ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(11年5月)③―スクロヴァチェフスキ指揮 ベルリンフィル 「ブルックナー3番」
5月28日朝、AB8269便にてベルリンへ。到着後、バスで中央駅へ。
この日の宿泊は、ベストウェスタンベルリンミッテ。ウェブでは、中央駅から500メートルとの案内があったが、実際はその倍くらいあった。

この日のベルリンは、風は冷たいが、日中は暑く、街中は半袖姿で歩く観光客で溢れていた。
夕方まで時間があったので、ドイツ連邦議会議事堂の横を通って、ブランデンブルク門へ。テオドール・トゥーハーで遅めのランチを。
ベルリン風ポテトスープ、そしてホワイトアスパラガスのスモークハム添え。著名人も訪れる有名店だが、味は上々。ヴァイスビールとヘーファバイスを1杯ずつ。

その後、壁博物館で壁について学び、ポツダム広場にあるフィルハーモニーへ。
この日の演目は、スクロヴァチェフスキ指揮によるベルリンフィル定期公演の3日目。曲目は、ハルトマンの歌曲「歌の情景」とブルックナーの交響曲第3番。小澤の降板に伴い、その代役としてミスターSが25年ぶりにベルリンフィルに客演した。なお、座席は、Bブロック7列目の端の方で、雨宿りスレスレの若干微妙な席であった。もう少しセンター寄りだと、上手側からの跳ね返りの余韻も届き、より立体的な音像が楽しめただろう。

blog20110528-01

ハルトマンは、20世紀前半の作曲家である。今回演奏される作品については、筆者自身、全くの不勉強で、内容もわからなかったが、聴いている限り、オーケストレーションは非常に混みいっており、個々のパートをみても、またアンサンブルという観点からも、技術的に極めて難しい作品であることはよくわかった。

ミスターSは、この複雑怪奇な作品を手堅く捌いていた。バリトンのマティアス・ゲルネも迫真の表現を魅せ、大音響で迫ってくるベルリンフィルと対等に張り合っていた。消されるか消されないかのギリギリのところでバランスをとるミスターSの手腕は、あいかわらず素晴らしい。不協和音を文字通り不協和音として鳴らすベルリンフィルもさすがだ。弦楽器からは、ベルリンフィル特有の彫りの深い筋肉質な刻みも聴くことができ、ベルリンフィルの機能性を十分に楽しむことができた。

プログラムの後半は、ブルックナーの交響曲第3番。ミスターSの十八番だ。

blog20110528-02

最近のベルリンフィルは、オーケストラというよりも、ソリストの集合体といった印象が強い。インターナショナルな華やかさと豪華さを伴ったサウンドは、非常に開放的かつ自由である。それゆえ、最大公約数的なアンサンブルになることも多く、ブルックナーのような作品では、そのファジーさが吉と出るか凶と出るかは、微妙なところである。この点で、楷書体のミスターSとは、水と油なのではないかと危惧していた。

結論からいえば、この予想は、よい意味で的中した。

ミスターSは、暴れ馬であるベルリンフィルの手綱を強く引き、自らの世界観を頑固なまでに貫き通す。ベルリンフィルも黙ってはいない。特に個々がソリスト的に演ずることが可能な場面では、枠からはみ出ようとして、表情豊かなカンタービレをもってこれに挑む。
また、最近のベルリンフィルによく見られる音の立ち上がりのファジーさに対しても、ミスターSは、厳格なアウフタクトをもって、枠にはめようと試みる。例えば、第1楽章冒頭すぐに現れるユニゾン的な強奏のテーマなどは、ベルリンフィルほどのレベルであれば、ほとんど打点は要らないはずだが、そこでミスターSは、あえてアウフタクトとして3拍目と4拍目を提示するだけでなく、音が延びている間も執拗に叩き続ける。これに対して、ベルリンフィルが素直に応じようとせず、自分たちの呼吸で見得を切ろうとするから痛快だ。

もちろん両者が同調する場面も多く、第2楽章などの落ち着いた場面では、礼節をわきまえた響きが会場を満たしていたし、両者のカンタービレのツボが合致した箇所では、響きの重心の低いベルリンフィルから巨大なうねりが生まれていた。ミスターSがスイッチを押すと、そのパートからたちまち豊潤な響きが立ち昇るから面白い。

この日の演奏は、ミスターSの芸風を知る者からすれば、ミスターS特有の分析的かつ計算し尽された音像の構築までには至っていなかったと思われる。しかし、隙があれば仕掛けてやろうとするベルリンフィルと、絶対に妥協しないミスターSの対峙は、経験と実力を兼ね備えた芸術家同士の対決という意味で、緊張感に満ち溢れていた。この雰囲気は、生演奏でしか味わえない。あの瞬間に立ち会えたことは、非常に幸せであった。ラトルやドゥダメルでは、こうはならないだろう。ノリノリのベルリンフィルも愉しいが、芸術家としての意地を見せ付けるベルリンフィルも魅力的である。今のこの時代、こういうタクトが振れるマエストロは、他にいるだろうか。ミスターSには、是非近いうちに、再度ベルリンフィルと対決して欲しいと願うばかりである。

終演後は、ミスターSの健闘を称え、会場中からブラボーの嵐が鳴り響く。会場には、ミスターSを知るマニアも多く押しかけていたと思われる。一般参賀1回。

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終演は22時。会場を後にし、フィルハーモニーの隣のソニーセンターにあるリンデンブロイへ。白ビールと黒ビール、そして白ソーセージとアイスバインを。アイスバインは、写真ではそれほど大きく見えず、値段も手ごろだったため、大丈夫だろうと思い注文してみたが、やはり一人で完食するには大きすぎた。


(公演情報)

Berliner Philharmoniker
Stanisław Skrowaczewski Conductor
Matthias Goerne Baritone
Karl Amadeus Hartmann
Song Scene for baritone and orchestra on a text fromSodom and Gomorrah by Jean Giraudoux
Anton Bruckner
Symphony No. 3 in D minor (1889 version)
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[2011/05/31 18:13] | 海外視聴記(ベルリン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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