ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:--] | スポンサー広告 |
欧州行き(13年4月)④―ウィルソン指揮チューリッヒ歌劇場「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
4月28日午前6時50分、ICEにて、4時間余りをかけて、フランクフルトからチューリッヒに戻る。仕事面での疲労が溜まっており、何もできないまま、ぼーっと外を眺めて終わった。正午前に宿泊先であるホテルリマートホフに到着したが、午後1時頃でなければチェックインできないとのことで、荷物を預けてBellevueのSternen Grillでソーセージとビールを嗜みつつ、時間を潰す。昨年秋の時点では、広場の真ん中の仮設テントでの営業であったが、いつの間にかお洒落なカフェ風の店舗での営業となっていた。値段も若干上がった気がする。

20130428-01

午後2時前、チューリッヒ歌劇場へ。ケリー=リン・ウィルソン指揮による「ムツェンスク郡のマクベス夫人」。今シーズンのプレミエで、ウィルソン指揮による初日である。

筆者の座席は、2. Rangの上手側1列目。普通に座ると、舞台の上手側4分の1くらいが見切れてしまうが、この演目は発売当初から人気が高かった新演出ゆえ、昨年11月下旬時点で残っていた座席の中では、まだまともな方であった。 なお、音響的には特に問題は感じなかった。

20130428-02

ウィルソンの指揮は、繊細で、きめ細かく、デリケートな音色を引き出す。倍音がバランス良く鳴り響き、音色が明るい。ショスタコーヴィチの音楽から印象派的な美しさを感じたのは初めてである。また、オペラ指揮者としての手腕もなかなかだ。とりわけ歌手の呼吸の掴み方がうまい。時間軸を一定密度で着実に前へと進めつつ、スケールの大きなカンタービレを適切なアウフタクトで流し込み、決め所では見事に手綱を引き締める。明るく快活な場面におけるスッキリとした気負いのない推進力は、聴き手の気持ちを朗らかにさせる。このセンスがイタリアものでどのように活かされるかは未知数だが、色彩感のあふれる作品では、間違いなく素晴らしい上演を期待できる指揮者といえよう。

20130428-03

アンドレアス・ホモキの演出は、いかにも彼らしいといえるが、全幕を通じて同じ舞台セットであり、カラフルな色合いの空間の中央に、回転する横長の箱が一つ。シンプルながらも、良く整理された舞台であり、この作品の演出としては分かりやすく自然であった。ドギツイ衣装も、ショスタコーヴィチの場合は、逆に親和性がある。出演者がドタバタと舞台上を走り回る場面が多く、音楽の静寂を阻害していたのが若干気になったが、怒りを覚える類のものではなかった。

特にテンションが上がったのは、第一幕第三場幕開けのカテリーナのアリア。オーケストラの最弱音によるデリケートな感情表現とともに実に素晴らしかった。また、第二幕間奏曲は壮大な音楽的高揚が見事であった。休憩を挟んだ第三幕以降は、粗野なテイストが前面に出てきて、勢いと迫力を伴うようになった一方で、前半で感じられた音色や響きの緻密さが後退し、音楽的な完成度が幾分下がってしまったのが惜しかった。第四幕では、カテリーナの心情表現が実に巧みであったが、シニカルな台本と付された音楽が生理的に受け付けない部分もあり、感情移入をする程ではなかった。

20130428-04

キャスト陣の中では、カテリーナ役のグン=ブリット・バークミン。昨年のウィーン国立歌劇場来日公演「サロメ」でも観たが、歌唱面のみならず、演劇的な表現力の点でも非常に説得力がある。性暴力をテーマにしたこの作品にありながら、カテリーナの悲痛な感情の動きを美しく浮かび上がらせることに成功しており、後味のよい舞台とすることに寄与していた。

20130428-05

カーテンコールは、そこそこの盛り上がり。日曜日のマチネ公演ゆえ、コアなオペラファンというよりは、近隣の愛好家の社交場としての色彩が強い。そうした観客層には、やや刺激が強すぎたのかもしれない。筆者個人として好きな作品ではないが、欧州の最先端を行くプロダクションの一端を垣間見られたことは、大変勉強になった。

終演後は、Globus Bellevueのフードコートで軽食を済ませ、いったんホテルに戻り、休息。夜の「ファルスタッフ」に備える。


(公演情報)

Lady Macbeth von Mzensk
Dmitri Schostakowitsch

28 Apr 2013, 14:00

Musikalische Leitung: Keri-Lynn Wilson
Inszenierung: Andreas Homoki

Katerina Ismailowa: Gun-Brit Barkmin
Boris / Geist des Boris: Kurt Rydl
Sinowij: Benjamin Bernheim
Sergej: Brandon Jovanovich
Axinja: Kismara Pessatti
Sonetka: Julia Riley
Zwangsarbeiterin: Lidiya Filevych
Der Schäbige / Kutscher / Betrunkener Gast: Michael Laurenz
Verwalter / Polizist: Valeriy Murga
Pope / Alter Zwangsarbeiter: Pavel Daniluk
Polizeichef / Wächter / Sergeant: Tomasz Slawinski
Hausknecht: Christoph Seidl
Lehrer: Ilker Arcayürek
1. Vorarbeiter: Michael Laurenz
2. Vorarbeiter: Roberto Ortiz
3. Vorarbeiter: Benjamin Russell
Mühlenarbeiter: Robert Weybora

Philharmonia Zürich
Chor der Oper Zürich
スポンサーサイト
[2013/05/06 19:10] | 海外視聴記(チューリッヒ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
<<欧州行き(13年4月)⑤―サンティ指揮チューリッヒ歌劇場「ファルスタッフ」② | ホーム | 欧州行き(13年4月)③―ケイル指揮フランクフルト歌劇場「ローエングリン」>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://mashi1978.blog97.fc2.com/tb.php/189-cbee4a2c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
プロフィール

mashi1978

Author:mashi1978
FC2ブログへようこそ!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。