ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ノリントン指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ
9月16日、午後8時前に、パレ・デ・ボザールへ。ロジャー・ノリントン指揮マーラー・チェンバー・オーケストラによる演奏会。クララ音楽祭の最終日である。

この日の座席は、平土間中央の前から5列目。舞台からの距離がやや近いが、室内オーケストラであれば、問題はないだろう。

前半は、モーツァルト「イドメネオ」から、序曲、アリアとバレエ音楽。

マーラー・チェンバー・オーケストラは、機動性を発揮してはいたものの、精彩を欠く場面もそれなりに見られ、響きが滲む場面も散見される。内容的にも、ノリントンらしいメリハリづけは加えられているが、それも徹底されてはおらず、実に平板な演奏で、音楽としての一貫性が感じられない。水は綺麗だが、緩い感じのぬるま湯のような演奏。

アリアに関しても、テノールのイアン・ボストリッジは、卒なくまとめたという域を超えておらず、モーツァルトらしい輝きは窺われなかった。

ごく普通のオーケストラであれば、この程度でもよく健闘したと評価されるだろうが、彼らの実力に照らせば、仕上がりがかなり雑であったことは否めない。

これに対し、後半は、目が覚めるような仕上がりであった。

後半の一曲目は、ブリテン「イリュミナシオン」。この作品は、ランボーの詩に基づき、独唱と弦楽器のために作曲されたもので、ブリテン若き日の傑作の一つである。ブリテンは、この作品において、ランボーの詩から得たインスピレーションを、非常に生々しく描いている。詩の文言自体は非常に難解だが、ブリテンの音楽とともに詩に目を通すと、何となく分かった気がしてくるのが不思議だ。

テノールのボストリッジは、身振り手振りも加えながら、一つひとつの場面をダイナミックに表現することに成功していた。無論、歌唱に関しても、フレーズの終わりは丁寧に処理されており、声を張り上げたり、歌い散らかしたりすることはない。幸い筆者の座席は、PAによる増幅の影響のほとんどない場所であったため、息遣いまで含め、細部まで鑑賞することができた。ボストリッジは、前半のモーツァルトでは冴えなかったが、この作品に関しては、少なくともライブで鑑賞する限り、非常によくマッチしていると思われる。

オーケストラも、輝きと色彩感を取り戻し、伸び伸びとしたサウンドでボストリッジをサポートした。「ファンファーレ」からして、中編成の弦楽合奏とは思えないスケールの広がりがあり、「アンティーク」におけるヴァイオリンのしなやかな旋律、「バラード」におけるフレッシュな響きなど、マーラー・チェンバーらしい響きで聴衆を魅了した。

20110916-01

後半の二曲目は、シューベルト交響曲第8(7)番「未完成」。

ノリントンによる様々な仕掛けが見事にはまった名演であった。

彼らは、リハーサルを通じ、不朽の名作の楽譜上に新たな可能性を見出せたのであろう。新たな発見の数々を十分に理解し、心から音楽に共鳴する姿が印象的であった。ノリントンの指揮する演奏を日本で聴いたときは、演奏者側がノリントンの指示どおりに音を鳴らすことに終始してしまっていたため、その作為性に違和感を覚えることも多かったが、今回のように、ノリントンから学んだことを自発的に吸収し、これを自分達の音楽として昇華させることができる団体との協演では、とんでもない音楽に化けるから面白い。

全体を通じ、非常に息の長いフレーズが横軸を貫いており、横の結びつきが強固に描かれる。フレーズ末尾が綺麗に収まるので、フレーズ間のつながりもよい。テンポ設定は速めで、スッキリした構成。柔軟性にも富む。「足し算」と「引き算」のバランスがよく考え抜かれていたのだろう。第一楽章の展開部で、通常であれば見得を切って重くなるところ、テンポを速めて一気に強奏部へと橋渡ししたあたりは、よく計算されていたと感じた。新鮮で、切れがありながらも、デリケートさや歌心に溢れたシューベルトであった。

20110916-02

終演は、午後10時10分。会場は非常に沸いた。


(公演情報)

Mahler Chamber Orchestra
Friday 16.09.2011 20:00
Centre for Fine Arts / Henry Le Boeuf Hall

Roger Norrington conductor
Ian Bostridge tenor

Wolfgang Amadeus Mozart, Arias and ballet music (Idomeneo, re di Creta, KV 366) / Overture - "Vedrommi Intorno", Aria of Idomeneo (Act 1) - Gavotte: Ballo Delle Donne Crestesi (Act 1, No.8A) - Passepied (From Appendix) - "Fuor Del Mar Ho Un Mar In Seno", Aria of Idomeneo (Act 2) - Ballet Music
Benjamin Britten, Les illuminations, op. 18
Franz Schubert, Symphony no. 8, D 759, "Unfinished"
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[2011/09/20 02:55] | 海外視聴記(ブリュッセル) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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