ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ザルツブルク行き(11年8月)④―ムーティ指揮ヴェルディ「レクイエム」
8月15日、午前10時半すぎにホテルを出て、祝祭大劇場へ。筆者にとっては、今回の旅程における最大の目玉の一つ、ムーティ&ウィーンフィルによるヴェルディ「レクイエム」の演奏会だ。前日までとはうって変わり、朝から小雨混じりのあいにくの空模様。

今回の座席は、2階席2列目の中央寄り。前日よりも更に良いポジションだ。

20110815-01

さて演奏の方だが、鳥肌が立つとは、こういうことをいうのだろう。実際のところ、鳥肌が立ちすぎて、本当に鳥になってしまいそうなほどであった。これこそ、真の神業である。

冒頭のピアニシモから、息を呑むような、ただ事ではない雰囲気。怒りの日では、フォルテシモからピアニシモまで、幾度にもわたり金縛りに合う。(以下、言葉にならないので省略。)

マエストロ・ムーティは、例によって、要所以外では、あまりタクトを振らず、オーケストラや合唱の流れに身を委ねる場面が多い。しかし、以前に映像で見た光景と比べ、巨匠としての風格や存在感が格段に増し、アクションも必要最小限度のシンプルなものへと進化していた。フォルテでも過度に煽ったりはしない。そして、ひとたび彼がタクトを振り上げれば、そこにはすさまじいドラマが展開する。また、ピアニシモにおける間の取り方も、これ以上ないくらいの素晴らしさ。永年にわたるウィーンフィルとの厚い信頼関係の成せる技だろう。

ウィーンフィルがこれまた凄い。楽器間のバランス、細かいパッセージの鮮明さ、カンタービレにおける息の長さ、独唱や合唱とのバランスの取り方、すべてが最高水準である。弦楽器のトレモロに、木管楽器が重なり合い、そこに独唱や合唱が加わる場面など、夢のような世界であった。彼らも、本気を出せば、こういうヴェルディを創れるのだ。淡く繊細なウィーンフィルの音色によるところも大きいが、破壊力満載のイタリア系とは違い、内容重視の上品な演奏であった。

独唱では、ソプラノのクラッシミラ・ストヤノワが落ち着きのある、そして心に響く歌唱で、筆者の中では最も印象がよかった。他方、メゾソプラノのオルガ・ボロディナは、高音は詰まり気味、中低音は声が伸びず暗めな響きで、かなり不調だった模様。テノールのセミール・ピルギュは、若くて伸びと勢いのある歌唱でインパクトはあったが、深みが足りず、またピアニシモでは響きがなくなってしまうなど、ムーティの描く謙抑的なヴェルディ「レクイエム」の世界においては、若干異質な感じを受けた。バスのイルダル・アブドラザコフは、存在感のある安定した歌唱。独唱陣によるアンサンブルは、バランスもよく、素晴らしかった。
合唱は、ウィーン国立オペラの精鋭部隊ゆえ、クオリティが高い。響きの充実度は抜群である。

これぞ巨匠ムーティが到達したヴェルディ「レクイエム」の世界。外面的な轟音で虚勢を張るのではなく、スコアと真正面から向かい合い、揺らぐべきところは揺らぎ、締めるべきところは締め、間を取るべきところはキチンと間を取り、全体を通じて、抑制を効かせつつも、厳格に、そして内面へと深く迫るアプローチ。様式感とドラマ性を絶妙にマッチさせた最高の芸術である。この時代のヴェルディ作品の演奏にあたっては、「足し算」よりも、むしろ「引き算」をどうするかを考えることが大事なのかもしれない。筆者の乏しい表現能力では、これ以上は説明ができないが、スコアが昇華した瞬間を体験したひと時であった。

なお、第六曲の前半で、一箇所、オーボエが譜面から落ちてしまったのが心残りだが、連日連夜の演奏ゆえ、やむを得ない。

カーテンコールでは、もちろんブラボーの嵐。にもかかわらず、友人であるウィーンフィルとの協演の結果であることを常にアピールし、カーテンコールもあっさりと済ましてしまう巨匠ムーティの真面目かつ謙虚で真摯な姿、そして格好良さに、感銘を受けた。あの仕草は、決して演技ではなく、本当にそう思っているがゆえの行動だろう。

20110815-02

終演後は、興奮を冷ますために、しばし旧市街をブラブラし、モーツァルトの生家の前にある有名レストラン、ツム・オイレンシュピーゲルで、プロヴァンス風の魚のスープと、白身魚のソテーを。料理の水準は、中の上くらいの印象。値段を考えれば、決して悪くはない。その後、休憩を取るべく、ホテルへ。

続きは、次の記事にて。


(公演情報)

Wiener Philharmoniker 3

PROGRAMM
GIUSEPPE VERDI • Messa di Requiem für Soli, Chor und Orchester

INTERPRETEN
Krassimira Stoyanova, Sopran
Olga Borodina, Mezzosopran
Saimir Pirgu, Tenor
Ildar Abdrazakov, Bass
Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
Thomas Lang, Einstudierung
Wiener Philharmoniker
Riccardo Muti, Dirigent
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[2011/08/18 18:31] | 海外視聴記(ザルツブルク) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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