ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ブレゲンツ・ルツェルン行き(11年8月)④―ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ「魔笛」
8月21日夕方6時すぎ、ハーゲン弦楽四重奏団の演奏会の後、そのままカルチャー&コングレスセンター(KKL)へ向かう。夕方は、ダニエル・ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラによる「魔笛」(セミ・コンサート形式)である。

今回の座席は、4.Galerie linksの中央付近。首から先を右斜め前方に出さないと、十分な視野や音響を確保できないのが辛いが、音は天井まで飛んでくるので、まずまずのポジションだ。

20110821-03

この会場では、4.Galerieの舞台袖付近の座席と同じ高さに巨大な反響板が吊り下げられており、舞台上の音は、この反響板を介して平土間に下りていく設計になっていると思われる。正面奥側の4.Balkonも洞窟のように奥まった位置にあり、音響的に最も優れているのは、結局、平土間の真ん中あたりなのだろうか。不思議なホールであった。

ハーディングは、マーラー・チェンバー・オーケストラの洗練された音色と機動性を活かし、随所に美しい音像を描いていた。オーケストラがオペラ慣れしていないところが新鮮である。

ただ、特に第一幕で感じたことだが、それぞれのパーツを美しくまとめようとするがあまり、音楽的に立ち止まる箇所が多かったように思えた。音楽はそれなりに流れているし、幅広さやシャープさなど、表現力も多彩なのだが、ストーリーが前に運んでいかないのだ。

加えて、ハーディングは、アクセントを強調するときや、音楽をパッと開けさせたいときに、左手を胸のあたりから斜めに鋭く振り下ろす仕草を多用するが、繰り返し強調される若干大袈裟なアクセントは、発音を荒くするし、音楽の流れもぶつ切りにするので、演奏効果や舞台効果の観点からはウケがよいかもしれないが、筆者としては、反面教師的に観ざるを得なかった。

キャスト陣の中で、最も喝采を集めたのは、夜の女王役のマルティナ・ヤンコヴァ。二つあるアリアのいずれにおいても、超絶技巧の披露といった感はなく、全体を音楽的に手堅くキリッと仕上げ、圧巻であった。パパゲーノ役のニール・デイヴィスは、コミカルな演技が板についていて、それ自体も素晴らしかったが、歌唱部分も、軽やかでありながら、バリトンらしい深みのある響きで、存在感を示していたのが印象に残る。タミーノ役のアンドリュー・ステープルズは、豊麗な美声で、この役柄らしい純粋な青年像を描き出していた。アリアは美しく、そして雰囲気も出ていた。ザラストロ役のアラステア・マイルズは、徳の高い賢人というこの役柄の持ち味を上手く出せていて、好演。

他方、パミーナ役のケイト・ロイヤルは、卒なくこなせてはいるものの、声に伸びが足りない。第二幕終盤のアリアはしっとりと聴かせたものの、全体としては印象が薄かった。三人の侍女は、声によるアンサンブルを意識した配役で、健闘していたが、ところどころ音程の収まりの悪い箇所があり、そこが残念。

あまり目立たなかったが、今回の公演を陰で支えていたのは、アーノルド・シェーンベルク合唱団である。高い技術に依拠した格調高い合唱で、歌劇場付きの合唱団とは一味違った純音楽的なコーラスを聴かせていた。

なお、会場内には、開演前から効果音の雷鳴が轟いており、拍手なく、そのまま開演。台詞部分は、腹話術によりなされ、これがドイツ語を解す人々には大ウケだった模様。ちょっとした小道具をピンポイントで活用し、ステージの背後に白黒のイメージ映像を映し出すなど、演出にも工夫があった。

20110821-04

終演は午後9時45分すぎ。予想よりも遅くなった。急ぎ足で会場を後にし、荷物をピックアップして、ルツェルン中央駅へ。そして、国鉄を乗り継いで、午後11時45分ころ、空港近くのホテルへ。
翌朝は、早朝7時すぎのLX786便にてブリュッセルへ飛び、そのまま職場に向かう。


(公演情報)

Sinfoniekonzert 8
So. 21. August 2011 | 18.30 | KKL Luzern, Konzertsaal

Mahler Chamber Orchestra
Arnold Schoenberg Chor (Einstudierung: Erwin Ortner)
Daniel Harding Dirigent
Alastair Miles Sarastro
Andrew Staples Tamino
Kate Royal Pamina
Albina Shagimuratova Königin der Nacht
Neal Davies Papageno
Mari Eriksmoen Papagena
Martina Janková Erste Dame
Wilke te Brummelstroete Zweite Dame
Kismara Pessatti Dritte Dame
Stephen Gadd Sprecher, Erster Priester
Alexander Grove Erster Geharnischter, Zweiter Priester
Vuyani Mlinde Zweiter Geharnischter
Mark Le Brocq Monastatos
Christopher Widauer Erzähler

Wolfgang Amadé Mozart (1756-1791)
Die Zauberflöte KV 620. Grosse Oper in zwei Aufzügen auf ein Textbuch von Emanuel Schikaneder
Dialogfassung und halbszenische Einrichtung von Andrew Staples
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[2011/08/23 06:43] | 海外視聴記(ルツェルン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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