ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(12年11月)⑦―マゼール指揮ミュンヘンフィル「ミサソレムニス」
11月30日午前、LH1843便にてローマからミュンヘンへ。午後3時すぎに宿泊先であるHotel Royalにチェックイン。ミュンヘン中央駅から徒歩数分に立地する3つ星ホテルで、清潔感のあるコンパクトな部屋が魅力的。カジノ等の立地するやや空気の悪そうな場所ではあるが、治安は特に問題はなかった。今回の旅程で滞在した街の中でミュンヘンは、極端に気温が低い。最高気温が0度前後で、日中は氷点下。郊外には、うっすらと雪が残っていた。

チェックイン後、クリスマスマーケットを散策。彼らのクリスマスにかける意気込みにはいつも驚かされる。コツコツと積み上げるドイツ人気質に感慨を覚えつつ、いったんホテルに戻り、休息。

午後7時半頃、ガスタイクへ。ロリン・マゼール指揮ミュンヘンフィルによる定期演奏会。ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」が採り上げられた。

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筆者が確保した座席は、Gブロック2列目上手側。この場所は1列目が存在しないので、実質的には最前列である。サントリーホールでいえば、RBブロックとRCブロックの間くらいに相当するであろうか。以前にJブロック4列目下手側中段付近に座った際には、木目調の豊かな響きとともに、割と音の分離が良い印象であったが、この日の座席では、舞台上から発せられる巨大な音像の壁に阻まれて、舞台の下手側の音が直接には届いてこない。加えて、右隣のFブロックの壁が間近に迫るため、音の響き方に歪みがあった。音の厚みが減るとそれなりにクリアに聴こえてくるのだが、全体としては妙に響きすぎている印象であった。

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さて演奏の方だが、オーケストラは、ミュンへフィルのクオリティに照らすと標準的なレベルは維持できていたものの、三夜続く演奏会の初日ということもあり、オーケストラの方はまだ完全には作品を掌握できていなかった模様。休符後の入りのタイミングで様子見となってしまう場面が見受けられ、響きの点でもやや大味な印象であった。

ベートーヴェンのスタンダードが身に沁み込んでいる彼らゆえ、オーソドックスなベートーヴェンの和声進行に関しては、申し分ないのであるが、「ミサ・ソレムニス」特有の響きが登場すると、座りが若干悪かった。「ミサ・ソレムニス」の世界観と正面から対峙しきれていないもどかしさが常について回った。

それでも、明るく伸びやかな音色とボリューム感は堪能でき、ドイツの様式を基礎に置きつつも、皆で仲よくアンサンブルをしようとする粋な雰囲気は、十分に伝わってきた。翌日、翌々日と演奏を重ねるうちに、演奏に落ち着きと深みが増してゆくであろう。

合唱は、ミュンヘン フィルハーモニック合唱団。大人数での出演である。演奏の方は、一応の水準ではあったが、可もなく不可もなく。キャスト陣も特筆に値するレベルではなかったが、安定感があり、総じて悪くはなかった。

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というわけで、この日は、マゼールの意図が十分に実現された演奏会とはいえなかったが、それでもマゼールらしさは随所に垣間見ることができた。

第一曲「キリエ」では、まとわりつくような粘着系のsostenutoが不思議な感覚を呼び起こす。中間部では、もぞもぞと何かが蠢くが、体温は上がらず。これだと、「憐れみ給え」などと言われなくても、憐れんでしまうかもしれない。

第二曲「グローリア」は、適度に筋肉質なサウンドで、奇異な点はなかったが、全体のバランスを図り、アンサンブルを整えながらも、ポイントを見定めてグッと盛り上げてくる手腕はさすがである。そして、in Gloria Dei Patris, Amenによるフーガに入ると、マゼールが仕掛け始めた。楽譜通りのはずだが、執拗なアクセントが妙に耳に残る。クライマックスは築かれたが、通常想定されるような華々しい幕切れとは何かが違ったような。

第三曲「クレド」は、色々な要素が盛り込まれているが、その尖った各々のエッセンスをそのまま丸裸にしてみましたと言わんばかりの変態ぶり。現代音楽に通ずる衝撃度であり、ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲にも垣間見られる精神分裂ぶりが炸裂していた。中間部では、フルートが吹くパッセージを色濃く歌わせて目立たせていたが、これは次の「ベネディクトゥス」への伏線になっていたことに後で気づかされた。

第四曲「サンクトゥス」は、冒頭の静寂の具合が絶妙だ。「ベネディクトゥス」では、コンサートマスターのスレテン・クルスティクによる独奏ヴァイオリンの旋律が凛として美しく、安心して心を委ねられるのが良い。

第五曲「アニュス・デイ」は、マゼールの横顔に初めて人間の血が通い、カンタービレがグッと心に迫る。トランペットとティンパニによる戦争の暗示の効果もピリッと決まり、充実の終曲となった。


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この日のマゼールは、オーケストラのコンディションを踏まえたためか、やや大人しい感じで、手堅くまとめることに注力していたようだが、ひとたび彼が仕込んだネタが全開になれば、期待を裏切らない変態演奏が繰り広げられたであろうということは想像に難くない。マゼールの手にかかると、ミュンヘンフィルすらもお子様扱いになってしまうのだということを痛感させられる一夜であった。いったいマゼールは、どれだけの引き出しを持っているのだろうか。来年4月の来日公演では、是非ともその変態ぶりを如何なく発揮していただきたい。

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終演後は、ガスタイクの隣にあるHilton City併設のレストランで、軽く食事を採る。ドイツのビアレストランであれば、ビールが美味しいことに間違いはないから、まともそうなレストランを選べば、外れることはない。ドイツ人らしい一生懸命なサービスを受けつつ、小一時間ほど滞在し、ホテルに戻る。


(公演情報)

Freitag, 30.11.2012, 20:00 Uhr - Philharmonie im Gasteig

Beethoven "Missa solemnis" D-Dur op. 123

Lorin Maazel, Dirigent
Joyce El-Khoury, Sopran
Daniela Barcellona, Mezzosopran
Christian Elsner, Tenor
Albert Dohmen, Bass
Die Münchner Philharmoniker
Philharmonischer Chor München
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[2012/12/02 17:44] | 海外視聴記(ミュンヘン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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