ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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大野指揮ウィーン交響楽団―来日公演②「ベートーヴェン」
5月15日午後7時前、サントリーホールへ。大野和士指揮ウィーン交響楽団の来日公演。この日はベートーヴェン・プログラム。ピアノ協奏曲第4番と交響曲第3番「英雄」の組合せである。

この日の入場者数は、前々日よりもさらに少なく、5割程度と見受けられた。客席には子供連れも多く、幾分緩んだ雰囲気が漂っていた。

筆者が発売初日に確保した座席は、2階RBブロック4列目。デルタの前方である。前々日よりも2列前に出ただけだが、サウンドに生々しさが加わった反面、弦楽器のバランスが悪くなった。デルタの頂上で聴いたら、また違った印象になったであろう。個人的には、前々日のポジションの方が好みである。

プログラム前半は、インゴルフ・ヴンダーを独奏に迎えて、ピアノ協奏曲第4番。言わずと知れた中期の傑作である。それゆえ、筆者の期待は高かったが、残念ながら、この日の演奏は、期待外れに終わったといわざるを得ない。

確かに、ウィーン交響楽団の演奏は、さすがのクオリティであり、彼らが演奏すると、穏やかなウィーン風の香りが自ずと浮き立ち、本場の空気が送り込まれるのが不思議だ。第三楽章冒頭の温かさと柔らかさと輝きに満ちたニュアンスは、ウィーンのオーケストラでなければ出せないものといえる。ヴンダーの独奏も、音の粒が繊細かつ綺麗で、ウィーンの香りを纏う。スペックとしては、悪くはなかった。

しかし、この日の演奏はそれに尽きていたようにも感じた。理由は二つある。一つは、独奏を務めたヴンダーにおいて、構成力に乏しく、説得力が弱かったこと、もう一つは、ヴンダー自身が殻に籠っている感じで、協奏曲の醍醐味であるアンサンブルの要素が伝わってこなかったことだ。独奏者のレベルがそれなりであると、そのレベルに合わせてそれなりの演奏になってしまうというのは、よくあることではあるが、ちょっとお粗末な仕上がりであった。

プログラム後半は、交響曲第3番「英雄」。大野自身が「指揮者を夢見た衝撃の出逢い」と説明するこの作品では、タクトにも気迫が漲っていた。

全体の設計としては、随所に現れるカンタービレに対しては十分な呼吸と間を与えつつ、それ以外はむしろ速めのテンポでスッキリと前に運ぼうというもの。マエストロ大野は3月下旬から4月上旬にかけてリヨン国立歌劇場で「フィデリオ」を指揮しているが、音楽的なアプローチとしては「フィデリオ」から得られるインスピレーションに近い印象を持った。

この進め方は、作品を聴かせるという観点からは理にかなったテンポ設定であり、マエストロ大野らしい運び方といえるが、この作品に関しては、舞台に乗せるのはこの日が初めてであったため、オーケストラとの間に、テンポ感に微妙なズレが生ずる箇所が少なくなかった。すなわち、カンタービレで若干緩んだ直後に快速インテンポに引き戻すというストイックさは、ウィーン交響楽団の各メンバーの体内時計には刻み込まれていなかったようで、インテンポに乗り遅れる奏者が必ず数名発生してしまい、試行錯誤が続いたようだ。その結果、音楽的な緊張感は、前々日のブラームスのときほどには高まらず、現地における通常公演の域を超えない凡庸な仕上がりにとどまったように思われる。第二楽章の後半では、素晴らしい一体感が醸し出された瞬間があっただけに、残念である。

とはいっても、ウィーン風のベートーヴェンは、ドイツ風とは違った味わいを感じさせる。音符や余韻の処理のデリケートさは、ウィーンでなければ表現できない奥ゆかしさでもあり、この日の演奏でもウィーン交響楽団の巧さが随所に垣間見られた。日本のオーケストラが演奏したら、力技が先行し、トゲがたくさん見えてきてしまうであろう。

アンコールは、J.シュトラウスⅡの作品から、ワルツ「春の声」、トリッチ・トラッチ・ポルカ、「雷鳴と稲妻」の三本仕立て。前々日のアンコールと同じ曲目であり、回数を重ねた結果、オーケストラとの一体感は抜群に上がり、演奏自体の完成度も高まった。


(公演情報)

2013年5月15日(水)19:00開演
会場:サントリーホール

演奏:ウィーン交響楽団
指揮:大野和士
独奏:インゴルフ・ヴンダー

曲目
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
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[2013/05/18 00:21] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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