ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(12年8月)⑧―ロッシーニ音楽祭―ルスティオーニ指揮「ブルスキーノ氏」
8月15日午前、ロッシーニの生家を参拝した後、街中を散策するも、土産物屋も含む多くのお店が夏季休業中で、あまり収穫はなかった。

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ペーザロ三日目になると、どこかで顔を見た日本人と目が合う機会が増える。午後1時すぎに、Restaurante Da Santeへ。地元の人々に愛される食堂風のレストランでは、陽気な店員がテキパキと対応してくれる。素材の味を活かしたシーフードは、抜群に美味しい。Antipasti、Primo、Secondoの後で、もう一回、パスタに戻り、レモンチェロをぐいっと呑んでしまうほど。食事後は気持ちよく昼寝することができた。

午後7時すぎ、ロッシーニ劇場へ。ダニエレ・ルスティオーニ指揮による「ブルスキーノ氏」。今シーズンの新演出である。この日は、夕方から湿度が急に高まり、日本の夏を思わせるほどの蒸し暑さだ。額からは大粒の汗が噴き出してくる。

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筆者の座席は、Palco A I Ordine 10の1列目。1階席中央で、前日マチネの一つ隣のBoxである。この日は、劇場内に多数のテレビカメラが設置され、収録がなされていた模様だ。

今回の演出では、「ロッシーニ・ランド」と称するテーマパークが舞台とされ、序曲開始前に小芝居が置かれた。オーケストラ奏者の数名や指揮者もテーマパークの構成員として舞台上から登場する。観客の一人を代表する役者が舞台上から登場し、ランプを持った係員に誘導されながら、客席内を歩くという演技もあり、観客を巻き込もうとする趣向の演出であった。観客役の役者が眼の前を通過する際に視線を合わせてみたら、「すみません」とでも言いたげな演技を返されてしまい、ちょっと笑ってしまった。上演時間が短いので、こういった小細工も悪くはないが、演出のコンセプトにおいて必然性があったとはいえないだろう。

序曲が始まると、ルスティオーニ&オーケストラ・シンフォニカ・ロッシーニは、心地よいアレグロで、観客を劇の中へと惹き込んだ。第2ヴァイオリンの弓でランプの傘を叩かされる奏法で有名な序曲であるが、この効果音は、打楽器により鞭を打つように激しく挑発的に演奏されたので、面白さが引き立っていた。

本編に入ると、ソフィーア役のマリア・アレイダ、フロルヴィッレ役のダビド・アレグレト、フィリベルト役のアンドレア・ヴィンツェンツォ・ボンシニョーレらが登場したが、演出や演技以前の問題として、彼らの歌唱の印象が良くなかった。第一曲におけるソフィーアとフロルヴィッレの二重唱、及び第二曲のフロルヴィッレとフィリベルトの二重唱に対する観客の反応は、非常に辛口。曲が終わった後に劇場内を支配した三点リーダー「…」的な微妙な間が舞台上の役者らに対して容赦なく突き刺さる。平土間を占める常連客らは、拍手どころか微動たりしない状況。ロッシーニ音楽祭の怖さを目の当たりにした。

第三曲のガウデンツィオのカヴァティーナでは、カルロ・レポーレがブッフォの面白さを巧みに表現し、ようやく流れが良くなったが、続く第四曲の三重唱は、ブルスキーノ父役のロベルト・カンディアによる卓越した歌回し、ガウデンツィオ役のレポーレによる手堅い仕事ぶりにもかかわらず、フロルヴィッレ役のアレグレトの早口言葉が滑りっ放しで、ロッシーニの書いた音楽の面白さが失われてしまっていた。

第五曲のソフィーアのアリアは、アレイダは超絶技巧の部分はパリッと決め、これに対しては拍手があったが、超絶技巧以外は相変わらず響きの据わりが悪い。声色がやや被さり気味で、リリック・ソプラノに向きにくいという点はともかく、基礎的なパッセージで不安定さを露呈してしまっていたのが残念だった。

この日の上演は、ブルスキーノ父とガウデンツィオの二本柱により、何とか最後まで持ちこたえたが、あの演奏水準では、ロッシーニ音楽祭における上演という看板を掲げて売り出すことは到底許されないのではなかろうか。終演後のカーテンコールは、盛り上がりに欠けていた。この日は全4回中2回目の上演日であったが、他の上演日の出来が気になるところである。

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なお、テアトロ・ソッテラネオによる演出に関しては、現代の小道具も駆使しつつも、内容的には基本に忠実な構成であり、オペラ・ブッファとして気軽に鑑賞できる仕立てになっていたといえる。コミカルな中にも、人間味のあふれる演技の数々が随所に仕込まれていた点は秀逸であった。ウルビーノ美術学校の学生らによる舞台装置も、シンプルかつファッショナブルであり、しかも細部までよく手が込んでおり、見応えがあった。彼らの総合力により、ロッシーニ初期の作品をここまでの充実度で仕上げたという意味で、高く評価されるべきである。ただ、少なくとも風船の破裂音や子供たちの叫び声のような雑音は、耳障りなだけで感心できない。

ルスティオーニの指揮は、躍動感に富んでおり、若書きのこの作品のフレッシュさにマッチしていた。バティストーニのような強引さがないので、音楽の流れは極めてスムーズだ。この日は湿度が高かったため、前日に比べると、オーケストラの音色は湿っぽく、じめっとした感じになってしまっていたが、ルスティオーニは、巧みなアウフタクトにより、彼らの潜在的な能力を最大限にまで引き出し、音色を綺麗に束ねるとともに、各パッセージを瑞々しく引き立てていたといえる。世界のトップレベルの歌劇場におけるロッシーニ演奏と遜色がない、あるいはそれを超える仕上がりであり、十分に満足のゆく演奏であった。彼が指揮台に立つ他のイタリアの歌劇場における上演にも接してみたいと思う。

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終演後は、Restorante Molettoへ。海岸に位置するごく普通のリゾートレストランを超えるものではなく、雰囲気を楽しむ以外の使い道はなさそうだ。海辺から眺めた星空が素敵であった。

翌朝午前9時すぎにホテルをチェックアウトし、ペーザロ駅へ。そこからFrecciaBianca9810でボローニャへ。 時間的にタイトであったため、一抹の不安はあったが、幸いにもこの日は10分程度の遅延で済んだので、無事にボローニャ空港でチェックインを済ます。

ボローニャ空港からはLH1873便にてミュンヘンへ。天候不良で出発が45分遅れたが、イタリア人によるオペレーションは超マイペースである。ミュンヘンでは約50分の乗継で、LH714便にて帰国の途につく。満席すし詰め状態のA340-600のエコノミー席に揺られ、テンションは下がりっ放しであった。機内食のレベルの低さは予想を遥かに超えるもので、ギャレーに置いてあるおにぎり以外に、笑顔になれる要素は一つもなかった。共同運航便とはいっても、サービス面でANAとは天と地ほどの差があり、次回はANAで統一しようと心に誓いつつ、成田に到着した。


(公演情報)

Teatro Rossini

15 agosto, ore 20.00

IL SIGNOR BRUSCHINO

Nuova produzione

Direttore: DANIELE RUSTIONI

Regia: TEATRO SOTTERRANEO


Interpreti
Gaudenzio: CARLO LEPORE
Sofia: MARIA ALEIDA
Bruschino padre: ROBERTO DE CANDIA
Bruschino figlio / Commissario: FRANCISCO BRITO
Florville: DAVID ALEGRET
Filiberto: ANDREA VINCENZO BONSIGNORE
Marianna: CHIARA AMARÙ

ORCHESTRA SINFONICA G. ROSSINI
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[2012/08/20 20:39] | 海外視聴記(ペーザロ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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