ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(11年5月)②―チョン指揮 ウィーン国立歌劇場 「シモン・ボッカネグラ」
5月27日朝、BA696便にてウィーンへ。
ここで早くも事件発生。午前6時にパディングトン駅に向かうと、なんとこの日は、ヒースローエクスプレスが午前6時から午前8時まで運行を取り止めとのこと。ちなみに、筆者が確認した限り、前日まで、インターネットにも駅の掲示にも、その旨のアナウンスは、一切見当たらなかった。まさに青天の霹靂。幸いにも、近くにいた同世代の単身旅行者ら4名とタクシーをシェアする話がまとまり、辛うじてチェックイン時刻に間に合った。こういうことが普通に起きるから、イギリスは嫌だ。

昼前にウィーン市内に到着。この日の宿泊は、ウィーンでの定宿であるスターライト スイーツ ホテル アム ザルツグリース。

シャワーを浴び、一仕事終え、市立公園内の2つ星レストランであるシュタイラーエックに併設のマイエライへ。市立公園は緑に溢れ、散歩していて実に気持ちがよい。

マイエライでは、4品コースメニューを頂いた。
Artichoke Soup (with Char Tartar)、Confited Danube Salmon (with Celeriac Ravioli, Hop Asparagus & Elder)、Sirloin (with Caper Potatoes, Mustard Leaf & Shallots)、Strawberry Dumplings (with Almonds & Yoghurt Verbena Ice Cream)。
お料理に合わせ、オーストリアワインをグラスで、白2杯、赤1杯、デザートワイン1杯。

新ウィーン料理の頂点に立つレストランの系列だけに、お食事の3品に添えられたソースには、どれも工夫とセンスが感じられた。香辛料や柑橘系のアクセントが眼を引く。シュタイラーエックでは、見事なディナーが供されているのだろう。ただ、今回は、併設店でのランチゆえなのか、それぞれの素材に力がなく、感動には程遠かった。
なお、食事中、突然、スコールのような雷雨が到来した。異常気象の一端なのだろうか。

ホテルに戻り、休息をとり、国立オペラ座へ。この日の演目は、チョン・ミョンフン指揮によるウィーン国立歌劇場公演、ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」。座席は、2.RANG LOGE RECHTS/Loge13 Reihe1 Platz3。要するに、馬蹄3層目の真正面で、4月30日の座席とは線対称に位置する。

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今回の演目は、国立オペラ座のレパートリーの再演ではあるが、ヌッチをはじめとする大物歌手らと共に、チョン・ミョンフンが国立オペラ座へ登場するということで、日本国内でも一部で注目を集めていた。しかし、またもやここで事件発生。なんとヌッチが降板していた。無念。

やはりレパートリーの再演は、完成度が低い。

第一に、今回のオーケストラメンバーには、おそらく二軍要員が多い。事前のチェックによれば、この期間、ウィーンフィルは、ガッティと共にマーラーの交響曲第9番を引き下げて、演奏旅行に出ており、予想通りの状況である。練習不足、かつ二軍メンバーが多いということで、ピット内では、コンサートマスターのキュッヒルがいつも以上に気を吐いていたが、それが裏目に出る部分も多く、音が荒れ、バランスも崩れる。各パートの細かいパッセージは十分にさらえていないし、飛び出しなどの事故も多発。ファーストヴァイオリンからキュッヒルの音しか聞こえてこないのはいつものことだが、今回はそれに加えて、弦楽器の大半がキュッヒルにおんぶに抱っこ状態ゆえ、全体の流れが停滞し、その結果として、ピットの両端に位置する管楽器も様子見をしながら入らざるを得ないという惨憺たる状況。マエストロが可哀想に思えてならなかった。

第二に、歌手陣も、アドルノ役のメリが好演し、フィエスコ役のスカンディウッツィがまずまずの歌唱であった以外は、見るべきところがない。ヌッチの代役のドッバーは、文字通り棒読みで、シモンとしての威厳は微塵も感じられないし、アメーリア役のチェドリンスは、リズム感やテンポ感がチグハグで、フレーズもぶつ切り。チェドリンスは、一般にはアメーリア役で好評を博しているようだが、この日は、マエストロの描くスピードや息の長いフレーズには、全くついていけていなかった。

マエストロの指揮から壮大かつ秀逸なヴェルディの音楽が流れていることが一目瞭然であったがゆえ、筆者としては、現実とのギャップに失望を隠せなかった。まさにマエストロの孤軍奮闘。全てを暗譜で振り、流れを好転させるべく、幾度となく気合いをこめるが、オーケストラ全体の反応は芳しくなく、ピット内から一体感は生まれてこない。瞬間的に火はつくが、表面的な大音響の域を超えないのだ。少なくとも演奏者側において、作品に対する一定の理解があれば、このようなサウンドにはならないはずなのだが。なお、第1幕第2場では、勢い余って指揮棒が折れる事故も。
今回は、レパートリーの再演ゆえ、事前練習はあまり行われていなかったのだろう。国立オペラ座として、もう少し真面目に準備をして欲しい。

なお、シュタインの演出は、オーソドックスで見やすい。装置をほとんど置かない節約系の演出という意味でも、一応参考にはなった。

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それにしても、国立オペラ座は観光客が多く、相変わらず客筋が悪い。演奏が始まってもおしゃべりが続くし、携帯は鳴るし、上演中にフラッシュを光らせる輩もいるし、真剣にオペラを愉しむ環境では全くない。これでは劇場内に緊張感は生まれにくいのもやむを得ないのかもしれない。

消化不良のもどかしさを胸に、国立オペラ座を後にし、街の中心へと向かう。ワインバーに行こうと思ったが、想定していた1軒は、人に溢れ、BGMも騒音に近いものであったため、パス。もう1軒は、地図を頼りに探すも、発見できず。
結局、前回訪れたゲッサー・ビーアクリニークへ。ビーフコンソメスープとツヴィーベルローストブラーテンを注文したが、前回のグラーシュの印象とは異なり、味わいがなく、塩っぽくて、正直美味しくない。ビールも、ドラフトのはずなのに、若干水っぽい。完全に失敗。すぐに店を出る。

行き場を失い、シュテファン寺院に向かうと、そこではイベントをやっていて、夜中にもかかわらず、中は観光客で溢れていた。オルガンの生演奏が行われていたが、曲はなぜかホルスト「火星」。照明の刺々しさと相まって、かなり微妙。

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諦めてホテルに帰ろうと思い、歩いていると、何やら雰囲気のよさそうなお洒落なワインバーを発見。飛び込みで入ると、そこは、ようやく訪れた楽園であった。その名は、V1no55(A-1010 WIEN Judengasse 7 / Ecke Sterngasse)。

マスターが一人で切り盛りをしていたが、このマスターがなかなかこだわりを持った方で、気さくに筆者の相談に応じながらも、こだわりのワインの数々を供してくれた。白ワインを3杯、リストにない赤ワインを1杯。
1杯目はSIPON (FURMINT) 2008 KRAINZ, LUTTENBERGで、ミネラル系のすっきりした味わい。2杯目は、GRUNER VELTLINER 2009 URBANIHOF PASCHINGER, FELSで、リースリングに似た深みのある味わい。3杯目は、GELBER MUSKATELLER 2010 WINLINGER-LOWANTSCHEK, JEDENSPEIGENで、マスカットに似た甘みのあるワイン。赤ワインはMORITZで、これも華やかさとフレッシュさと味わいの交錯する逸品。
最初からここに来ていればと思うも、あとの祭りであった。雨の降る中、ホテルに戻る。

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(公演情報)

SIMON BOCCANEGRA|Giuseppe Verdi
Myung-Whun Chung | Dirigent
Peter Stein | Regie
Stefan Mayer | Bühne
Moidele Bickel | Kostüme

Andrzej Dobber | Simone Boccanegra, Erster Doge von Genua
Roberto Scandiuzzi | Fiesco, Haupt der Adelspartei
Francesco Meli | Gabriele Adorno, junger Edelmann
Fiorenza Cedolins | Amelia
Marco Caria | Paolo
Sorin Coliban | Pietro
Gergely Németi | Hauptmann
Simina Ivan | Dienerin
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[2011/05/29 00:58] | 海外視聴記(ウィーン) | トラックバック(0) | コメント(3) |
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コメント
やはりそうでしたか!私もウィーン国立歌劇場で、観客のマナーの悪さに辟易すること数度。しかし、日本人の悪い癖で、「これが本場なんだ!」などと自分に言い聞かせておりましたが、でも、携帯の音がうるさくて、フラッシュが頻繁に光る「本場」なんて・・・・
[2011/09/04 00:22] URL | 犬飼裕一 #- [ 編集 ]
コメント頂き、ありがとうございました。7月に訪れたミラノ・スカラ座でも、数人の観光客がフラッシュを光らせて、雰囲気をぶち壊していました。この夏は色々と観てきましたが、老若男女問わず、また観光客かどうかに関係なく、演奏中にヒソヒソ話をする輩が想像以上に多いことにも閉口しています。
[2011/09/16 06:35] URL | 筆者 #- [ 編集 ]
今年の春にウィーン国立歌劇場で「アイーダ」をみたとき、平土間最前列の右端にいたのですが、斜め後ろのいかにも地元といった調子の観客が、イタリア語の歌詞を同行の老人に対してドイツ語の同時通訳。通訳といっても座席の字幕を読み上げているだけですが、その声の大きいこと。親孝行息子のほほえましいひとコマともいえますが、二百ユーロ弱の料金でこの環境は許せない。気になりだすと、かれらだけではなくて、劇場全体からひそひそ話し声が上がっているのですね。まるで弁当を食べながらみる歌舞伎みたい。ミュンヘンでもフランクフルトでもケルンでもそんな体験はないのですが、ウィーンというのは特別なのでしょうか。、
[2011/11/13 20:36] URL | 犬飼裕一 #- [ 編集 ]
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