ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ベルリン行き(11年7月)②―コーミッシェオーパー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
7月17日午前、ポツダムにあるサンスーシ宮殿と庭園へ。ポツダム中央駅までは、列車で30分ほどと聞いていたが、タイミング的にSバーンの鈍行列車しか選択肢がなかったため、45分くらいかかってしまった。サンスーシ宮殿は、階段状のぶどう園の上に建てられた宮殿である。ロココ様式のキングサイズの様式美は、これぞドイツと思わずにはいられなかった。

昼過ぎに市内に戻り、ドイツ・オペラ近くのピッツァリアで昼食を摂り、いったんホテルに戻る。昨日は日差しが強く、暑かったのに、この日は風があり、割と涼しい。着替えをして、再びコーミッシェオーパーへ。

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この日の演目は、ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。オペラ・コミックの系統に沿うコーミッシェオーパーがどのような上演をするのかが見物である。座席は、2.Rang rechts Reihe 1, Seat 32で、昨日とはほぼ線対称の位置である。客席は9割以上の入り。

20110717-2

やはりお国モノは違う。前奏曲の冒頭から、昨日とは全く違う活き活きとしたサウンドが流れてきた。テンポは全体的に早く、若くフレッシュな演奏。対位法的に動く場面で、チューバが走ってしまうなど、噛み合わせの悪い箇所も見られたが、音楽が流れているので、不快感は生じない。作品全体の流れの中で見返してみても、この日の前奏曲は、作品全体の縮図としての役割を十分に果たしていた。

さて、舞台の方だが、この日は、演出に難があった。
全幕を通じて、ベニア製の白い大きな箱状の物体が12個ほど置かれ、それらが場面転換のたびにノソノソと舞台上を動く。それらの配置のみで各場面を表現しようというわけだが、この作品の場合、場面設定が具体的であるため、白い箱だけでは、見ていても何がなんだかさっぱりわからない。そして、白い箱が舞台の平面の大部分を占めてしまうため、役者の立ち位置の範囲が極めて狭くなる。これは致命的である。また、舞台セットがないため、上下の移動もなく、照明の変化も乏しい。これでは、セミコンサート形式と変わらないのではないだろうか。
役者の立ち位置に関しても、複数人が団子状に見えてしまったり、逆に、動きのある場面では、キーパーソンを見失ってしまったりというように、ゴチャゴチャした感じで、腑に落ちない。

それゆえ、第一幕は極めて退屈。観ていても、話の流れを追いかけられなかった。第二幕は、台本自体に流れと変化があるため、そこまでは退屈しなかったが、相変わらず、舞台の最前面の非常に狭い範囲でのみ話が進むため、インスピレーションは沸いてこない。

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オーケストラも、前奏曲はそこそこ良かったにもかかわらず、いわゆる伴奏になると、単調で無表情な演奏が続く。和声感が感じられるだけ、昨日よりはマシだが、この長丁場の作品をどのように聴かせるか、全体の設計の中で一つひとつの瞬間にどのような表情を持たせるのかといった工夫は感じられず、メリハリのない、常にメゾピアノといった感じの伴奏に終始していた。通常は大編成で演奏される作品を、1st Vnが10名という中編成で演奏するにあたっては、小回りのよさやアンサンブルとしての面白さなど、大編成にはない持ち味を出すべく、試行錯誤が必要となり、またコーミッシェオーパーの存在意義はその点の探求にあるようにも思われるが、この日の演奏からそのような魅力が感じられなかったのは、極めて残念である。

以上に対して、第三幕は、音楽そのものにパワーと推進力があるため、自ずと舞台の流れもよくなる。演出面でも、舞台上の平面をフルに活用した立ち位置が組まれ、また、歌合戦の場面では、舞台上の白い物体がカラフルに衣替えをするなど、視覚的な変化も生まれたため、楽しむことができた。
ここまで来れば、あとは音楽の流れに身を任すのみ。最後のクライマックスは、ワーグナーによる巧みなオーケストレーションにより自然と心が高揚。ハ長調の行進曲風の動機が戻ってきた場面では、シンバルの一撃とともに自然と涙腺が緩む。ワーグナーという作曲家、そして劇作家の凄さを感じずにはいられなかった。

なお、キャスト陣は、全般にバランスがよく、どの歌手も充実した歌唱と演技を示していた。
中でも特に素晴らしかったのは、ザックス役のTómas Tómasson。親方としての威厳を保ち、また頭では自分は身を引くべきと理解し、諦念の思いを深めつつも、エーファを前にすると、心に秘めていた愛情により心が揺れてしまう、そんな淡く苦い心の葛藤を、決して大袈裟ではなく、しかし表情豊かに、そしてコミカルに演じ、説得力のある演技で観客の心を掴んでいた。他の主要キャストも、後半では、ザックス役の好演とよく呼応し、全体を盛り上げていた。

客席の評判は、かなりよかった模様。ひとえに、個々のキャストや合唱の頑張りによるものといえる。昨日も感じたが、コーミッシェオーパーの役者陣の演技力の高さは、特筆ものといえるだろう。

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終演後、外は冷たい雨。翌朝が午前4時過ぎの起床で、午前6時40分発のSN2592便に搭乗予定であったことから、そのままホテルに帰り、カウンターバーにも寄らず、就寝。


(公演情報)

Die Meistersinger von Nürnberg
Oper in drei Aufzügen von Richard Wagner
Text vom Komponisten

Komische Oper 'Festival
Sonntag, 17.07.2011, 17:00 Uhr

Musikalische Leitung ... Patrick Lange
Inszenierung ... Andreas Homoki
Bühnenbild ... Frank Philipp Schlößmann
Kostüme ... Christine Mayer
Dramaturgie ... Werner Hintze
Chöre ... André Kellinghaus
Licht ... Franck Evin
Hans Sachs ... Tómas Tómasson
Veit Pogner ... Dimitry Ivashchenko
Kunz Vogelgesang ... Christoph Schröter
Konrad Nachtigall ... Carsten Sabrowski
Sixtus Beckmesser ... Tom Erik Lie
Fritz Kothner ... Günter Papendell
Balthasar Zorn ... Peter Renz
Ulrich Eißlinger ... Stephan Spiewok
Augustin Moser ... Thomas Scheler
Hermann Ortel ... Karsten Küsters
Hans Schwarz ... Hans-Peter Scheidegger
Hans Foltz ... Hans-Martin Nau
Walther von Stolzing ... Marco Jentzsch
David ... Thomas Ebenstein
Eva ... Ina Kringelborn
Magdalene ... Karolina Gumos
Ein Nachtwächter ... Jan Martinik
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[2011/07/19 19:27] | 海外視聴記(ベルリン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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