ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ルツェルン・チューリッヒ行き(11年9月)①―バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリン―Mozart&List
9月17日早朝、LX771便にてチューリッヒへ。国鉄を乗り継ぎ、午前10時半にルツェルンに到着。この日の宿泊は、ホテル・レブストック・ルツェルン。先月の訪問時に併設のレストランに感銘を受けたことから、ここに宿泊することとした。午前11時にもかかわらず、部屋の準備が出来ているとのことで、早速チェックインさせてもらった。スモールシングルルームゆえ、設備は三ツ星レベルだが、中庭に面した最上階で、静かであることが嬉しい。スイスの物価の高さを考えると、相対的に手頃な価格で宿泊できる良いホテルといえる。

お昼前に前回の訪問時に見学できなかった氷河公園とムーゼック城壁を見学。その後、有名レストラン、プフィスターン(Pfistern)に行ったが、ここは、これまでの欧州生活の中でもワーストを飾るほどのサービスレベル。昼時にも関わらず、注文が通るのに小一時間、しかも注文内容が間違っている。こちらがクレームを言ったときの対応も非常に好戦的。味は悪くはないが、平凡。にもかかわらず、価格は、日本人の感覚に照らして、想定の2倍以上。再訪はあり得ない。

ホテルに戻り、しばし休憩を取った後、カルチャー&コングレスセンター(KKL)へ。この日は、ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ベルリン)による演奏会。モーツァルトのピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482と、リストのダンテ交響曲が採り上げられた。

この日の座席は、2.Galerie rechts。舞台の真横の席で、バレンボイムの姿を横から観察することができるという意味では、勉強にはもってこいのポジションである。舞台上の生音が直接聴こえるが、音の分離は良く、響きもそれなりに落ち着いて聴こえる。サントリーホールのRBブロックの最前列の音響をベースに、音の分離と生々しさを加えたような感じであった。

20110917-01

前半は、モーツァルトのピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482。バレンボイムによる弾き振りである。

バレンボイムによる独奏は、モーツァルトの演奏の一つの完成形だ。澄んだピアノ、毅然としたフォルテ、随所に見られる微妙なニュアンスなど、熟慮を重ねた結果として生み出される自然でシンプルな音楽。天才の成せる技といえようか。

シュターツカペレ・ベルリンも、ドイツの伝統を感じさせるキチンとした響きで、腰の据わった安定感が頼もしい。響きが滲んだり、機動性を欠いたりする箇所もそれなりに見られたが、総じて悪くない仕上がり。

なお、この日のバレンボイムは、ピアノを弾きながら、オーケストラに対して、手で、そして視線で、的確なアウフタクトを出し、アンサンブルを整えていた。バレンボイムの発するオーラがオーケストラを包み込み、全てがバレンボイムの想定の中で進行していたことに驚かされる。巷には、弾き振りと称しつつも、実際はコンサートマスターが指揮者の役回りを果たすというタイプの演奏が多く見られるが、バレンボイムの下では、そのようなチグハグさは皆無だ。これこそ、真の弾き振りといえる。

第一楽章の冒頭は、意外にも素朴な出だし。抑制の効いた木管楽器のハーモニーが心地よい。バレンボイムらしい折り目正しい演奏スタイルで、深いブレスのカンタービレも織り込まれる。
第二楽章も、冒頭から研ぎ澄まされたピアニシモ。今回の音楽祭のテーマである「夜」をイメージさせる深遠な「静」の世界。響きの移り変わりが異様な緊張感を持って聴衆に迫る。
第三楽章は、ロンド形式だが、過度に楽しげになることもなく、落ち着きのある適度なスピード感。「夜」はさらに深まり、後半は夜想曲を思わせるような色彩感も醸し出されていた。

後半は、リストのダンテ交響曲。

第一楽章の冒頭から大迫力の爆演。ワーグナーを髣髴させる管弦楽の大スペクタル。こういう激情的な場面においては、歌劇場付きオーケストラが醸し出すドラマ性と緊張感が非常にマッチする。もしこれがオペラで、しかも舞台付きであったら、いきなり涙するかもしれない。バレンボイムここにありと言わんばかりの気合いの入った演奏で、一気に惹き込まれた。中間部は、リストらしい非常に詩的なオーケストレーションで、色彩感も十分。音色は地味なのに、色彩感がキチンと出ているところが驚きである。もっとも、たまにバレンボイムがスコアを凝視する(なお、一般論としては、楽譜が完全には頭に入っていない場合に、こうした行動を採りやすい。)箇所があり、そういう箇所で音楽の流れが若干停滞気味であったのが残念。

第二楽章は、マニフィカートをモチーフにした曲だが、バレンボイムは、その宗教的ニュアンスに溺れることなく、純音楽的に事を進める。マニフィカートの台詞を下敷きにしたと思われる弦楽器による旋律は、格調高く歌われ、それゆえに聴衆の心に直接届く。クライマックスで、パイプオルガンの背後から聴こえてきた女声合唱は、まさに天から降り注ぐ光のようであり、ことのほか美しかった。なお、第二楽章の後半は、バレンボイムもスコアを閉じ、暗譜でタクトを振る力演。

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終演は午後8時半前。会場全体が巨匠バレンボイムに対して賛辞を称する中、閉幕となった。

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終演後は、徒歩でホテルに戻る。ライトアップされたカペル橋、そしロイス川周辺の街並みが美しい。

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ホテル到着後は、ホテル併設のレストランで、ビーフコンソメスープとルツェルン湖で捕れた淡水魚のソテー、そしてチーズの盛り合わせ。合わせて、Petite Arvine AOC Valais 2009という白ワインをボトル一本勝負。最後にスイスの地酒シュナプスも。とにかく今日は飲みたい気分なのだ。お料理も前回訪問時の印象を裏切らない秀逸な仕上がり。さっぱりした味付けだが、日本人であれば、この美味さと繊細さは理解してもらえるはずだ。スイスのチーズは、ブラッセルで食すものよりもフレッシュな感じで、これも美味。ルツェルン訪問時には是非とも訪れたいレストランの一つといえる。

午後11時半ころ、残ったワインを部屋で飲みつつ、この日記のドラフトを作成し、就寝。


(公演情報)

Sinfoniekonzert 33
Sa. 17. September 2011 | 18.30 | KKL Luzern, Konzertsaal

Staatskapelle Berlin
Zürcher Sing-Akademie (Einstudierung: Timothy Brown)
Daniel Barenboim Dirigent und Klavier

Wolfgang Amadé Mozart (1756-1791)
Klavierkonzert Es-Dur KV 482

Franz Liszt (1811-1886)
Eine Sinfonie zu Dantes "Divina Commedia" S 109
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[2011/09/20 03:02] | 海外視聴記(ルツェルン) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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