ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ローマ行き(13年11月)②―ムーティ指揮ローマ歌劇場「エルナニ」
11月30日は、ローマ駐在中の友人とともに、ローマ近郊のワイナリー、Casale del Giglioへ。いわゆる大人の社会科見学だが、オーナーから盛大なおもてなしをいただき、すっかりこちらのワイナリーのファンになってしまった。

12月1日は、前日までの晴天が打って変わって風雨の強い秋空に逆戻り。ローマ三越で土産物を購入し、有名レストラン、ケッコ・エ・カレッティエーレにて、フラスカーティのハウスワインに、ショートパスタのアマトリチャーナと、鮮魚のグリルを合わせ、美味しく頂いたが、付け合わせとして出された前菜が数人分の大盛りで、結果的に高くついてしまったのが残念。

午後4時すぎ、ローマ歌劇場へ。リッカルド・ムーティ指揮によるヴェルディ「エルナニ」。

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今シーズンの開幕演目かつ新演出で、筆者がこれを鑑賞するのは、一昨日に続き二度目となる。発売初日に筆者が確保した座席は、平土間7列目上手より。真ん中よりも少し横に振れたことで、前方の視界が良くなり、マエストロ・ムーティの指揮も十分に視界に入るポジションとなった。

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平土間前方で聴くオーケストラの音色は、オーケストラピットの壁に包まれて見事にブレンドされており、その複雑な味わい深さは、まさに夢のようである。明るく、柔らかく、虹色に輝くキメの細かい色艶は、温かな空間を演出し、舞台上から発せられる声を絶妙にサポートする。本来は1stヴァイオリンが陣取る指揮者の左側を木管楽器が縦一列に陣取るローマ歌劇場の特殊な楽器配置に、明確な意味と効果があることを再確認することができた。

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ところで、一昨日はオーケストラピットでタクトを振るマエストロ・ムーティの指揮姿しか見ていなかったことに気付いたため、今回はちゃんと舞台も観てみた。マエストロが登場するローマ歌劇場の舞台は、台本に忠実であるとともに、目に刺さるような奇抜な演出が皆無であるため、安心して鑑賞することができる。今回のウーゴ・デ・アナによる演出も、古典的でありながら、見えないところでモダンなセンスが隠し味として効いており、完成度が高かった。ポイントを押さえた無駄のない構成は、ヴェルディでは特に引き立つ。舞台装置もオーソドックスなスタイルのものであるが、古臭さや凡庸さを感じさせることはなく、洗練された様式美によって構築されている。役者の立ち位置や細かい仕草にも目配りが行き届いており、観ているだけでシナリオが追いかけられる秀逸な演出プランであるといえる。

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この日の上演においても、音楽の基本的な方向性は、一昨日と同様であった。もっとも、初日と二日目という2回の上演を経たことで、安定感と緊張感が適度なバランスで発揮されるようになり、プロダクションとしての円熟が進んだというのは、良い流れであると思われる。また、一昨日の上演では、マエストロは、どちらかというと、小さめの身振りで、歌手に自由に泳がせる場面が多かったように感じたが、この日は、シルヴァ役にイルデブランド・ダルカンジェロが初登場したということもあり、マエストロが立ち上がって手綱を引き締める場面が多く、その結果として、推進力や躍動感、そして劇性が高まったように感じられた。また、一昨日の上演時に流れに乗りきれていなかったエルヴィーラ役のタチアナ・ セルジャンに対して、マエストロは、冒頭から積極的にアウフタクトを出して、檄を飛ばしていたのが印象的であった。

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キャスト陣に関しては、シルヴァ役が、迫力のあるイルダール・アブドラザコフから、綺麗めのイルデブランド・ダルカンジェロに交替したことにより、役者間のバランスが変わり、舞台全体の流れや各役者の与える印象が相当異なったものになっていた点が興味深かった。一昨日の上演では、シルヴァ役のアブドラザコフが影の支配者としての存在感を発揮し、エルナーニの運命を左右する役回りを果たしていたが、この日の上演では、むしろ国王ドン・カルロが新皇帝カルロ五世としての威厳の獲得に至る過程や、若きエルナーニとエルヴィーラの間の心情描写に、よりスポットが当たるようになったと思われる。もっとも、エルナーニがなぜ最後に自害しなければならないのか、その運命を決定づけた「誓約のモティーフ」と「角笛」の絶対性を印象付けるには、シルヴァ役において、リアルな嫌悪感を呼び起こすほどのアクの強さが欲しかったように感じた。

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この日の上演では、開演前から劇場内が熱かった。週末ということもあり、近郊のオペラ愛好家が多数詰めかけたのであろう(昨年も感じたが、ローマ歌劇場は、曜日によって観客の雰囲気が異なり、平日よりも週末の方が熱気に満ちている傾向にあるようだ。)。幕が終わるごとに劇場内は爆発的な喝采に包まれ、ボルテージは鰻上り。第三幕の合唱曲「カスティーリャの獅子が目覚めんことを」では、桟敷席からアンコールを求める「ビス!」の掛け声が多数飛び、マエストロの判断でアンコールが行われた。アンコールの際に、タクトを振ることなく、舞台上を静かに見つめながら、合唱とオーケストラにエールを送るマエストロの横顔が印象的であった。筆者が座った場所の違いもあるが、各幕のフィナーレや、第三幕以降のスケールの大きさは、この日の上演の方が一昨日を上回っていたように感じられた。

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カーテンコールの盛り上がりは、筆者がこれまでに観劇したローマ歌劇場の舞台の数々の中で、随一のものであった。ブラボーの大合唱とともに、足を踏み鳴らして歓喜する聴衆。マエストロ・ムーティの登場時には、マエストロ自身が驚くほどのブラボーの轟音が鳴り響き、感動的な一体感に包まれていた。

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終演後はホテルに直帰し、ワイナリーで頂いた赤ワインを嗜みつつ、急いでパッキングをする。翌朝4時20分にホテルをチェックアウトし、タクシーでローマ・フィウミチーノ空港へ。さすがにこの時間ゆえ、30分もかからずに空港に到着してしまった。午前6時10分発のLH243便にてフランクフルトへ。約3時間の待ち時間をセネターラウンジで仕事をして過ごし、午前11時30分発のNH204便にて帰路につく。帰りの便は、予定通り、ビジネスクラスにアップグレードできたので、酒食もそこそこに熟睡。12月3日午前7時前に定刻通り、羽田に到着し、自宅に荷物を置いてそのまま出勤。仕事の合間を縫った超タイトスケジュールではあったが、充実した旅程であった。


(公演情報)

ERNANI

Teatro Costanzi
Musica di Giuseppe Verdi

Domenica 1 dicembre, ore 16.30

Direttore: Riccardo Muti
Regia, scene e costumi: Hugo de Ana
Maestro del Coro: Roberto Gabbiani
ORCHESTRA E CORO DEL TEATRO DELL’OPERA
Nuovo allestimento

Interpreti
Ernani: Francesco Meli
Don Carlo: Luca Salsi
Don Ruy Gomez de Silva: Ildebrando D’Arcangelo
Elvira: Tatiana Serjan
Giovanna: Simge Büyükedes
Don Riccardo: Antonello Ceron
Jago: Gianfranco Montresor
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[2013/12/08 14:41] | 海外視聴記(ローマ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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