ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ヤーコプス指揮フライブルグ・バロック管―ハイドン「騎士オルランド」
9月2日、午後6時半ころ、パレ・デ・ボザールへ。この日の演目は、R.ヤーコプス指揮フライブルグ・バロック管によるハイドン「騎士オルランド」(セミ・コンサート形式)の演奏会。ブリュッセルでは、8月後半になると、秋の気配が色濃く感じられ、気温も15度前後で落ち着くが、なぜかここ数日は、日差しが強く、25度を超える夏日が続いている。会場内では、パンフレットで扇ぐ姿も見受けられた。

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この日の座席は、Balcon 2正面下手側1列目。舞台からは若干遠いが、セミ・コンサート形式によるオペラ上演ということを考えると、舞台全体を見渡すことができ、音響的なバランスも悪くはないため、値段を考えると納得のいくである。パレ・デ・ボザールの残響は、基本的にはデッドだが、王宮の広間のような香りを伴うため、今回のような演目では、なかなか良い味が出ていた。

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さて、この日の演目であるハイドン「騎士オルランド」は、クララ音楽祭の目玉の一つとして、セミ・コンサート形式により、一回のみ開催された。極めてマイナーな作品ゆえ、演奏される機会もほとんどなく、こうした生演奏に触れられるだけでも貴重である。

この作品については、筆者は、恥ずかしながら、今回初めて耳にしたが、中期のハイドンらしく、非常に凝った作風で、随所にジョークが散りばめられており、音楽的に笑いどころが満載であった。旋律の背後でアクセント的に加えられる動機、あっと驚かせるような転調、延々と続く早口言葉、要所要所で突如として轟く雷鳴、愉快な雰囲気を引き立てるベルの音色などなど、ハイドンという作曲家の持つ「技」と「道具」の多さには、驚かされる。

この日の主役は、何といっても、ヤーコプス&フライブルグ・バロック管だ。
フライブルグ・バロック管は、足腰がしっかりしたサウンドが特徴的と思われる。重心が低めで、表現力の幅の広さは、モダン楽器さながらであった。しかも、これに古楽器特有の響きのしなやかさや軽さが加わるから、その魅力は倍増する。何よりも、スコアに描かれた千変万化な表情やニュアンスを完璧に表現できていたことに、深い感銘を受けた。これは、並大抵の水準では、成し遂げられない偉業といえよう。
筆者のこれまでの経験上、古楽器オケの演奏会では、どうしても「古楽器」による演奏であることが頭から離れず、楽器の違いを意識しながら演奏を鑑賞してしまう傾向にあったが、今回のフライブルク・バロック管では、「古楽器」による演奏であることを忘れ、純粋に室内オケによる演奏として鑑賞することができた。逆に言えば、この日の演奏がそれだけ板に付いていたということかもしれない。フライブルグ・バロック管は、その名声に違わず、現代最高の古楽器オケの一つであると確信した。
個人的に注目したのは、レチタティーヴォにおいて、チェンバロと一緒に通奏低音を担当したチェロ首席のStefan Mühleisen。モーツァルトのレチタティーヴォと比べると、ステーキのような重量級の譜面だが、その魅力を卓越した技術と表現力をもって、実に巧妙に描いていた。

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歌手陣は、ハイドン流の嫌らしいアーティキュレーションの数々をキチンとこなすとともに、それぞれの役のキャラクターを、歌回しや演技を通じて、的確に表現できていた。中でも、エウリーラ役のイム・スンハエは、伸びのある声とコミカルな演技、そして軽やかにこなす超絶技巧の数々で、聴衆を魅了していた。他方、アンジェリカ役のシーネ・ブンゴードは、声の性質上、霞がかかったような響きで、伸びが足りず、惜しかった。ハイドンの譜面は、巧妙に構築されているがゆえ、記譜を処理するだけでも難しい。セリエとブッファの混ざったこの作品において、超絶技巧の数々を含む旋律を、自然に聴かせ、そして愉しませるには、個々の歌手の実力はもちろん、配役全体としてのバランスも求められ、また、それ相応の準備も必要となる。今回のキャスティングでは、かなり高いレベルでこれが実現されていたといえよう。

演出に関しては、舞台上に椅子を置いただけの簡素なセットであったが、舞台上の空間を上手に活用し、また、セミ・コンサート形式ならではといえようが、オーケストラのメンバーもたびたび演技に参加し、目で見ても楽しめる舞台として工夫されていた。

カーテンコールは非常に沸き、多くの聴衆がスタンディング・オベーションをもって、この日の名演を称えていた。

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(公演情報)

Freiburger Barockorchester

Friday 02.09.2011 19:00
Centre for Fine Arts / Henry Le Boeuf Hall

René Jacobs conductor - Stéphane Degout Orlando (baritone) - Sine Bundgaard Angelica (soprano) - Magnus Staveland Medoro (tenor) - Pietro Spagnoli Rodomonte (baritone) - Sunhae Im Eurilla (soprano) - Victor Torres Pasquale (baritone) - Alexandrina Pendatchanska Alcina (soprano) - Arttu Kataja Licone/Caronte (baritone) - Freiburger Barockorchester
Joseph Haydn, Orlando paladino, Hob. XXVIII:11
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