ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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東京・春・音楽祭 特別公演 ムーティ conducts ヴェルディ(第二日目)
10月31日午後7時前、前日に引き続き、すみだトリフォニーホールへ。リッカルド・ムーティ指揮東京春祭特別オーケストラによるヴェルディ生誕200年記念特別公演。二日目は、条件の悪い席を中心にやや空席が目立ったが、むしろ純粋にマエストロを敬愛する音楽ファンが集まった模様で、初日のような緊迫感までは感じられなかった。

初日は、1階席1列目中央上手というかぶりつきの座席であったが、この日は、マエストロの表情を窺いつつ、舞台全体を観察するという趣旨で、3階バルコニー席RB列という舞台真横の座席を選択した。座席前の手すりが視界を邪魔するが、舞台上の音が立体的に立ち昇るという音響上のメリットや、コストパフォーマンスも考えると、満足度は高い。

演奏については、基本的には前日と同様であるため、詳細は繰り返さない。ただ、初日と比べると、オーケストラから硬さが取れ、伸び伸びとした表情が多く見られるようになったのは、二日目の演奏の最大の特長であった。

「シチリア島の夕べの祈り」序曲は、開始から抜群の安定感で、非常にクオリティが高かった。表現のムラや凸凹が拭われ、良い意味で熟成が進んだ演奏となった。文句なしにブラボーである。続く第三幕のバレエ音楽「四季」も、視界が晴れたかのような見通しの良さで、バレエ音楽らしい躍動感も感じられるようになった。マエストロの横顔からも笑顔が漏れるようになり、タクトを振らず、オーケストラの自主性に委ねる箇所が多く見られるようになった。

初日は歯車が噛み合わなかった「運命の力」序曲も、この日は問題点がほぼ解消され、充実の演奏となった。特に、初日は上滑り気味であった弦楽器セクションの動きが然るべき場所に収まり、イタリア的な奏法とニュアンスが音色の中にうまく練り込まれた点が特筆に値する。なお、この日のマエストロのアプローチは、どちらかというと、テンポに余裕と落ち着きを持たせ、荘厳さと格調の高さを意識したもの。この作品の演奏からグランディオーソな表情を見出すというのは、個人的には意外な発見であった。

ところで、マエストロの本領発揮は、やはり歌が入ってからだ。「運命の力」第二幕フィナーレでは、マエストロの気合いが一段高まったのが感じ取れた。東京オペラシンガーズの男声合唱の巧さは、初日同様。バス・バリトンの加藤宏隆の丁寧かつ滑らかな歌唱は聴きやすく、また初日は表情の硬かったソプラノの安藤赴美子も落ち着きを取り戻し、初日よりもだいぶ完成度は上がったといえる。

続く「マクベス」第四幕より「虐げられた祖国」、そして「ナブッコ」第三幕より「行け、わが想いよ、黄金の翼にのって」は、初日同様、満足のいく仕上がり。後者に関しては、個人的には、初日よりもさらに心に迫ってくるように感じた。マエストロが合唱に対して、言葉の一つひとつを語りかけるように伝えていた姿が印象的であった。

そして、締め括りの「ナブッコ」序曲は、今回の集大成ともいえる素晴らしい演奏であった。日本人の特色である緻密なアンサンブルという基盤に支えられつつ、オーケストラ全体として、イタリア的な奏法を習得し、そしてマエストロ・ムーティとともに開放的な音楽創りを目指した成果が、ここに現れたといえる。初日に奏法上の違和感や不揃いが垣間見られた弦楽器セクションは、この日の終盤では、見違えるほどに一つに揃い、そしてエネルギーに満ち溢れていた。オーケストラが一丸となって、全力でマエストロと向き合い、そして持てる力を出し切った結果、次元の異なるレベルの音楽に仕上がったというのが正直な印象である。日本人によるヴェルディ演奏の模範例の一つを見ることができたように感じた。この演奏の出来には、マエストロもご機嫌の模様であった。

当然のようにアンコールはやらず、あっさりと閉幕。この瞬間をもって、10月26日の講演会から始まった筆者の中での「Muti Week in Japan」が終了した。充実の一週間であった。


(公演情報)

東京・春・音楽祭 特別公演 ヴェルディ生誕200年記念
ムーティ conducts ヴェルディ

2013年10月31日(木)19:00開演
すみだトリフォニーホール

指揮:リッカルド・ムーティ
管弦楽:東京春祭特別オーケストラ
ソプラノ:安藤赴美子
バス・バリトン:加藤宏隆
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ、宮松重紀

曲目
ヴェルディ:
歌劇《シチリア島の夕べの祈り》序曲
歌劇《シチリア島の夕べの祈り》第3幕より バレエ「四季」
歌劇《運命の力》序曲
歌劇《運命の力》第2幕より「天使の中の聖処女」
歌劇《マクベス》第4幕より「虐げられた祖国」
歌劇《ナブッコ》第3幕より「行け、わが想いよ、黄金の翼にのって」
歌劇《ナブッコ》序曲
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[2013/11/02 22:10] | 国内視聴記 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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