ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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マゼール指揮ミュンヘンフィル―2013来日公演①
4月13日正午頃、サントリーホールへ。ロリン・マゼール指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団による来日公演。ベートーヴェンのコリオラン序曲、交響曲第4番、第7番が採り上げられた。会場内は、有名だから来てみたという感じの年配の一見さんと、マゼール御大の信者と思われるコアなファンに二極化しており、ピリピリとした緊張感が漂っていた。

筆者が発売初日に確保した座席は、1階席13列目上手側中央寄り。弦楽器中心の響きと臨場感を体感しつつ、響きの全体像も把握しようという観点からの選択ではあったが、内声部が埋もれてしまい、やや狙いが外れてしまった感はある。あと数列前を選ぶべきであったと反省。

前日夜に名古屋で公演を終えたばかりのミュンヘン・フィルからは、タイトスケジュールと時差ボケに伴う疲労感が漂ってくる。正直なところ、コンディションはあまり良くはなかった。プログラム前半一曲目のコリオラン序曲は「音出し」に近かったといえよう。冒頭は響きがバラバラであったし、アンサンブルの観点からも、付点音符のリズムが前のめりになったり、パート間の掛け合いに時差が生じたりと、完成度は高くはなかった。そのような中で、オーケストラを整理整頓しつつ、後半のクライマックスに向かう場面では、悪魔の囁きのような静寂から大きな魔物が蠢き始めるかのようなシーンをちらつかせるなど、マゼール御大らしい一面が垣間見られた点は、救いであった。

プログラム前半二曲目は、交響曲第4番。こちらも第三楽章までは体温が低かった。第一楽章の序奏部を沈み込むような暗さで開始するのは想定の範囲内であったが、主部に入っても全く愉しくならない。あえて艶消しをしたかのような演奏。第二楽章も、カンタービレが薄く、実に淡々と進行する。どういう仕掛けになっているのかよくわからないが、マゼール御大のタクトから導き出される音色には、常に影が差しており、世紀末的な不気味さや退廃的な不健全さをも顔を見せる。コリオラン序曲の印象がシンクロする瞬間もあった。明るさと快活さ以外のあらゆる響きが眼前に提示されたかのような錯覚に陥る。いったい何をしたいのかと我慢の限界に陥りそうになったところで始まった第四楽章。ここで全てが判明した。第一楽章から第三楽章は、明るく突き抜けるような第四楽章を引き立てるための前座にすぎなかった。第四楽章で一気に春を演出し、交響曲第7番につなげるという魂胆だったようだ。

これにより、会場の雰囲気にスイッチが入った。プログラム後半の交響曲第7番は、満を持してのやりたい放題である。よくもまあ、これだけたくさんのことが思いつくものだ。ボウイングも明らかに変だし、楽器間のバランスから表情付けまで、ネタの宝庫。ミュンヘンフィルの有する若々しくチャレンジングな雰囲気が、マゼール御大の奇天烈な演奏スタイルの面白さをダイレクトに浮かび上がらせるので、痛快さはなおさらだ。タクトをグルグル振り回して、大見得を切りまくったマゼール御大は、最速記録に迫ろうとする第四楽章をスリリングに締めくくり、爆発的な熱狂の渦を築き上げた。

アンコールは、エグモント序曲。コーダをぶっ放すだけぶっ放してお開き。カーテンコールでは、当然のように一般参賀であった。久々にドヤ顔のマゼール御大を拝むことができた。

プログラム全体を一つのドラマとして仕立てるマゼール御大は、役者そのものであり、真剣勝負のエンターテイナーである。信頼できるパートナーとの共演でなければ、マゼール御大の凄さは活かされない。そういう意味で、昨年のN響との演奏とは段違いの充実度であったといえる。ガスタイクで聴くような精彩なアンサンブルではなかった点が悔やまれるが、熱気と興奮は現地における通常公演以上とも思われ、胸がすくような気分で会場を後にした。


(公演情報)

2013年4月13日(土)13:00開演
会場:サントリーホール

管弦楽:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ロリン・マゼール

曲目
ベートーヴェン:
序曲『コリオラン』
交響曲第4番 変ロ長調 op.60
交響曲第7番 イ長調 op.92
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[2013/04/13 16:49] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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