ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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スクロヴァチェフスキ指揮読響―第530回定期演奏会「自作&ブル4」
10月12日午後6時前、サントリーホールへ。スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮による読売日本交響楽団による第530回定期演奏会。スクロヴァチェフスキのパッサカリア・イマジナリアとブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」が採り上げられた。

筆者の座席は、指定席であるRBブロック9列目。この日は収録が行われていたため、カメラが配置されたブロックにまとまった空席があったが、それ以外は9割方埋まっていたようだ。

プログラム前半は、スクロヴァチェフスキの自作、パッサカリア・イマジナリア。

パッサカリアの手法に則った楽曲ではあるが、変奏や変容は割と自由に展開されていたように感じられた。打楽器を多用して色彩感や奥行きを拡げるのは、スクロヴァチェフスキの他の作品にも通ずる手法と思われる。神秘的な響きと破滅的な情景が織りなす宇宙的な世界観は、スクロヴァチェフスキの発想の原点に据えられているのであろう。正直なところ、細かいことはよくわからなかったが、彼の指揮する演奏を理解する上での手がかりを再確認することができたという意味で、個人的にも収穫はあった。読響も好演。

プログラム後半は、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。

ミスターSの意図や無理難題な要求がほぼ完璧に反映されており、演奏自体の完成度は高かった。オーケストラ全体でよく聞きあって、室内楽的なアンサンブルが繰り広げられていた点でも高く評価できる。勢い余って強奏部で音色が若干荒れたり、ホルンパートに粗が散見されたりしたことを除けば、読響のキャパシティに照らすと、かなり良い水準に到達していたと思われる。とりわけ、弦楽器と木管楽器を中心に、弱音部の響きの透明感や静寂、そしてカンタービレの純粋さは、出色の仕上がりであった。

しかし、個人的には、ミスターSと読響による演奏が、懐古的な色彩を帯びつつあるようにも思われ、ミスターSの年齢や時代の流れを感じるとともに、やや複雑な気持ちにもなったのも確かだ。

そもそもこの日の演奏では、ミスターSの発するオーラが若干弱くなったように感じた。タクトの鋭敏さが失われ、オーケストラの統率力が鈍ってきたことが原因にあるのかもしれない。

第一楽章の展開部や第四楽章では、オーケストラを大きくドライブする活力に漲った指揮姿を拝むことができたが、それ以外の箇所では、どちらかというと、コンサートマスターの小森谷巧を中心に、オーケストラの側が主体的にアンサンブルを組み立てており、ある意味で予定調和的に進行していたように見受けられた。それゆえ、ライヴならではの一触即発な場面は、この日の演奏では皆無であった。

加えて、ミスターSの要求に従うと、誤魔化しが利かず、綱渡り的な難所の連続となってしまう第三楽章では、タクトの曖昧さに端を発した微妙なズレに起因して、複数の事故が発生してしまった。どうも昨年までとは、やや様子が異なるようである。

もっとも、ミスターSに対する読響のリスペクトの高さは、尋常ではない。

この日の読響は、コンサートマスターの小森谷を筆頭に、メンバー全員で、ミスターSの解釈や想いを最大限に受け止め、何とかしてそれをより高いレベルで実現しようという意欲に漲っていた。その驚異的な集中力が、この日の演奏にみられた高い次元での「心の」アンサンブルを可能にしていた。ミスターSが指揮台の上に立っているだけで、音が変わり、音楽が生まれるのである。まるで晩年のベームとウィーンフィルの間柄のようだ。

弱音部に窺われた孤高の哲学、磨かれた響きで活き活きと歌われるカンタービレ、いぶし銀のごとく渋くて荘厳な弦楽アンサンブル、各楽章のクライマックスで花開いた輝かしい推進力、最終楽章のコーダで眼前に現れた巨大かつ無限の拡がり。そのいずれもが90歳を迎えたミスターSでなければ到達できなかった世界といえるであろう。ミスターSのタクトが大らかになり、オーケストラに自発性が強く求められるようになった結果、今回見えてきた新たな境地といえるかもしれない。

なお、この日の客席は、読響メンバーのみせた異様な緊張感に触発されたのか、物音や咳すらもほとんどしない静寂に包まれた。何か特別な儀式が執り行われているかのような厳粛な雰囲気であった。最後の和音が鳴り響いた後も、タクトが下りるまで数秒間の静寂。カーテンコールでは、当然のように一般参賀となった。

「感動した」という言葉が当てはまりにくい不思議な充足感。
理屈抜きで、この場に立ち会えたことに意味がある、そんな気持ちに浸れる演奏会であった。


(公演情報)

第530回定期演奏会

2013年10月12日(土) 18:00開演
会場:サントリーホール

指揮=スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ

スクロヴァチェフスキ:パッサカリア・イマジナリア
ブルックナー:交響曲 第4番 変ホ長調 WAB.104 「ロマンティック」
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[2013/10/12 22:56] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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