ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ザルツブルク行き(11年8月)⑤―ミンコフスキ指揮「コシ・ファン・トゥッテ」
8月15日午後6時ころ、ホテルを出て、モーツァルト劇場へ。夜の演目は、モーツァルト「コシ・ファン・トゥッテ」。ミンコフスキ率いるルーヴル音楽隊がピットに入る注目公演である。

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モーツァルト劇場は、響きの感じは、フランクフルト歌劇場のような現代建築の中規模オペラハウスに近い。ピットの音はクリアに立ち上がるし、歌手の声もまっすぐ飛んではくるのだが、どこか不自然さが拭えなかった。今回の筆者の座席は、平土間21列目の上手側。ステージからの距離は遠くはないものの、筆者の座席の3列前からがいわゆる雨宿り席で、音響的には必ずしも良いとはいえない。それゆえ客観的な評価は出来ないが、筆者の座席で聴くと、平土間の上手側の壁からの反射音が強いため、響きに違和感が残る。これが雨宿り席でなければ、おそらく天井から降ってくる音に、壁からの反射音が加わり、立体感のある響きになるのだろう。もっとも、天井も殺伐とした創りであったため、天井からの反射音がどう響くのかは、未知数である。

さて、この日の立役者は、何といっても、ミンコフスキ率いるルーヴル音楽隊である。彼らは、全体を通じて、落ち着きのある上品な音楽を創出するとともに、独唱や合唱とのバランスも、適度にコントロールしていた。決して平板になることはなく、響きの軽やかさやスピード感、リズムの明快さといった古楽器の特徴を存分に発揮していた。弦楽器弾きの筆者としては、スタッカートの付された音符におけるバウンド感や、レチタティーボにおける中身を伴った鋭い和音など、ガット弦ならではともいえる温もりのある響きの数々に心を奪われた。

加えて、これは「コシ・ファン・トゥッテ」という作品の特徴ともいえるが、愉快な音楽の中に、哀しく切実な響きが一瞬だけ介在するという場面が非常に多い。そのような複雑な、あるいは淡い響きは、古楽器オケの場合、より深みのあるサウンドとして完成される。特に印象的であったのは、仕官たちを見送る姉妹とアルフォンゾの三重唱(第10番)。この曲は、それ自体が美しさの極みとして有名だが、今回の演奏は、その陰影を克明に浮かび上がらせることに成功していた。

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キャスト陣は、独唱の場面では、声域によってムラが出るなど、技術的には最高レベルとはいえないものの、アンサンブルにおいては、息のピタリと合った素晴らしい歌唱をみせるとともに、身体を張った全力の演技でオペラ・ブッファの醍醐味を表現していた点で、十分に合格点が付く出来であった。個人的には、デスピーナ役のアンナ・プロハスカに一票。

クラウス・グートの演出による今回の演出は、基本的には2009年の上演の再演であり、これに対しては、既に多くの評があるであろうから、細かいコメントは割愛するが、予備知識なく舞台を観た筆者の第一印象としては、台本をよく読みこんだ良い演出だったと感じた。いちいち字幕を追いかけなくても、舞台を観ているだけで、概ねストーリーが把握できるというのは、演出の王道である。

具体的には、まず舞台に関しては、真っ白なセットと背後に広がる森林という二局の組み合わせを基本とし、貞操堅固な健全な世界は白、浮気の世界は黒ないし森林の土壌という整理がなされていた。衣装も、当初は、オレンジ組はフィオルディリージとグリエルモ、青組はドラベッラとフェランド、悪魔の黒組はデスピーナとドン・アルフォンゾという分類だが、アルバニア人らに告白され、浮気に傾きだすと、フィオルディリージとドラベッラは、それぞれの色を脱ぎ捨て、真っ白のワンピース姿になり、森林の土壌でそれを汚していくという流れ。仕官たちが化けたアルバニア人についても、黒マントを身に纏うという方法で処理されていた。個々の役者に対する演技の付け方も、音楽の流れと合致したもので、納得のいくものであった。

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なお、プログラムノートによれば、今回の演出家であるクラウス・グートは、ザルツブルクで取り組んできたダ・ポンテ三部作において、森林というテーマを統一的なモチーフの一つとして用いているらしいが、筆者は「コシ・ファン・トゥッテ」しか観ていないので、この点についてコメントする立場にない。

個人的には、初日から重いプログラムが続いていたため、このような気軽に楽しめる演目は、気持ちのリフレッシュにも丁度良かった。

終演後は、Wein&Coで、前日夜にめぐり合ったZweigeltの赤ワインを一本購入するとともに、近所のドネルケバブショップでサンドイッチを購入し、ホテルに戻る。そして自室で、ケバブをあてに、購入した赤ワインを飲みつつ、この日記を記載し、就寝。

(公演情報)

Wolfgang A. Mozart • Così fan tutte
ossia La scuola degli amanti
Dramma giocoso in zwei Akten KV 588
Neueinstudierung
In italienischer Sprache mit deutschen und englischen Übertiteln

LEADING TEAM
Marc Minkowski, Musikalische Leitung
Claus Guth, Regie
Christian Schmidt, Bühnenbild
Anna Sofie Tuma, Kostüme
Olaf Winter, Licht
Andri Hardmeier, Dramaturgie
Ramses Sigl, Choreographie
Andi A. Müller, Video
Jörn H. Andresen, Choreinstudierung

BESETZUNG
Maria Bengtsson, Fiordiligi
Michèle Losier, Dorabella
Alek Shrader, Ferrando
Christopher Maltman, Guglielmo
Bo Skovhus, Don Alfonso
Anna Prohaska, Despina
Les Musiciens du Louvre • Grenoble
Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
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[2011/08/18 18:37] | 海外視聴記(ザルツブルク) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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