ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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イタリア行き(14年3月)②―ルスティオーニ指揮スカラ座「イル・トロヴァトーレ」
3月7日午前8時55分、ローマ・ティブルティーナ駅からItalo9920にてミラノ・ポルタ・ガリバルディ駅へ。所用時間3時間20分。Primaの座席に乗車したが、想像以上に振動が大きく、あまり落ち着かない。車輌の綺麗さとサービス面で、イタリア国鉄よりはだいぶマシだが、総合評価としては、可もなく不可もなく。

午後1時前に宿泊先のウィンザーホテル ミラノへ。地下鉄リパブリカ駅からすぐの4つ星ホテルだが、内容的にはせいぜい3つ星レベルである。ミラノのごく普通のビジネスホテルの域を超えない。次回は別のホテルを選ぶであろう。

ランチは、ポルタ・ヴェネツィア駅から徒歩5分のResttorante Calaluna(レストランテ・カラルーナ)。注文したのは、定番メニューであるAntipasto CalalunaとLinguine ricci di mare。ここのウニのリングイネの美味しさは格別。2年半前にも訪れたことがあるが、今回も前回の印象通りの充実した食事を愉しむことが出来た。

ホテルに戻り、しばしの休息の後、午後7時半頃、ミラノスカラ座へ。ダニエレ・ルスティオーニ指揮による「イル・トロヴァトーレ」。

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筆者が発売初日に確保した座席は、Platea Fila F n.1/Sin。平土間6列目左端。歌手の声は飛んでくるが、オーケストラの左右のバランスは悪い。

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この日の上演に関しては、良くも悪くもスカラ座らしい「ふつう」の公演であった。潜在的な技術力の高さと圧倒的なパワーに関しては、疑う余地はない。ヴェルディの演奏にあたっては、ここのオーケストラの上手さは段違いだし、大人数による安定感抜群の輝かしい合唱の魅力は、他では味わえない。今回は、ルスティオーニが余計なことをしなかったため、スカラ座の音色そのものが鳴り、自分の耳のポジションを確認するという意味では、一応得るものはあった。

しかし、作品の上演という観点からは、それぞれのベクトルがバラバラの方向を向いており、劇としてのまとまりはあまり感じられなかった。第四幕になって心の通い合ったアンサンブルがようやく垣間見られたが、第一幕から第三幕までは、一体感を欠いた微妙な空気が舞台上を支配し、居心地が悪かった。歌手たちは、自分の見せ場で力を披露することのみに専念しており、ガラコンサートのようであったといっても過言ではない。そうした悪い空気を何とかよい方向へと引き戻した第四幕のレオノーラのアリア、マリア・アグレスタによる心に訴えかける歌唱が、この日の上演における唯一の救いであったように思われる。もともとは、ルーナ伯爵をレオ・ヌッチとマッシモ・カヴァレッティがダブルキャストで上演するということで話題になった今回の再演。この二人が相次いで降板したことで、プロダクション全体の士気が大きく損なわれてしまったようだ。

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キャスト陣自体は、充実のメンバーだった。マンリーコ役のマルセロ・アルバレスは、明るく伸びのある美声で、力強さから繊細さまで巧みに描き分け、最初から最後まで余裕の表情でこの難役を歌いきった。この作品のキーを握るアズチェーナ役には、ユカテリーナ・セメンチェクが配され、抜群の安定感と表現力で、作品全体の流れを牽引した。この二名の歌唱からは、明確な呼吸と表情が感じられるので、基本的にやる気のなかったオーケストラからも、この二名が歌うときに限っては、前向きな自発性が窺われたのが興味深かった。レオノーラ役のマリア・アグレスタは、前半はいま一歩であったが、第四幕で化けたので、結論としては悪くなかった。フェルランド役のユン・クワンチュルも与えられた役回りを無難に果たす。ルーナ伯爵役としてレオ・ヌッチの代わりに登板したフランコ・ヴァッサロは、破綻はなかったものの、肝心の第二幕のアリアでふらついてしまった感もあり、やや見劣りしてしまった。

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オーケストラは、第一幕など全くやる気が感じられず、どうなることかと思ったが、第二幕の幕切れでは、ようやくエンジンがかかって一応のクライマックスを構築し、第三幕以降も、徐々に気持ちがのり、最後はそれなりの仕上がりにはなった。しかし、この日の上演において、彼らが持つ本来の力の3割くらいしか出していないことは、前述のとおり。特に第一幕から第三幕までは、オーケストラピットの中からは、舞台上の歌手と一緒に音楽を創ろうという雰囲気がまるで感じられず、仕事人に徹した白けた表情であった。各奏者が周囲にあまり気を使わず適当に流し運転をしている箇所も散見され、通常であれば起こるはずのない時差がピット内で頻発していたのも問題。快速テンポの箇所で、幾度にもわたってホルンセクションの後打ちが八分音符一個分遅れて聞こえてきたのは、筆者の今回の座席の問題なのであろうか。

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ルスティオーニの指揮に関しては、一生懸命頑張っていることは伝わってくるものの、オーケストラからはあまり相手にされておらず、空回り気味。オーケストラにやりたい放題やられてしまったという感もある。また、各アリアのカバレッタで、アウフタクトに力が入りすぎ、導入のテンポが安定せず、前のめり気味になっていたのも若干ながら気になった。速めの展開で緊迫感を演出したいという意図もわかるが、歌い手の呼吸に合わせた余裕がないと本末転倒である。今回は、スカラ座の音色を邪魔しなかったという意味では、一定の評価は得られたであろうが、スカラ座の指揮台に立つだけのオーラは備わっておらず、まだまだこれからというところであろう。

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ウーゴ・デ・アナの演出は、巨大な舞台セットとともに、伝統的な設定で、見応え十分ではあるが、新演出から13年あまりが経過し、演出プランとしてやや鮮度を失いつつあるようにも感じられた。

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カーテンコールでは、それぞれの歌手に対して大きな喝采が贈られていたが、個人的にはあまり盛り上がれない一夜であった。

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終演後はホテルに直帰し、就寝。

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(公演情報)

Il trovatore
Giuseppe Verdi
Produzione Teatro alla Scala

7 Marzo 2014 ore 20:00

Direttore: Daniele Rustioni
Regia, scene e costume: Hugo De Ana
Luci: Marco Filibeck
Movimenti coreografici: Leda Lojodice
Maestro d’armi: Renzo Musumeci Greco

Il Conte di Luna: Franco Vassallo
Leonora: Maria Agresta
Azucena: Ekaterina Semenchuk
Manrico: Marcelo Álvarez
Ferrando: Kwangchul Youn
Ines: Marzia Castellini
Ruiz: Massimiliano Chiarolla
Un vecchio zingaro: Ernesto Panariello
Un messo: Giuseppe Bellanca
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[2014/03/16 15:14] | 海外視聴記(ミラノ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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