ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ブレゲンツ・ルツェルン行き(11年8月)②―アバド指揮ルツェルン祝祭管「ブル5」
8月20日午前、国鉄に乗り、チューリッヒ経由でルツェルンへ。午後1時前に到着し、Hotel Rebstock併設のレストランに向かう。Lucern Lake Fish soupと、子牛のパイ包みのスペシャリテを選択。スープは、パプリカ風味のコンソメで、淡水魚の臭みを消し、薫り高く仕上げられていた。パイ包みも、スイスならでは。サービスもよく、至福のランチをすごせた。

旧市街の観光名所を一通り見て周り、いったんホテルへ戻る。この日の宿泊は、中央駅から徒歩30秒に位置する三ツ星ホテル、ヴァルトシュテッターホフ。立地は最高で、室内もモダンで機能的な造りだが、交通量の多い通りに立っていることに加え、若者らがカフェで終始大騒ぎをしており、かなり騒々しかった。

午後6時前に、中央駅の隣に位置するカルチャー&コングレスセンター(KKL)へ。この日は、クラウディオ・アッバード指揮によるルツェルン祝祭管弦楽団の演奏会。5年前に日本で聴いた演奏が素晴らしかっただけに、期待が高まる。

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この日の座席は、2nd Balcon Linksの2列目。若干雨宿り気味だが、悪くない場所だ。想像していたよりも舞台が近い。

20110820-02

前半は、クリスティーネ・シェーファーをゲストに迎えたモーツァルトのコンサートアリア集。

会場のせいか座席のせいか不明だが、オーケストラの音像のピントが定まらない。流れは良いが、音に芯が無い印象だ。C・シェーファーも、高度な技術を携えているのはよく分かったが、声にどこか引っかかりがあり、伸びが足りない。高音部や超絶技巧が求められる箇所では力みも感じられる。

曲想、オーケストラの音色、ソリストの歌唱が三者三様で、チグハグな感じのまま、前半は終了。ルツェルン音楽祭も、名前だけのものに成り下がってしまったのかと、悶々とした気持ちで休憩を過ごした。

しかし、後半のブルックナーでは、そんな杞憂は完全に裏切られた。

弦楽器は、人数で21-18-16-14-10という超大編成。冒頭、ピアニシモが徹底された低弦のピッチカートと弦楽器のコラール風旋律が、聴衆の気持ちを舞台上へと強く惹きつける。

全体を通じ、歌に満ち溢れた伸びやかで前向きなブルックナー。横のラインを強く意識した解釈で、強弱のメリハリも徹底されていた。

弦楽器や木管楽器のカンタービレは、明るく美しく磨き上げられており、アッバードがアウフタクトを出すと、そこからは華のある泉が沸き出てくる。他方で、弱音部やスビトピアノの表現も、アッバードの美意識が究められた逸品だ。弦楽器のトレモロは、静寂の中で粒がキチンと立っていて、絶大な演奏効果をもたらしていたし、フレーズの最後など、通常であれば、勢い余って弾き散らかしてしまう箇所でも、フッと消えて、静寂の世界へとつながる。また、ホルンによるコラールが醸し出した静寂は、この世のものとは思えないほどであった。

筆者の愛聴版であるヘルベルト・ケーゲル指揮による無骨な演奏とは対極にある。ブルックナー好きの聴衆の中には、怒り出す人がいてもおかしくはない。しかし、アッバードによる解釈は、一つの演奏スタイルとして筋が通っているし、手垢を取り除き、歌と静寂を引き出すことで、ブルックナーのスコアに描かれた美の世界を具現化することに成功していたといえる。交響曲第5番の場合、このようなアプローチとの親和性が高く、この日の演奏は、アッバードによるこれまでのブルックナーの中でも、一、二を争うほどの完成度だったのではなかろうか。

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ルツェルン祝祭管弦楽団のメンバーは、当初と比べると、だいぶ入れ替わった。今回の中核を成していたのは、マーラー・チェンバー・オーケストラとヨーロッパ室内管弦楽団、そしてオーケストラ・モーツァルトという、いずれもアッバードが手がけてきた若い世代のオーケストラのメンバー。これらの団体は、洗練された音色、室内楽的な演奏スタイル、無国籍という点で共通している。

伝統やしきたりに縛られず、アッバードの音楽を十二分に理解したメンバーらが創り出す音色は、毒がなくニュートラルで、お米でいうと、かなり磨きをかけた純米大吟醸用の酒米に近い印象だ。フォルテなどでは、弦楽器の音色にもう少し馬力があってもよい気がしたが、この点に対するアッバードの回答は、同質なメンバーの数を増やすという手法であり、人数が増えても、複数人の集合体ではなく、一人の増幅になっていたのには、驚かされる。

カーテンコールは、正真正銘のスタンディング・オベーション。ザルツブルク音楽祭と同様、一部には、VIPやスポンサー招待客なども混じっていたが、基本的には、アッバードの音楽を理解し、それを好む観客が集っていたため、会場内は和やかな雰囲気に包まれた。なお、この日の模様は収録されていたので、機会があれば、そちらもチェックしてみようと思う。

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終演後は、しばし湖畔を歩き、ホテルへ戻る。

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(公演情報)

Sinfoniekonzert 7
Sa. 20.8.11 | 18.30
KKL Luzern, Konzertsaal

LUCERNE FESTIVAL ORCHESTRA
Claudio Abbado Dirigent
Christine Schäfer Sopran

Wolfgang Amadé Mozart (1756-1791)
Misera, dove son! - Ah, non son io che parlo / KV 369
Ah, lo previdi - Ah, t'invola / KV 272
Vorrei spiegarvi, oh Dio! / KV 418

Anton Bruckner (1824-1896)
Sinfonie Nr. 5 B-Dur WAB 105

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[2011/08/23 06:05] | 海外視聴記(ルツェルン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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