ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(12年8月)③―バティストーニ指揮アレーナ・ディ・ヴェローナ「トゥーランドット」
8月10日午前8時すぎ、EuroCity153にて、ルツェルンからミラノへ。そこから、FrecciaBianca9721にてヴェネツィアへ。2年ぶりにヴェネツィア市内に来てみたが、観光客で溢れていて身動きとれず。また、宿泊予定であったサンタルチア駅前のホテルBoscolo Belliniに行くが、システム障害とかいう取って付けたような理由により、別のホテルAmadeus Hotelに飛ばされ、気分が萎える。このホテルは、ガイドブック上では高級ホテルとして紹介されているが、設備は古く、4つ星とはいってもせいぜい3.5星くらいだろう。

今回、ヴェネツィアには1泊したが、結局のところ、ドゥカーレ宮殿とサンティッシマ・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会を見学し、食事するぐらいしか出来なかった。ちなみに、ヴェネツィアでは、Cantina Do Spade(カンティーナ ド・スパーデ)とTrattoria Ai Promessi Sposi(トラットリア・アイ・プロメッシ・スポーズィ)で食事をしたが、どちらも某旅行案内サイトに掲載されているお店であったため、次から次へと日本人グループが来店し、店内は日本人村と化していた。もっとも、お料理はどれも美味しく、日本人好みの味付けであり、お勧めできるレストランであることは間違いない。

8月11日午後3時すぎ、FrecciaBianca9732にて、ヴェローナへ。宿泊先であるHotel San Lucaにチェックイン。ヴェネツィアを体感した後でヴェローナに来ると、極めて全うな観光地であることにある種の感動すら覚える。ホテルも非常に快適であった。

午後6時すぎ、夕食を摂るべく、昨年に引き続きLa Taverna di via Stellaへ。ここでも日本人が何組も。馬肉の前菜とパスタに、アマローネの赤ワインを合わせ、至福のひと時を過ごす。

午後8時半すぎ、アレーナへ。この日の演目は「トゥーランドット」。イタリアの若き俊英アンドレア・バティストーニが指揮を執る。客席は、週末にもかかわらず、2、3割程度というかなり寂しい状況。夜が深まると、冷たい風が場内を吹き抜ける。だが、上演の方は、アレーナ・ディ・ヴェローナの名に恥じない立派なものであった。

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筆者の座席は、舞台上手側スタンドの1列目。舞台間近の臨場感に溢れる場所である。オーケストラピット内の様子を観察できるのも良い。歌手らの生の声が直接伝わってくることに加え、オーケストラの呼吸も感じることができる。巨大舞台上で展開される演技や舞台装置の数々が細かい表情の積み重ねにより表現されていることを知り、改めて感銘を受けた。

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バティストーニは、全身を使いながら、アレーナに並ぶ超巨大なオーケストラと合唱団を、ものすごいエネルギーで一手に束ねてゆく。すっきりとした速めのテンポ設定で、インテンポを基調にしながら、ぐいぐいと前へ引っ張るが、その足取りは地に足がついた堂々たるもの。巨大な石の彫刻を次々と打ち立てていくかのようだ。このアプローチは、アレーナの舞台では非常に映える。

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若さにあふれるバティストーニを見事にサポートしたオーケストラは、作品を隅から隅まで知り尽くした職人集団であり、そのポテンシャルの高さは折り紙つきである。オーケストラのメンバー相互間で、細部までよく目が行き届いており、野外という劣悪な環境にもかかわらず、和声の組立てからディテールの創り込みまで、非常に完成度の高いアンサンブルを、地味に展開していたのには、改めて驚かされた。バティストーニの粗削りな部分をベテラン集団が自発的に埋め合わせることにより、安定感のある音楽に仕立てていたのが好印象であった。風が強まる中で進行した第三幕のクライマックスでは、さすがに粗さが目立ってしまったが、楽譜が飛ばされそうな状況下にもかかわらず、大きな傷を生ずることなく最後まで演奏したこと自体が賞賛に値するといえるだろう。

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そして、地中海性気候をそのまま音にしたかのようなカラっとしたサウンドは、これぞアレーナ・ディ・ヴェローナの響きである。巨大スペクタルではどっしりとした重量感のある迫力を演出しつつ、抒情的な場面が訪れると、砂漠のオアシスのような虹色の潤いを帯び、アレーナの上空に広がる夜空とともに、うっとりとした気分にさせられた。

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合唱団も安定感がある。舞台の規模が大きいので、多少大味にならざるを得ないが、音楽的なベクトルは揃っていて、聴き応えがあった。

キャスト陣の中では、トゥーランドット役のリセ・リンドストロームが歌唱と演技の両面において抜きん出ていた。よく通る声でありながら、声色に嫌味がなく、現代人が好む知的な女性像をストレートに表現できていたといえる。これならカラフが虜になってしまうのも無理はない。対するカラフ役のカルロ・ヴェントレは、伸びのある明るい声で、悪くはないが、トゥーランドットに比べると、やや線が細く、アレーナ・ディ・ヴェローナの舞台では、物足りなさが残った。第三幕の有名なアリア「誰も寝てはならぬ」では、場内を吹き抜ける冷たい風が勢いを増してきており、本領を発揮し切れなかったのかもしれない。リュー役のアマリッリ・ニッツァは、芯のしっかりした太めの声で、日本人好みの儚さからは程遠かったが、アレーナ・ディ・ヴェローナの舞台では、これもありだろう。

この日の上演は、第一幕から好調だったが、第二幕以降は、舞台全体に一体感が生まれる。最初から最後まで緊張感が途切れることはなく、アレーナ・ディ・ヴェローナらしい素晴らしい舞台であった。「誰も寝てはならぬ」において、会場内からハミングによる合唱が自然発生したあたりに、この日の舞台の充実ぶりが現れていた。

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(公演情報)

Turandot
Giacomo Puccini

11 August 2012 - at 21:00 - Arena

Conductor: Andrea Battistoni
Director and sets designer: Franco Zeffirelli

Interpreters
Turandot: Lise Lindstrom
Altoum: Carlo Bosi
Timur: Marco Vinco
Calaf: Carlo Ventre
Liù: Amarilli Nizza
Ping: Leonardo Lopez Linares
Pong: Paolo Antognetti
Pang: Saverio Fiore
A mandarin: Nicolo' Ceriani
The prince of Persia: Cristiano Olivieri
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[2012/08/20 18:19] | 海外視聴記(ヴェローナ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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