ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(13年8月)⑪―ロッシーニ音楽祭―ゼッダ指揮「湖の女」
8月23日、午前中は砂浜の散歩と買い物をして過ごす。ペーザロに来て5日目にして、ようやくこの地らしい昼の時間を過ごすことができた。なお、ロッシーニ音楽祭最終日ということもあって、2軒ある土産物屋の在庫はかなり底を尽きかけていた。次回は、買い物だけは早めに済ませておいた方が良さそうだ。

荷物をホテルに置いた後、今回のペーザロ滞在における最後の食事の場所に選んだのは、TRATTORIA "DA SANTE"。トマトベースのショートパスタと、エビのグリルが、いずれも美味しすぎた。リモンチェッロで締めくくり、大満足の昼食であった。これがこの後の禍になるのだが。

ホテルに戻り、しばし休息。そして目覚めると、外が暗い。なんと時間は午後8時。完全に寝坊である。大慌てでテアトロ・ロッシーニに走る。やはり昼の酒食は控えなければならない。

午後8時半前、テアトロ・ロッシーニへ。アルベルト・ゼッダ指揮ボローニャ市立劇場管弦楽団・合唱団による「湖の女(湖上の美人)」(演奏会形式)。ロッシーニ音楽祭2013を締め括る演奏会である。なお、この演奏会は、ポポロ広場の特設野外スクリーンでも中継されていた。

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第一曲「序曲と導入曲」では、まだ身体が温まっていないような感もあったが、第二曲の後半「エーレナとウベルトの二重唱」から徐々に体温が上がり、よいムードが流れ始めた。

第三曲の「マルコムのカヴァティーナ」で、アマルが圧倒的な存在感を示すと、劇場内の緊張感は一気に高まり、ロッシーニ以外の第三者に作曲が委ねられた第四曲の「ドゥグラスのアリア」も、熱気を保ったままスムーズに進行。第五曲「エーレナとマルコムの小二重唱」では、歌手とオーケストラを柔軟に操るゼッダの魔法のようなタクトに目が釘付けになった。

このまま順調に進むかと思いきや、第六曲「ロドリーゴのカヴァティーナ」に入ると雲行きが怪しくなり、最初はキレのあったスパイレスの歌唱にも陰りが窺われるようになった。何が起きたのかと不安になった矢先、突如、ゼッダの体調不良で、曲が中断。劇場内は、マエストロの容体を心配する声に包まれた。

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小一時間の休止の後、無事に演奏は再開された。舞台に戻ったゼッダは、再び元気な姿で指揮台に立ち、集まった聴衆を安心させた。

音楽的に最も充実していたのは、第七曲「第一幕フィナーレ」。このナンバーは、ロッシーニの天才的な構成力が発揮された傑作であるが、登場人物らの間で繰り広げられる内面的葛藤、力強さと安定感を兼ね備えた堂々とした行進、吟遊詩人たちの歌う讃歌の清らかな美しさなど、ゼッダは各場面の色合いを多彩な響きで明快かつ十分に引き出すことに成功していた。アンサンブルオペラの醍醐味が存分に味わえる演奏で、この部分が聴けただけでも満足といえる中身の濃いものであった。

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再び15分間の休憩を挟み、第二幕が開演。

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二回の休憩を経るという異例の展開ゆえ、オーケストラは、集中力を維持することに難儀していた模様。第一幕フィナーレと比べると、やや精彩さを欠く場面も散見され、縦の線がばらける瞬間も見られた。もっとも、音色の美しさが最後まで健在であったのは救いであった。

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第八曲「ウベルトのカヴァティーナ」では、コルチャックが輝かしい美声で劇場内を魅了。第九曲「三重唱」では、ゼッダのタクトに気合いと熱気が帯び、触発されたオーケストラからも躍動感にあふれるサウンドが湧き上がった。キャスト陣も充実の歌唱で各役柄のキャラクターを演じ切っていたといえる。ロッシーニらしいアンサンブルのパワーに開眼させられた。

第十曲「マルコムのアリア」は、アマルが再び存在感を示す。後半のアレグロへの転換時に見られたゼッダによるテンポの機敏な引き締め具合と、それにはまったアマルの歌唱が相乗効果となって活気づき、劇場内は大喝采となった。

第十一曲「小カンツォーネ」で、第一幕冒頭のエーレナの歌が回帰されると、いよいよ劇は最終場面へと進行する。演奏会形式であるにもかかわらず、パッと舞台が開けたかのように、場の空気がガラッと変わったのには、衝撃を覚えた。第十二曲「合唱」を経て、第十三曲「エーレナのロンド=フィナーレ」は、充実のエンディングロール。感動的な幕切れとなった。

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カーテンコールは、マエストロを筆頭とする出演者全員に対する温かい賛辞に包まれた。街中がロッシーニの音楽に酔いしれる中、今年のロッシーニ音楽祭は閉幕となった。

今回、ゼッダの指揮する演奏に触れ、ロッシーニらしさ一端を初めて実感できたように思う。少なくともゼッダの指揮する演奏を日本で聴いた際には、ここまでのインパクトは感じられなかった。ロッシーニの音楽には、アドリア海に通ずる気持ちのよい青空と、ペーザロの街に受け継がれる家庭的な温かさが宿っている。音色は軽快かつ上品であり、しかも余韻に温もりが伴わなければならない。ヴェルディのようなストイックさとは、だいぶ違ったところにある。この感触がつかめただけでも、今回のペーザロ詣でには価値があったといえよう。

翌朝は、ゆっくりと起床し、身支度を整え、午前10時半にホテルをチェックアウト。タクシーで駅に向かい、午前11時16分発のIntercity606にてボローニャ中央駅を目指す。一等車は子供連れが大騒ぎをしており、全く気が休まらない。午後1時にボローニャ中央駅に到着し、連絡バスにて空港へ。手荷物ルールの変更の壁に阻まれ、荷物の分割に工面するも、何とか無事にチェックインを果たし、LH285便にてフランクフルトへ。セネターラウンジで3時間半をすごし、NH210便にて帰国の途につく。ANAの機内に入ると、CAから「おかえりなさい」と声を掛けてもらえ、心が休まる。機内では何もやる気力が起きず、ビジネスクラス最前列の閉鎖空間内で、ぐっすりと休息をとった。


(公演情報)

23 agosto, ore 20.30
Teatro Rossini

LA DONNA DEL LAGO
Melodramma in due atti di Andrea Leone Tottola
Esecuzione in forma di concerto

Direttore ALBERTO ZEDDA

Interpreti
Giacomo V DMITRY KORCHAK
Duglas SIMONE ALBERGHINI
Rodrigo MICHAEL SPYRES
Elena CARMEN ROMEU
Malcom CHIARA AMARÙ
Albina MARIANGELA SICILIA
Serano ALESSANDRO LUCIANO

ORCHESTRA E CORO DEL TEATRO COMUNALE DI BOLOGNA
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