ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ローマ・マチェラータ行き(11年7月)①―カラカラ浴場「トスカ」
7月21日早朝、SN3175便にてローマ・フィウミチーノ空港へ。この日は、ベルギーの建国記念日ゆえ、祝日である。
正午前にホテルにチェックイン。この日は、コロッセオから近いメルキュールデルタコロッセオに宿を取った。カラカラ浴場からも徒歩で帰ることが可能な立地である。

街中には、古代ローマの面影や、歴史的建造物が並んでいて、町歩きをするだけでも楽しい。今回は、初めてのローマ、しかも一泊のみの予定であるため、コロッセオ前→フォロ・ロマーノ→ヴェネツィア広場→サンタンジェロ城→トレヴィの泉という定石コースを歩いてみることにした。
なお、このルートの中では、サンタンジェロ城だけは若干離れているが、「トスカ」の舞台ともなった地は、イタリアオペラに関わる者としては、避けては通れない。テラス席で、トスカが飛び降りるシーンを思い浮かべながら、カンパリソーダを一杯。

町歩きの途上、La Taverna dei Fori Imperialiで昼食を。注文したのは、自家製太麺パスタ(ベーコン、ズッキーニ、チーズ)と、豚肉のローマ風フリットに、赤ワインのハーフボトル。味は中の上。口コミでは相当上位にランクインしており、店内は観光客でかなり混雑していたものの、実際は、感動はないが、値段も考えると悪くもないというレベル。結局、外国人観光客の扱いに慣れているという点が高評価を得ている理由なのだろうと納得した。

夕方7時過ぎに、アッレ・カッレッテというピッツェリアで夕食を。カプレーゼは平凡だったが、ピッツァはモルトベーネであった。釜で焼くローマ風薄焼きピッツァは美味い。また、ハウスワインも安価ながら美味い。時間があれば、長居したいところだが、次の予定があるので、30分余りで店を後にする。

気持ちよく酔ったところで、カラカラ浴場へ。この日の演目は、プッチーニ「トスカ」。ローマが舞台となり、ローマで初演された。この作品こそローマで聴くべき作品といえる。

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この日の座席は、6列目の下手側ブロックの中央。2ndカテゴリーだが、この距離感で鑑賞できるのであれば、1stカテゴリーである必要性は全くない。もう一つランクを落とすと、端っこか、後方座席になってしまうため、2ndカテゴリーで、今回の座席辺りを狙うのがよいと思われる。

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カラカラ浴場をバックにステージが組まれてはいるが、実際は、オープンスペースに、ステージとオーケストラピットと座席を設置したのと同じ。それゆえ、歌手は全てピンマイク付きで、オーケストラも全てマイクで拾ったスピーカー音源という、いわゆる野外オペラである。
したがって、音響的には、ライブ感はゼロに等しく、楽器を演奏する者としてはもどかしさを感じざるを得ない。PAの印象が薄かったヴェローナの音響の良さを痛感した。

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この日の演奏は、今シーズンの「トスカ」の初日であり、しかもカメラが入っていたというのもあるかもしれない(なお、後に聞いた話によると、カメラが入っていたのは演出の一環であり、今回のプロダクションは、テレビ収録中という設定の下でのプランニングであったようである。)が、全体的に表情が堅く、卒無くまとめたという印象。要するに、つまらない。

キャスト陣は、台本に書かれたことはキチンと行っているが、それを超えて訴えかけてくる何かがない。「トスカ」の場合、三役の比重が高いがゆえに、これらを演ずる者の個性が問われる。残念ながら、この日の三役であるチッラ・ボロス、チアゴ・アランカム、カルロ・グエルフィからは、そのような個性は感じられなかった。有名なアリア三曲も平凡な仕上がりで、涙腺が緩むには至らなかった。

指揮者のアッシャー・フィッシュも、無難にまとめすぎていて、プッチーニの書いた音楽の鮮烈さは全く伝わってこない。野外オペラゆえ、劇場で感じる緊張感のあるピアニシモを期待するのは無理にしても、カンタービレはもっとオーケストラを主役にして自由に歌わせても良かったのではないだろうか。イタリアらしい伸びのあるカンタービレは、一度も聞くことが出来なかった。前回にドレスデンで聞いた「タンホイザー」がよかっただけに、がっかりである。

アルノー・ベルナールによる演出も、カラカラ浴場という大舞台を活かせていない(後に聞いた情報に基づき、改めて考え直してみると、そもそもカラカラ浴場の舞台でテレビ収録という設定にする意味が不明であり、トスカという作品に照らしても、少なくとも筆者には理解できるものではなかった。)。
第一幕と第二幕は、舞台が室内ゆえ、野外オペラに向いていないともいえるが、あのような陳腐なパネルだけでは、野外オペラの魅力は相当減殺されるだろう。しかも、舞台裏が丸見えのため、舞台裏の打ち合わせのような見たくないシーンも自ずと見えてしまう(後に聞いた情報を踏まえると、これはあえて見せていたということになるだろう。)。勉強にはなったが、純粋なオペラ鑑賞という観点からは、興ざめな瞬間が多かった。
とりわけ不満なのは、第二幕のマーリオに対する拷問の場面。舞台の上手側の端に拷問の場所が設置され、そこで実際にマーリオに対して拷問がなされるのだが、拷問をかける役人の仕草が余りに柔なため、作品の持つインパクトはほとんど伝わってこない。このシーンは、舞台裏で行い、あえて現場を見せないようにした方が、観客のインスピレーションが働いてよいのだろうと思った。

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「トスカ」という作品には、カンタービレやピアニシモの瞬間が絶妙に織り込まれている。「ボエーム」と比べても、その成熟度は段違いと思われる。こういう作品は、劇場という閉鎖空間で愉しむ方が望ましいのだろう。第二幕の幕切れの静寂や、イタリア的なヴァイオリンのG線のカンタービレを、イタリアのオペラハウスで体験したいという気持ちが高まる中、この日の上演はあっけなく閉幕となった。

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終演後は、ホテルまで徒歩で。公共の交通機関がほぼ終了している以上、徒歩以外には手段はない。15分程でホテルに到着した。その後、この感想を記して就寝。


(公演情報)

TERME DI CARACALLA

TOSCA
Musica di Giacomo Puccini
Opera in tre atti
Libretto di Giuseppe Giacosa e Luigi Illica
tratto dal dramma omonimo di Victorien Sardou
Prima rappresentazione giovedì, 21 luglio, ore 21.00

Direttore / Asher Fisch
Regia / Arnaud Bernard
Floria Tosca / Csilla Boross
Mario Cavaradossi / Thiago Arancam
Barone Scarpia / Carlo Guelfi
Angelotti / Alessandro Spina
Sagrestano / Giorgio Gatti
Spoletta / Mario Bolognesi
Sciarrone / Antonio Taschini
Carceriere / Fabio Tinalli
Un pastorello / Marta Pacifici

ORCHESTRA E CORO DEL TEATRO DELL'OPERA
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[2011/07/25 20:07] | 海外視聴記(ローマ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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