ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ヴィト指揮ベルギー国立管―定期演奏会(11年9月)
9月15日、午後7時半ころ、パレ・デ・ボザールへ。ベルギー国立管弦楽団の定期演奏会が開催された。作曲者、指揮者、ソリストの全てがポーランド人というポーランド・プログラムである。

この日は、Balcon 2は閉鎖され、聴衆は入れられていなかった。しかも聴衆の入っているブロックでも6、7割程度の入りであったため、空席がかなり目立っていた。筆者に割り当てられた座席は、Balcon 1の上手側サイド2列目後方であったが、1列目に誰も座っていなかったため、開演直前に移動した。場所としては、先週ロンドンフィルを聴いた座席の対面だが、前回の3列目と異なり、今回は1列目であったこと、また列に換算して6列分ほど後方であったことなどが影響してか、響きのまとまりやバランスが良く聞こえた。平土間席の中でも、後方の一段上がったブロック(Corbeille)は満席であり、また前方でも1stカテゴリーと2ndカテゴリーの境目付近(Fauteuils ZetelsのE列からL列の中央寄り)に聴衆が集中していたことを踏まえると、その辺りがこのホールのスポットなのかもしれない。

さて、一曲目は、グレツキ/クライネス・レクイエム。1993年に作曲されたこの曲は、同種音型の反復を基調とした四楽章構成の作品で、弦、木管、金管それぞれ各パート1人、それにピアノと鐘が入るという室内楽編成により演奏される。第一楽章Tranquilloは、静かなピアノ独奏と背後で鐘が鳴り、そこに2台のヴァイオリンが美しい旋律を織り成すという開始だが、オクターブの鐘のピッチが合っていなかったこと、またヴァイオリン2台の響きが薄かったことから、グレツキの想定した響きが再現できていたかは疑問だ。緊張感のある粗野な響きで始まる第二楽章Allegro Impetuoso―Marcatissimoや、滑稽な感じの第三楽章Allegro―Deciso Assaiも、演奏者側が非常に事務的で、音楽に対する共感があまり窺われない。第四楽章Adagio Cantabileに至ってようやく「悲歌のシンフォニー」に見られたような宗教的な安らぎが窺われるようになったが、この日の演奏からは、この作品の良さは十分には感じられなかった。

二曲目は、ポーランド人の若手ピアニスト、ラファウ・ブレハッチを迎えて、リスト/ピアノ協奏曲第2番。第1番ではないところが心憎い。

ブレハッチは、すごいピアニストだ。ホールの響きとオーケストラのサウンドのいずれをも味方につけ、それらを融合しながら、自らの音楽を展開することに成功していた。粒はクリアで煌びやかだが、キンキンするような耳障りな打撃音は全く聴こえてこない。余韻の種類も多彩で、しかもデリケートで、柔らかい。このホールでこれだけのニュアンスを醸し出せたことに驚愕を覚える。オーケストラとの掛け合いにおいても、双方の響きの方向性が揃っており、まるで二台のピアノが対話をしているように聞こえてきた。技術をひけらかすわけでもなく、過度のパフォーマンスを伴うわけでもなく、真摯かつ謙虚に音楽に向かう姿勢は、非常に好印象であった。

ベルギー国立管も、パレ・デ・ボザールを本拠地とするだけあって、このホールにおける鳴らし方をよく心得ている。弦楽器は、力むことなく、軽いタッチで、しかも駒から若干遠めの位置で運弓することにより、角が取れたマイルドなサウンドに仕上がり、柔らかい響きが舞台上からふわりと立ち上がる。そのベールの中から、色彩感のある木管楽器が明るく浮かび上がり、また金管楽器や打楽器も、適度のバランスで登場する。その結果、指揮台の上空でブレンドされた響きは、一方では、平土間前方座席にダイレクトに向かい、他方では、天井を介して平土間後方座席に降ってくるという理想の音像が出来上がる。筆者個人として、ようやくこのホールの特徴がつかめてきた気がした。

残念だったのは、協奏曲の演奏中、後方座席の方から、補聴器の装着ミスによるノイズが絶えず聞こえていたこと。このノイズのせいで、ピアノの余韻の愉しみの大半が失われてしまった。こういうトラブルは、万国共通のようだ。

20110915-01

休憩を挟み、三曲目は、ルトスワフスキ/管弦楽のための協奏曲。

職場の同僚であるマダムの誘いで、平土間前方の座席に移動。前から6列目であったが、生の音が直接的に聞こえてくることはなく、印象としては、サントリーホールの1階席の12列目くらいで聴くことができる音像に近かった。舞台上に立ち上がった響きの塊が正面からズンと迫ってくるような感じで、音の分離もそれなりに良く、ステレオ効果も楽しめた。

この作品は、バルトークの影響を強いといわれるが、バルトークに比べると明るく開放的な印象を受ける。オネゲルを窺わせるような響きも見られた。

ベルギー国立管による演奏は、良くも悪くもベルギー風。肩の力が抜けていて、音楽が高揚する場面でも、かぶりついたり、顔を赤らめることはなく、あくまでも淡々と。熱くなったり、アグレッシブになったりすることは、皆無。でも、個々の技量は結構高く、決め所はキチンとまとめてくる。個人主義の集合体ゆえ、たまに縦の線が乱れるが、そういう場面でも、演奏者側に焦りはなく、到達すべきポイントに予定調和的に収束する。フランスのオーケストラに近い雰囲気もあり、色彩感も十分に醸し出されるが、ファッショナブルなわけでもなく、たまに野生的な響きも聴こえてくるところが面白い。指揮者のアントニ・ヴィトの指揮姿は、孤軍奮闘といってもよい感じであったが、これはこの地では別に珍しいことではなく、変に納得した。

20110915-02

終演は午後10時。この日は、珍しく星空が広がるよい天気であった。同僚のマダムのご夫妻とともに談笑をしながら、アパートまで徒歩で帰宅。


(公演情報)

National Orchestra of Belgium
Sortilèges cristallins

Thursday 15.09.2011 20:00
Centre for Fine Arts / Henry Le Boeuf Hall

Antoni Wit conductor
Rafal Blechacz piano

Henryk Mikolaj Górecki, Kleines Requiem für eine Polka, op. 66
Franz Liszt, Piano concerto no. 2, S. 125
Witold Lutoslawski, Concerto for orchestra
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[2011/09/20 02:39] | 海外視聴記(ブリュッセル) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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