ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(13年8月)⑨―ロッシーニ音楽祭―「なりゆき泥棒」
8月21日午後7時すぎ、テアトロ・ロッシーニへ。1987年制作の「なりゆき泥棒」の再演である。このマニアックな演目の上演を任されたのは、中国の女流指揮者、リン・イーシェン。

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筆者の座席は、前日に同じく最前列中央。この日の上演に関しては、残念ながら、第一曲「序曲と導入曲」から、音楽的な違和感でいっぱいになった。

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問題の所在は、リン・イーシェンの指揮に求められると思われる。全曲を暗譜で振る意気込み、そして細かいニュアンスを一つひとつ棒で示そうとする丁寧な姿勢は、日本の音楽大学であれば評価されるであろう。勉強を重ねていることは感じられるし、やりたいことも分かる。しかし、出てくる音楽は、生気を失っており、およそロッシーニらしくない。

バトンテクニック的には、曲の冒頭からテンポを伝えきれていない点が最大の問題といえる。曲が始まっても、オーケストラピットや舞台上には、様々な「迷い」が渦巻いているのが手に取るように分かり、数小節を経過してようやくテンポが落ち着くという場面が散見される。また、押し付けるような打点がオーケストラの音を下向きに誘導し、厚い雲に覆われたかのような音色になっていたのも望ましくない。力が入りすぎなのではなかろうか。さらに、フレーズの末尾でセンチメンタルになりすぎて、テンポ感を喪失するのも、他の作品であればともかく、ロッシーニにはふさわしくない。音楽が止まってしまい、聴いている方も息が詰まりそうになる。全てを細かく振ろうとすると、こういう悪循環が生まれてしまうのであろう。

昨年の記憶では、このオーケストラは、ここまで下手ではなかったと思うが、tuttiの和音の音程があからさまに乱れたり、死んだ魚の目のような艶のない響きを発したりしていたのは、指揮者のタクトに起因していたと疑わざるを得ない。ヴァイオリン奏者の視点から見ても、あんな風に振られたら、ああいう音の出し方になってしまうだろうと納得がゆく。イタリアものは、こねくり回さず、シンプルにスパッと指揮した方が良い結果が生まれるはずである。それにしても、指揮者の力量がここまで如実に音に表れるというのは、恐ろしい話だ。他の歌劇場であれば、もう少し取り繕ってくれるであろうし、バレないで何とかなってしまうものである。反面教師的な観点から、非常に勉強になった。

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他方、キャスト陣は、粒ぞろいであった。指揮の未熟さから、前半は、躍動感がなく、惨憺たる状況にあったが、実力のある歌手陣が揃っていたことから、後半は、むしろ歌手のテンポで音楽が進行を始め、オーケストラも自然とそちらに吸い寄せられていった。その結果、指揮者が余計な手出しをする余地が少なくなり、舞台に活気が生まれてきたため、舞台という観点からは、それなりに愉しむことはできた。

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演出に関しては、古典的ではあるが、安心感があって良かった。マルティーノが客席から登場したり、オーケストラピット内に飛び込んだり、奇抜な動きはあったが、嫌味がないので、素直に受け入れられる。舞台美術上は、旅籠の一室とエウゼービオの家に関し、外壁や家具類の絵を垂れ幕に描くという手法で表現していたが、陳腐に見せないあたりは、熟練の技と言えようか。垂れ幕の活用は、吊りとの効率的な組み合わせにより、スムーズな場面転換の実現にも寄与していた。

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終演後は、テアトロ・ロッシーニ近くのレストラン、Felici e Contentiへ。店内は、終演後の観客で溢れていたが、室内の1席を無事に確保できた。このレストランは、店員の愛想が良く、居心地がよい。注文した魚介のリゾットは、今回の旅行の中で1、2を争う美味しさであった。こうして、一日の最後にようやく満足度を高めることができ、気分よく帰路につく。翌日夜のディナーの予約をして、ホテルに戻った。


(公演情報)

21 agosto, ore 20.00
Teatro Rossini

L'OCCASIONE FA IL LADRO
Burletta per musica in un atto di Luigi Prividali
Produzione 1987, riallestimento

Direttore YI-CHEN LIN
Regia, scene e costumi JEAN-PIERRE PONNELLE
Ripresa della regia SONJA FRISELL

Interpreti
Don Eusebio GIORGIO MISSERI
Berenice ELENA TSALLAGOVA
Conte Alberto ENEA SCALA
Don Parmenione ROBERTO DE CANDIA
Ernestina VIKTORIA YAROVAYA
Martino PAOLO BORDOGNA
ORCHESTRA SINFONICA G. ROSSINI
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