロとしては、もっと色々と料理したかったのではなかろうか。

マエストロのタクトは、守りのスタンスを基調としつつ、流れを損なわないよう、うまくまとめていた。歌手が遅れそうになる場面では、自身も歌い、全体をリードしていた。この日の雰囲気では、これ以上攻めるのは難しいだろう。

というわけで、マエストロ指揮のチューリッヒ歌劇場による上演としては、凡庸な仕上がりではあったが、筆者自身にとっては、色々な意味で、認識を新たにさせられる貴重な経験となった。最大の収穫は、「仮面舞踏会」という作品に対する自身の勉強不足を痛感させられたこと。オペラの指揮に対する認識すらも刷新させられたようにも感じる。今回は、あえてマエストロの真後ろの座席を確保したということもあり、全体を観るというよりも、マエストロの思考過程を追体験することを最大の目的としていた。しかし、言葉でうまく表現できないが、マエストロの呼吸を肌で感じ、また、マエストロの背中が語る何かを目の当たりにし、筆者自身が予習段階でスコアを見ながらイメージしていたことの浅薄さに気付かされてしまった。目の前で進行する音楽や舞台を受け、次へのアクションに対する意識がオンタイムでついて行かなかった。指揮台で聴こえるべき響きのバランスに関しても、筆者のこれまでの認識が覆されるような体験をした。

一から出直しである。幸か不幸か「仮面舞踏会」は、今年12月にも再演される。次回は万全の態勢で観劇したい。


(公演情報)

Un ballo in maschera Verdi
Thursday, 24.05.2012, 19:00-22:00

Conductor: Nello Santi
Producer/production: David Pountney
Orchestra: Zurich Opera House Orchestra
Choir: Zurich Opera House Choir, Zusatzchor der Oper Zürich
Ballet: extra Ballett

Gabriela Georgieva (Amelia)
Mariana Pentcheva (Ulrica Arvidson)
Sen Guo (Oscar)
Piotr Beczala (Gustavo III, König von Schweden)
Vladimir Stoyanov (Vargas Renato Anckarstroem)
Thomas Tatzl (Cristiano)
Reinhard Mayr (Ribbing)
Giuseppe Scorsin (Horn)
Miroslav Christoff (Giudice)
Jan Rusko (Servo d'Amelia)
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[2012/05/28 15:29] | 海外視聴記(チューリッヒ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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