ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ローマ・マチェラータ行き(11年7月)③―スフェリステーリオ「リゴレット」
7月23日、お昼前までホテルの部屋で過ごした後、Teatro Lauro Rossiへ。スフェリステーリオ・オペラ・フェスティバルの演目の一つである「コシ・ファン・トゥッテ」の会場である。
今回は日程の都合で観ることができないが、劇場内が開放されていたため、舞台装置のある状態の内部を見学することができた。客席数300ほどの小さい劇場だが、客席から観る舞台は、迫力十分。オペラ鑑賞に最適な空間である。

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しばし劇場の雰囲気に浸った後、街の中心部をぶらぶらし、da Rosaというレストランへ。
プロシュットとサラミの盛り合わせに、白トリュフ入りリゾットを。どちらもマルケ州の郷土料理である。どちらも旨みが凝縮しており、とても美味しかった。
しかも、お店のマスターがとても親切かつフレンドリー。日本から来たというと、飲ませたいワインがあるといい、地元の白ワインのグラス、そして赤ワインのRosso Piceno Superioreを勧めてくれた。赤ワインは開栓済みで、まだボトルには3分の1くらい入っていたにもかかわらず、普通のグラスワイン1杯分の値段でよいという大盤振る舞い。
よいお料理とワインに出会うことができ、大変満足なランチであった。

いったんホテルの部屋に戻り、休息をとった後、軽い夕食を摂るべく、Osteria dei Fioriへ。お洒落な感じの人気店で、客層も事前予約を入れた観光客のグループが多かった。黒トリュフ入りオムレツと、マチェラータ名物のヴィンチスグラッシをチョイスするも、味は普通で、値段相応。感動はなかった。

夜9時前にアレーナへ。この日の演目は、ヴェルディ「リゴレット」で、こちらも今シーズンのプレミエの初日である。
座席は、Centralissima di Grandinata Fila 1 Posto n. 26/Sxで、昨日の座席の2つ隣であった。

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この日も事件は起きた。
第一幕の導入部分が終わり、スパラフチーレが登場したところで、突然の降雨。このまま中止になってしまうのではという嫌な予感もしたが、結局、1時間半の中断の後、無事に再開した。
ただただ天気の回復を祈りつつ、アレーナ内の回廊でじっと待つというのは、何とももどかしいものである。

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さて、上演の内容についてだが、この日の演出も、なかなか見ごたえがあった。

舞台装置については、三面を持つ回転式の大きなパネルを舞台中央に立て、それを回転させることで、場面転換を効率的に処理。パネルの模様も、奇をてらわないオーソドックスなもので、安心感があった。

横長舞台のアレーナらしいと思ったのは、例えば、第一幕の終盤の廷臣たちがジルダを攫っていくシーンや、第三幕の終盤のマントヴァ公爵が歌いながら退場するシーンで、役者の入退場を両袖の端から行わせることにより、その遠近感を浮き立たせていたこと、また、第三幕の嵐のシーンで挿入される裏合唱を、アレーナの上手側の最上階付近で歌わせることで、本当に風が吹き込んでくるかのような錯覚に陥らせる効果を狙っていたことなど。
もっとも、嵐のシーンについては、この日は、第一幕で降雨による中断があったことに加え、深夜1時をすぎ、実際に場内を冷たい風が吹き抜けるようになったため、いつもにも増して生々しく感じられたのかもしれない。

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キャスト陣は、昨日に引き続き、充実度は高かった。歌唱のバランスもよく、演技も手堅くまとめられていた。
問題点を挙げるとすると、ジルダ役のデジレ・ランカトーレが、第一幕のアリアの難所で若干失速気味であったことや、第二幕のリゴレットとの二重唱の出だし(Tutte le feste al tempio)などで音程がぶら下がり気味になる箇所が見られたこと、マントヴァ公爵役のイスマエル・ホルディが、美声ではあるものの、全体を通じて歌唱のスピード感がいま一歩であったことぐらいだろうか。どんな熱演でも、明らかに音程が外れる瞬間があると、途端に興醒めになってしまうのが怖ろしい。
ただ、途中で降雨による中断があり、しかも後半はだいぶ寒くなってきていたことも踏まえると、相当善戦していたといえるだろう。

なお、このフェスティヴァルの観客は、なかなか曲者が多い。
この日は、ジルダ役のデジレ・ランカトーレについては、親衛隊が階上席に陣取っていた模様で、熱狂的なブラボーを繰り返していたが、それを除くと、通常ならばブラボーが飛んでもおかしくない場面でも、反応が渋いこともままあった。第二幕冒頭のマントヴァ公爵のアリアに対しては、多くのブラボーが飛ぶ中、強烈なブーイングを浴びせる者も。カーテンコールでは、マッダレーナ役にブーイングが出た。個人的には、あえてブーイングを浴びせるまでの酷さではなかったと思ったが。
加えて、昨日の「仮面舞踏会」とは異なり、知ったかぶりのフライング拍手が多く出ていたのも、残念。自然と沸き起こる拍手ならまだしも、後奏が続いているのであるから、歌が終わった直後に、恣意的にフライング拍手を入れるのは、慎むべきだろう。

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指揮は、若干24歳のアンドレア・バッティストーニ。若手ながら、非常にセンスのよい指揮者で、これぞヴェルディという心地のよい素直なサウンドを楽しめた。

とりわけ、スコアに書かれた音像を実直かつ丁寧に描こうとする姿勢は、とても好感度が高い。和声の微妙な変化もよく浮き立たせており、スタッカートやアクセントのニュアンスについても、シンプルなものから複雑なものまで幅があった。アレグロの響きの軽快さとスピード感も適度であり、幕切れでのテンポの撒き具合もツボを得たものであった。
オーケストラも、自発的で前向きな演奏で、指揮者の姿勢によく応えていた。

他方で、丁寧に振りすぎる傾向もあり、特にテンポがゆっくりとした場面で、流れの停滞が散見された。第一幕のリゴレットとジルダの二重唱に始まり、ジルダとマントヴァ公爵の二重唱、そしてジルダのアリアに至る一連の場面では、集中力が切れそうになることが幾度もあった。
また、アンドレア・バッティストーニは、歌手の独唱部分では、基本的には、各キャストの独唱に対して伴奏をつけるという姿勢に徹していたが、テンポが緩む箇所に生ずるちょっとした間において、指揮者と歌手が互いにタイミングを探ってしまい、お見合い状態になることがしばしば見受けられた。昨日のダニエレ・カッレガーリのように、歌手の呼吸を十分に待たず、快速テンポで突っ走るのはいただけないが、歌手の独唱部分でも、ある程度は指揮者が主導権を握り、前へと連れて行くことが必要なのではないだろうか。

思うに、足しも引きもせず、楽譜に書かれた音楽を素直に表現することは、全ての出発点ではあるものの、それだけでは説得力は生まれない。その指揮者の持つ音のイメージが滲み出ることで、ヴェルディの書いた作品は、初めて一つの世界として完成するのだろう。
決して独善的であってはならないが、もう少し大きな方向性を持ち、そして、攻めるべきと感じたポイントでもう一歩踏み込んでみるということも求められているのかもしれない。

終演は、午前1時半。さすがに疲れたので、そのままホテルに戻り、早々に就寝。
翌朝は、朝8時にマチェラータ駅を出るバスでチヴィタノーヴァマルケ駅へ。そして、列車に乗り換え、アンコーナ経由でローマへ。ここまでで、合計6時間半の移動である。そして、夜9時前に、SN3184便でローマ・フィウミチーノ空港からブリュッセルへ。考えただけでも長い道のりである。

(なお、実際には、アンコーナからローマへ向かうEurostar Italia 9327では、ティブリティーナ駅で発生した大規模火災の影響により、途中のOrte駅でナポリ行きの列車への乗り換えを余儀なくされ、ローマ・テルミニ駅には、約2時間半遅れの16時45分の到着。加えて、SN3184便の出発も2時間遅れ、ブリュッセル空港に到着したのは、深夜1時すぎ。あまりの受難続きで、もはや笑うしかないが、イタリアの交通網は、甘く見てはいけないということを身をもって体験した3泊4日であった。)。


(公演情報)

SFERISTERIO
Rigoletto
Giuseppe Verdi
23 luglio - ore 21.00

Conductor: Andrea Battistoni
Direction, Sets and Costumes: Massimo Gasparon
Orchestra: Fondazione Orchestra Regionale delle Marche
Coro: Coro Lirico Marchigiano "V. Bellini"

Il duca di Mantova: Ismael Jordi
Rigoletto: Giovanni Meoni
Gilda: Dèsirée Rancatore
Sparafucile: Alberto Rota
Maddalena: Tiziana Carraro
Giovanna: Annunziata Vestri
Il conte di Marone: Alberto Rota
Marullo: Lucio Mauti
Matteo Borsa: Enrico Cossutta
Il conte di Ceprano: William Corrò
La contessa di Ceprano: Tiziana Carraro
Un usciere di corte: Antonio Barbagallo
Un paggio della Duchessa: Silvia Giannetti
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[2011/07/25 21:11] | 海外視聴記(マチェラータ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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