ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ザルツブルク行き(11年8月)②―モーツァルト・マチネ
8月14日、午前10時半にホテルを出て、モーツァルテウムの大ホールへ。この日の午前は、ピノック指揮のモーツァルテウム管弦楽団によるモーツァルト・マチネの演奏会である。

20110814-01

モーツァルテウムの大ホールは、定員約800名の中ホール。当時の面影を再現した装飾に加え、その素晴らしい音響でも知られている。今回の座席は、平土間の前から6列目で、モーツァルトの管弦楽曲を楽しむには最高のポジショニングである。

モーツァルテウム管弦楽団を聴くのは、今回が初めてだったが、その実力の高さと素晴らしさに舌を巻いた。ステージ上にモーツァルトが実在しているかのような世界が開けたのだ。テンポ感、リズム感、響き、呼吸、すべてが自然体である。

また、モーツァルテウム管弦楽団のモーツァルトに対する意気込みは、並々ならぬものがあった。個々の演奏者の顔が自信に満ち溢れており、心の底からモーツァルトを敬愛し、そして楽しんでいることがよくわかる。弦楽器の人数が8-6-4-4-3という小編成のメリットを活かし、お互いにアイコンタクトを取りながら、刺激的なアンサンブルが構築されていた。

今回のプログラムのうち、2曲目のドイツ舞曲は、私の所属する市民オーケストラで以前に採り上げたことがあるが、この曲は、記譜上は簡単なものの、雰囲気を付けようとすると、途端にわざとらしくなってしまって聴くに堪えない代物になるという曲者である。随所に散りばめられたモーツァルト特有のギャグが更に扱いを難しくする。これがどのように料理されるかが筆者の中では一大関心事であった。
しかし、モーツァルテウム管弦楽団は、筆者の想像よりもはるかに上を行っていた。そもそも料理をしようという発想自体がナンセンスなのである。3拍子の中に垣間見られる溜めや揺らぎは、モーツァルトのしゃべりや仕草のようであった。突然消えるように終わるという曲末尾に仕掛けられたギャグが、本当にギャグとして成立し、客席から自然と笑いが生まれていた様は、圧巻である。

3曲目は、フルートとハープのための協奏曲。パユのフルートは、もはや神の領域だ。ベルリンフィルで聴かせるような煌びやかな響きとは異なり、素朴で、奥ゆかしい雰囲気、それでいて、ピアノやフォルテ、スタッカートやレガートといった表現には、たくさんの引き出しがあり、一つの解釈ないし表現として結晶化している。ハープについては、筆者自身が無知であるため、客観的評価が出来ないが、純度が高く、ハイクオリティのサウンドが展開されていたとの印象。オーケストラも、「協奏曲」という言葉通りの素晴らしいサポートであった。

20110814-02

そしてプログラムのメインは、交響曲第39番。苦悩の中、全力で疾走するモーツァルトがそこにはいた。筆者個人としては、後期三大交響曲のうち、モーツァルトという人物がそのまま投影されているのがこの交響曲第39番ではないかとの印象である。スコアの中には、喜怒哀楽のすべてが織り込まれている。そんなモーツァルトの生き様がそのまま再現されているかのような演奏であった。とりわけ第二楽章の中間部では、苦難と闘いながらも、前を見据え、一歩ずつ歩む真面目なモーツァルト像が浮かび上がっていた。

ウィーンフィルのモーツァルトも、それはそれで素晴らしいが、彼らの場合、どうしてもウィーン風の味付けになってしまうため、モーツァルトそのものとは何かが違う気もする。ザルツブルク生まれの作曲家モーツァルトという存在を強烈に印象付けられたひと時であった。

一つ残念だったのは、交響曲第39番、白眉の第二楽章において、かなり長時間にわたり、筆者の真後ろの老人の補聴器からハウリングのようなノイズが発生し、モーツァルトの苦悩を追体験できずに終わってしまったこと。無念。

マチネの後は、今回の旅程をアレンジした旅行代理店の主催で、Alain Miegというレストランで昼食会。ザルツブルク市内を見渡せるテラスで、案内役1名、他の参加者3名とランチを共にした。筆者が選んだのは、団子のスープと鱒のソテー。デザートに名物のザルツブルガーノッケールも供された。幸いにも晴天に恵まれたため、見晴らしのよいテーブルで、最高のランチを楽しむことができた。

午後3時すぎにホテルに戻り、雑務をこなしつつ、「影のない女」に向けて若干の休憩を取る。
続きは、次の記事にて。


(公演情報)

Mozart-Matinee 3

PROGRAMM
WOLFGANG A. MOZART • Symphonie Es-Dur KV 184
WOLFGANG A. MOZART • Sechs deutsche Tänze KV 571
WOLFGANG A. MOZART • Konzert für Flöte, Harfe und Orchester C-Dur KV 299
WOLFGANG A. MOZART • Symphonie Es-Dur KV 543

INTERPRETEN
Emmanuel Pahud, Flöte
Marie-Pierre Langlamet, Harfe
Mozarteumorchester Salzburg
Trevor Pinnock, Dirigent
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[2011/08/16 00:24] | 海外視聴記(ザルツブルク) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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