ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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パリ行き(11年10月)②―アバド指揮ルツェルン祝祭管
10月8日正午すぎ、ホテル近くのビストロ・アガペでランチを。5品メニューをチョイス。ここで修行中の吉富力良さんがわざわざ厨房から出てきて親切に対応してくれた。なお、このレストラン、日本人シェフが腕を揮っているとのことでパリ在住の日本人の間で評判だったが、数ヶ月前にシェフが代わったとのこと。どの料理も、見た目は鮮やかで、ベースはしっかりしている印象だったが、それ以上の驚きは特になかった。味のコンビネーションに若干のムラも感じられた。もっとも、コースの価格設定は控え目なので、パリの相場に照らすと、CPは良い部類に入るだろう。サービスは一流で、気分良くランチを終えることができた。

パリ市内をしばし散策し、いったんホテルへ戻る。やっぱりパリは大都会。現代的で機能的なロンドンとも異なり、ファッショナブルで刺激的な街だ。ただ、さすが世界を代表する大都市だけに、全般に道路は広くてそこそこキレイだし、メトロも機能的。同じフランス語圏でも、ブラッセルとは異なり、ここには「サービス」という概念が存在する。もっとも、こういう感想を持つのは、稀有な存在らしいが、ブラッセルに比べれば、まだマシだ。

さて、午後6時ころ、パリに留学中の高校の後輩と待ち合わせて、凱旋門から徒歩数分のアルザス料理のレストランへ。それぞれの近況や欧州生活の話題で盛り上がる。実に久しぶりだったが、お互いにほとんど変わっていないのが面白い。

午後8時半ころ、サル・プレイエルへ。この日は、クラウディオ・アッバード指揮ルツェルン祝祭管弦楽団のパリ公演。ルツェルン祝祭管弦楽団は、この日を皮切りに、パリとロンドンでツアーを行うことになっている。

筆者に割り当てられた座席は、平土間のT列だったが、前の数列が空席であったため、開演直前に、係員の誘導により、2列前に移動(パリでは、開演時に空席であれば、そこに移動してよい、という暗黙の了解がある。そのため、客席の明かりが落ちた時点で、ごそごそと民族の大移動が起きる。)。なお、もともとの座席は、雨宿り寸前の位置であったため、2列前に移動するだけでも、音響はだいぶ改善される。昨日とは異なり、音の分離も良く、まっすぐな音と、天井を介した響きとが、適度にブレンドされた状態で、鑑賞することができた。サル・プレイエルの音響に関しては、色々と言われているが、少なくとも平土間の中央からやや後方にかけての座席であれば、鑑賞に支障はないと感じた。

20111008-01

プログラムの前半は、モーツァルト/交響曲第35番「ハフナー」。アッバードが若い時代に録音した演奏に通ずるような、まっすぐな音楽。明るく開放的なモーツァルトであった。1stヴァイオリンを5プルトに絞ったルツェルン祝祭管弦楽団も、実に冴えた響きで、これに応える。16分音符のキレと煌きは見事。機動性の高さも遺憾なく発揮されていた。ただ、臨時編成のオーケストラゆえ、響きが滲んでしまう箇所が多少見られたのが残念。

プログラムの後半は、ブルックナー/交響曲第5番。ルツェルンにおける8月の名演がパリの場でどのように再演されるかが最大の関心事である。

ルツェルン祝祭管弦楽団のメンバーは、リラックスした表情で、伸び伸びと演奏していたように見受けられた。ただ、ツアー初日ということもあり、8月の名演と比べると、響きの洗練度は幾分後退していた。
また、場所が変わったためか、響きがなかなかまとまらない。演奏者側も、絶えず響きのツボを探っているような感じであった。
会場の雰囲気も、音楽祭期間中のようなピリピリとした空気とは異なり、カジュアルな感じであったため、静寂における集中度と緊張感は薄かった。

楽章別にみると、第一楽章に関しては、8月の演奏と比べると、勢いがあり、より豪快な語り口であった。アッバードによるドライブも、心持ち強めであったように感じられた。ただ、その分、大味な仕上がりになってしまったことも否めない。
この日、最も秀逸であったのは、第二楽章。弦楽合奏による深い趣をたたえたコラール風の旋律が始まると、会場の緊張感は高まり、8月の名演が蘇る。徐々に楽器が重なっていくオーケストレーションであるため、響きを創りやすいのだろう。第一楽章とは異なり、響きにどんどん艶と輝きが増していった。
第三楽章は、スケルツォ主部の提示部では、響きのまとまりがいまいちであったが、再現部では、それも解消され、華やかな響きが広がった。
第四楽章は、悪くない流れだが、他の楽章と同様、響きがなかなか伸びてこない。コーダに入って、ようやく響きが集合し、壮大なクライマックスが形作られた。

終演後は、パリっ子らしく、非常にノリノリ。最後の和音に被さるようなタイミングでブラボーと拍手が始まってしまった。せめて1秒くらいは待って欲しかったが、余韻の乏しいサル・プレイエルでは、そもそも余韻を楽しむという概念が成立しないのかもしれない。

20111008-02

筆者個人としては、カルチャー&コングレスセンター(KKL)で聴いたときとは異なり、舞台からの距離も近く、よりクリアな音像を楽しめるポジションにあったため、色々な発見があり、興味深かった。とりわけ、会場が変わったことによる影響は、筆者が想像していた以上に大きいものであった。音楽は生モノだと痛感した。

会場を後にし、ホテルに戻り、この日記のドラフトを作成して就寝。


(公演情報)

Lucerne Festival Orchestra - Claudio Abbado
Concert de gala
samedi 08/10 2011 21:00

Lucerne Festival Orchestra
Claudio Abbado : direction

Programme
Wolfgang Amadeus Mozart / Symphonie n°35 "Haffner"
Entracte
Anton Bruckner / Symphonie n° 5
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[2011/10/09 09:28] | 海外視聴記(パリ) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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