ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ブレゲンツ・ルツェルン行き(11年8月)①―ブレゲンツ音楽祭「アンドレア・シェニエ」
8月19日早朝、LX771便にてチューリッヒ空港へ。そこからEC193に乗り継ぎ、陸路にてブレゲンツへ向かう。真夏の日差しと、開放的な景色が気持ちを明るくする。

ブレゲンツは、オーストリアの西の端、スイスやドイツとの国境付近に位置する。チューリッヒからは、特急で1時間半余りという距離だ。ドイツ語圏の公共機関は、機能的かつ合理的で、使い勝手がよい。定時運行で、しかも列車や駅が綺麗なので、安心感が違う。

午前11時前にブレゲンツに到着。街中は、まさに音楽祭一色だ。街の人々のやる気が感じられる。この日の宿泊は、街の真ん中に位置する三ツ星ホテルHotel Central。部屋の設備はチープだが、清潔感はあり、ハイシーズンで、しかも値段も手頃となれば、この程度で我慢せざるを得ない。

この日の公演は夜9時開演。昼間の予定はないので、街中を散策することにした。小さな街ゆえ、15分も歩けば、主要な場所には到達できる。まずは、街の看板、標高1064メートルの展望台、プフェンダーにリフトで昇り、ボーデン湖やその周囲の山々を見渡してみた。湖の上空は、晴れて見晴らしがよかったが、周囲の山々の背後には、もくもくと立ち昇る雲が並ぶ。嫌な兆候だ。

まだ時間があったので、湖畔に降り、隣町のリンダウまで国鉄で移動し、そこからボーデン湖クルーズでブレゲンツに戻ってみた。ブレゲンツの舞台は、湖から見てもかなり存在感がある異様な物体だ。

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いったんホテルに戻り、荷物を詰め替えて、音楽祭会場へ。開演前に、会場近くのレストラン、ヴィルツハウス・アム・ゼーで夕食を摂る。トマトクリームスープと川魚のソテー。湖畔のテラス席が売りの大箱レストランゆえ、覚悟して行ったが、料理の質は、予想よりはまともだった。

午後7時半すぎ、レストランを出て、湖畔をブラブラしていると、嫌な予感が的中。湖上に雲の塊が登場し、小雨模様に。すぐに止むも、不安を抱えながら、会場内へ向かった。この日の座席は、前から25列目の中央付近。思ったよりも、舞台が近く感じられる。2ndカテゴリーだが、1stカテゴリーのすぐ隣で、しかも前が出入口であったため、前方の視界を遮るものがなく、かなり良いポジショニングだ。

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午後9時、定刻に開演。今回のブレゲンツ湖上音楽祭の演目は、ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」。フランス革命を背景に繰り広げられる悲劇が、スケールの大きい湖上の舞台でどう描かれるかが最大の関心事である。

湖上に浮かぶ巨大な舞台セットが話題を集めるブレゲンツのプロダクション。今回も噂に違わず、素晴らしい舞台であった。ボーデン湖に浮かぶ舞台は、周囲の景観と相まって、ことのほかロマンチックで美しい。

さて、中身についてだが、湖上に出現したシェニエの巨大な顔は、その存在だけで相当インパクトのある代物だ。第一幕から第二幕への場面転換では、舞台前方の手が上手側に動く。第三幕では、シェニエの顔が開き、その奥に革命裁判所が現れる。シェニエの頭や目、口から役者やダンサーが登場したり、貧民が屋敷に乗り込む場面で貴族らが湖に落とされたり、決闘のシーンでは湖に飛び込む者がいたり、シェニエの護送に小船が使われたり、第四幕の幕切れにおいて上手側の輪の中に水のカーテンが現れたりと、通常の舞台ではおよそ想定できない演出のオンパレードである。

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それゆえ、びっくりの連続で、思わず苦笑いをしてしまうシーンもあったが、奇をてらった印象は全くなく、ストーリーの中に自然に入り込むことができた。演出のコンセプトは、作品に忠実なオーソドックスなもので、ブレゲンツの舞台を活かしきった優れた演出であったといえる。

ブレゲンツでは、オーケストラは同じ建物の中の別室(荒天時のために準備された小さな劇場)で演奏し、その映像がモニターで舞台上や客席に映し出されるという手法が採られている。

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それゆえ、歌手と指揮者、オーケストラの一体感や呼吸を感じることは物理的に不可能であり、この点は割り引いて鑑賞しなければならない。

この日の指揮は、今回のプロダクションの音楽監督であるウルム・シルマーではなく、そのアシスタントのエンリコ・カレッソであったためか、ウィーン交響楽団は、良く言えば、非常に伸び伸びと、別の表現をすれば、腕利きの名手たちが好き放題弾いたという感じで、活力とパワーに溢れているが、音の処理はかなり雑な印象であった。この日を含め、音楽祭は残り3日。一ヶ月間も毎晩のように弾かされてきたことを考えると、こういうガス抜き的な演奏になるのも致し方ないことかと。

キャスト陣では、ジェラール役のスコット・ヘンドリクスが歌唱、演技ともに素晴らしく、観客に訴えかけるものを持っていた。そのジェラールに引っ張られるかのように、マッダレーナ役のノルマ・ファンティーニも、尻上がりに調子を上げ、迫真の歌唱と演技で存在感を示した。シェニエ役のエクトル・サンドバルは、前半は、高音に跳ね上がる箇所で音程が不安定になるなど、いまひとつな感じであったが、後半は、落ち着きを取り戻し、難所の連続を無難にこなせていた。「アンドレア・シェニエ」という作品、音楽的にも台本的にも魅力満載だが、結局のところ、この三役の出来により、上演の質が決まってしまう。そういう意味では、ブレゲンツの舞台に合っているのかもしれない。

客席の入りは、全体の3分の2くらい。両サイドや、各カテゴリーの末席付近には、かなりの空席が見られた。音楽祭も終盤ゆえ、やむを得ないのかもしれないが、良いプロダクションであるため、ちょっともったいない気もした。

終演は午後11時すぎ。休憩無しのノンストップ上演というのも、観客の側からすると、スムーズで良い。幸いにもこの日は、開演中は雨にも見舞われず、気温も下がらなかったため、寒さに震えながら鑑賞するという事態は発生しなかった。

終演後は、そのままホテルに戻り、就寝。


(公演情報)

Musical directors/Enrico Calesso
Director/Keith Warner

Andre Chenier, a poet (tenor)---Hector Sandoval
Carlo Gerard, a servant (baritone)---Scott Hendricks
Maddalena di Coigny (soprano)---Norma Fantini
Bersi, a mulatto maid (mezzo)---Krysty Swann
Countess di Coigny / Madelon, an old woman (mezzo)---Fredrika Brillembourg
Pietro Fleville, a novelist / Dumas, president of the Committee of Public Safety (bass or baritone)---Tobias Hachler
The abbot, a poet (tenor)---Bengt-Ola Morgny
Incredibile, a spy (tenor)---John Graham-Hall
Roucher, Chenier's friend (bass or baritone)---Federico Sacchi
Schmidt, jailer of St. Lazare (bass)---Wieland Satter
Fouquier Tinville, a public prosecutor / A chamberlain (bass)---Richard Angas
Mathieu, known as "Populus", a sans-culotte (baritone)---Adrian Clarke

Prague Philharmonic Chorus
Bregenz Festival Chorus
Vienna Symphony Orchestra
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[2011/08/20 22:52] | 海外視聴記(ブレゲンツ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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