ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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欧州行き(13年12月)④―ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン「ジルヴェスター・コンサート」
12月30日午前10時すぎ、ICE1545でライプツィヒからドレスデンへ。午後1時頃、宿泊先であるibis Dresden Basteiにチェックイン。安定したクオリティは安心だが、コストパフォーマンス的には可もなく不可もなく。

午後2時すぎ、聖母教会を見学し、Altmarkt Gallery地下のフードコートでアジアンフード(焼きそば)を食す。ドレスデンはレストランに恵まれていないこと、街中に屋台がたくさん存在し、アジアンフードの店も相当数定着していること、連日のドイツ料理で胃腸が疲れていたことから、ドレスデンに到着する前から心は決めていたが、味も悪くなく、胃腸が癒された。ホテルに戻り、仮眠。

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午後7時前、ゼンパーオーパーへ。クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるジルヴェスター・コンサート。ゲストにルネ・フレミングとクラウス・フロリアン・フォークトを迎え、20世紀前半に作曲されたドイツ・オーストリアのオペレッタや映画音楽及びウェスト・サイド・ストーリーをはじめとするアメリカ音楽の名作が採り上げられた。

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筆者が確保した座席は、2列目中央。一般発売開始後に劇場のオンラインチケットをチェックしていたら、たまたまこの場所が一つだけ空いていたので、即買いした。劇場内は、右を見ても左を見ても後ろを見ても日本人多数。代理店の営業力はなかなかなものである。

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プログラム前半は、ドイツ・オーストリアのオペレッタや映画音楽を8作品。最初に演奏されたパウル・リンケの喜歌劇「グリグリ」序曲では、弦楽器の前列と後列の間にレスポンスの温度差があり、凝縮度が今ひとつであった。また、続くハンス・メイの「歌がひとつ、世界を巡る」では、この日、不調であったフォークトの歌唱が全くの不発で、気まずい雰囲気に。しかし、フレミングにより歌われたロベルト・シュトルツの「君こそは我が心と魂の君」で、会場の空気が入れ替わり、その後は、曲の進行とともに、一体感が高まってゆくのが感じられた。エドゥアルト・キュンネケの「どこかのいとこ」間奏曲では、生真面目なドイツ風の演奏であったが、ティーレマンが煽ると、ドイツ人としての血が騒ぎ出し、重戦車が猛進するかのような迫力があった。そして、エドゥアルト・キュンネケ「私はただの貧しい旅職人」とロベルト・シュトルツ「二人のハートはワルツを刻み」では、柔和なニュアンスに富んだ歌唱とこれに寄り添うオーケストラの音色が絶品であった。レオ・ロイクス「星々は瞬く」において弦楽器が醸し出す気品に富んだ艶やかさは、弦楽器冥利に尽きる。パウル・アブラハムの「ハワイの花」で、フォークトと合唱の包み込むような歌唱により、会場内の空気がよい感じで緩むと、前半の締め括りは、パウル・リンケの「ベルリンの風」。定番中の定番であり、客席のノリは良かったが、演奏者側がやや醒めていて、そこそこの盛り上がりにとどまった。この曲に関しては、ベルリン・フィルのヴァルトビューネの印象が強いので、ついつい比べてしまう。シュターツカペレ・ドレスデンによる演奏には、細かいフレージングの端々に職人的な味わいが感じられ、作品を鑑賞するという意味では、甲乙付けがたいが、作品の性格上、盛り上がってナンボという面もなくはない。

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プログラム後半は、アメリカン・プログラム。ドイツ人によるドイツ人のためのドイツ的な演奏。「アメリカのドイツ人」という表現がピタリと当てはまる。色気も揺らぎもなく、またリズム感に多分に違和感を覚えるが、生真面目に頭拍をカウントする頑固な演奏スタイルで聴くジャズやミュージカルも、ドレスデンのジルヴェスターであることを踏まえると、悪くはないだろう。最初に演奏されたガーシュインの二作品及びバーンスタインのウェスト・サイド・ストーリーから「マリア」に関しては、肩の力が抜けない堅苦しさがあったが、フレデリック・ロウによる「マイフェアレディ」から「夜通し踊っていたかった」で、フレミングが冴え渡る演技力と表現力で観客を沸かせると、バーンスタインのウェスト・サイド・ストーリー「トゥナイト」による締め括りに至るまで、温かい雰囲気でステージが進行した。

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アンコールとして用意されたのは、事前に発表済みの四曲。リヒャルト・タウバー「あなたは私の世界」におけるフォークトの渾身の歌唱には、会場内から大喝采が湧き上がる。これには、不調であることを苦々しく感じていたはずの本人も救われたのではなかろうか。続く二曲では、フレミングの巧みなステージングで大いに盛り上がり、最後はヨハン・シュトラウス2世「ザクセン甲騎兵行進曲」で堂々と幕が閉じられた。

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この日の立役者はフレミングである。役者としての表現力、そしてステージング能力の高さは、天才的だ。華のあるチャーミングな立ち振る舞いは、とても若々しく、年齢を全く感じさせない。高音を甲高く張る箇所では、年齢相応に若干の緩みも瞬間的に垣間見られたが、それを立て直す底力が半端なく、普通に聴いていたら気がつかなかったであろう。また、不調のフォークトも、歌っている姿にはそうした様相を覗かせることはなく、前向きに少しでも良い歌を届けようという真摯な気持ちに溢れていて、観客の共感を呼んでいた。フレミングとのデュエットを最も楽しんでいたのは、フォークトかもしれない。

ティーレマンは、いつものティーレマン節全開。フレミングが歌っているときなど、フレミングの方に顔を接近させすぎて、今にも野獣が歌姫に襲いかかるのではないかという有様。「トゥナイト」では、愛を語り合う二人のツーショットに、横からティーレマンの顔がヌーっと出てくるので、観ているこちらが吹き出していまいそうであった。ともあれ、全般的に、仕込みの達人ティーレマンらしい演奏で、その計算高さが嫌らしいが、絶妙なタイミングでの煽りに天性も感じられ、人気の秘密が窺われた。とりわけ、歌に合わせるときの捉え方が、数学でいうところ微分積分の発想に近いところがあり、こういう分析的・積算的な感性がドイツ的な作風や演奏スタイルの根源にあるのだろうと勝手に納得した。

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シュターツカペレ・ドレスデンによるアンサンブルは、弦楽器による細かいパッセージには不安がよぎるが、歌に合わせたり、演劇的なムードを盛り上げたりするセンスには長けており、シンフォニー・オーケストラとの違いは歴然としていた。生真面目で面白みに欠ける面もあるが、ティーレマンとの相性もよく、ジルヴェスター・コンサートとしては成功していたのではなかろうか。

ドレスデンの街は、午後10時には寝静まろうとしていた。こうなるとホテルのバーに行くくらいしか選択肢はない。翌朝が早いため、終演後はホテルに直帰して、一杯引っ掛けた後、すぐに就寝。


(公演情報)

Silvester Konzert der Staatskapelle Dresden
Montag 30.12.13 20 UHr

Christian Thielemann Dirigent
Renée Fleming Sopran
Klaus Florian Vogt Tenor
Sächsischer Staatsopernchor Dresden
Einstudierung: Pablo Assante

《Programm》
Paul Lincke (1866-1946)
Ouvertüre zur operette »Grigri« (1911)

Hans May (1886-1958)
»Ein Lied geht um die Welt« aus dem gleichnamigen Film (1933) (Klaus Florian Vogt)

Robert Stolz (1880-1975)
»Du sollst der Kaiser meiner Seele sein« 2 aus der operette »Der Favorit« (1916) (Renée Fleming)

Eduard Künneke (1885-1953)
Intermezzo aus der »Tänzerischen Suite« für eine Jazzband und großes orchester op. 26 (1929)
»Ich bin nur ein armer Wandergesell« aus der operette »Der Vetter aus Dingsda« op. 13 (1921) (Klaus Florian Vogt)

Robert Stolz
»Zwei Herzen im Dreivierteltakt« aus gleichnamigem Film (1930) bzw. gleichnamiger operette (1933) (Renée Fleming, Klaus Florian Vogt)

Leo Leux (1893-1951)
»Es leuchten die Sterne« aus dem gleichnamigen Film (1938)

Paul Abraham (1892-1960)
»Blume von Hawaii« aus der gleichnamigen operette (1931) (Klaus Florian Vogt, Sächsischer Staatsopernchor)

Paul Lincke
»Berliner Luft«, Marsch aus der gleichnamigen operette (1904) bzw. der operette »Frau Luna« (1899 / 1922)

George Gershwin (1898-1937)
»The Lorelei« aus dem Musical »Pardon My English« (1933) (Renée Fleming, Sächsischer Staatsopernchor)
ouvertüre zum Musical »Strike Up the Band« (1927)

Leonard Bernstein (1918-1990)
»Maria« aus dem Musical »West Side Story« (1957) (Klaus Florian Vogt)

Frederick Loewe (1901-1988)
»I Could Have Danced All night« aus dem Musical »My Fair Lady« (1956) (Renée Fleming)

George Gershwin
»Dancing in the Streets« aus »Pardon My English« (Sächsischer Staatsopernchor)

Kurt Weill (1900-1950)
»Foolish Heart« aus dem Musical »one Touch of Venus« (1943) (Renée Fleming)

Leonard Bernstein
»Tonight« aus »West Side Story« (Renée Fleming, Klaus Florian Vogt)

ZUGABEN
Richard Tauber (1891-1948)
»Du bist die Welt für mich« aus der operette »Der singende Traum« (1934) (Klaus Florian Vogt)

George Gershwin
»Fascinating Rhythm« aus dem Musical »Lady, Be Good!« (1924) (Renée Fleming)

Irving Berlin (1888-1989)
»Anything You Can Do« aus dem Musical »Annie Get Your Gun« (1946) (Renée Fleming, Klaus Florian Vogt)

Johann Strauß Sohn (1825-1899)
Sachsen­Kürassier­Marsch op. 113 (1852)
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[2014/01/02 19:52] | 海外視聴記(ドレスデン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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