ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ヴェラー指揮ベルギー国立管―定期演奏会(11年10月)
10月21日午後8時前、パレ・デ・ボザールへ。陽が落ちると、一段と冷えてくる。この日は、ヴァルター・ヴェラー指揮ベルギー国立管弦楽団の定期演奏会である。来賓が列席していた模様で、冒頭に国家が演奏された。

この日の座席は、Balcon 2の中央の頂上。筆者は2週間前にチケットを予約したが、独奏者エレーヌ・グリモーの人気のためか、チケットは、この時点でほぼ完売であり、この場所しか残っていなかった。

20111021-01

この座席は、Balcon 2の屋根が頭上に迫る座席で、しかも前から9列目であるため、さぞかし音響が悪いだろうと予想するも、実際のところは、10月18日の座席と比べると、だいぶマシであった。舞台からの距離感は同様であり、間接音しか聞こえてこないが、座席がホールの中央に位置し、しかも舞台上からまっすぐ飛んで来る音が頭上の屋根伝いに降ってくるため、バランスは悪くはなかった。NHKホール3階席の最前列よりも多少艶感が増した程度の響きであり、費用対効果を考えると、納得はいく。

さて、プログラム前半の一曲目は、ベルギーの現代作曲家、ジャック・ルデュックの「夏の序曲」。

現代曲というよりも、吹奏楽のオリジナル曲に近い雰囲気で、旋律性もあり、切れのよいリズムが愉しめた。ただ、振り返ってみると、具体的な印象はあまり残っていない。

プログラム前半の二曲目は、エレーヌ・グリモーを独奏者に迎え、ブラームスのピアノ協奏曲第1番。

美貌ピアニストとして売り出されて久しいグリモーだが、彼女にはやはり華がある。十八番の作品だけに、全体を通して抜群の安定感を示していた。

グリモーは、輪郭のはっきりした骨太のタッチで骨格を築くが、響きを拡散させず、一つの流れへとまとめあげる包容力を備えている。詩的な語り口も魅力的で、ブラームスらしい孤高の世界観も垣間見られた。とりわけ、第二楽章の深い瞑想は印象的。また、冒頭から厳格なスタンスで一貫していたが、第三楽章の第一カデンツァの直前に至り、これを多少緩め、情熱が迸る瞬間を創出していた点も秀逸であった。第二カデンツァの後は、元のスタンスに戻り、折り目正しく曲を締めくくるところもさすがである。演奏時間が50分にも及ぶ長大な作品ではあるが、集中力を切らせることなく、全体をバランスよく聴かせていたと思う。

ベルギー国立管は、グリモーの相手としては、役不足。軽めの明るい響きが特徴のこのオーケストラは、そもそもブラームスの質感にそぐわない。オーケストラ内で、音程や響きのセンスが共有できておらず、和声感にも乏しかった。第一楽章では、4分の6拍子をそのまま数えてしまっている場面も多く、これでは音楽が流れない。展開部の直前で、軽やかな色彩感をもって独奏と絡み合う場面もあったが、全般を通じ、フレーズ感が短く、停滞気味。第二楽章は、弦楽器を主体とした冒頭の響きは、その後に続く瞑想的な独奏への導入として、よい雰囲気を醸し出していたが、練習番号Aを過ぎ、音量が増して、管楽器が前面に出てくると、ベクトルのバラバラな音の塊が飛び交い、せっかくの沈静な空気が台無しに。第三楽章も、出だしはそこそこだったが、パートが複雑に絡み合うようになると、途端に流れが悪くなった。

何よりも残念だったのは、やはりホールの音響。このホールは、ピアノ協奏曲を聞くには非常に不適な会場だとつくづく思う。筆者の座席も良くなかったが、想像するに、仮に平土間で聞いたとしても、不満は残っただろう。例によって、メゾフォルテ以上は音が舞台上で飽和し、響きが混濁してしまうし、音の分厚い第一楽章では、音の滞留により、重厚なはずのピアノが薄っぺらい響きに成り下がって聞こえた。次回は、木の香りのする柔らかな響きのホールで、彼女の演奏を聴いてみたいと思った。

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なお、ブラームスのピアノ協奏曲第1番の演奏中は、この街にしては珍しく、ほとんど物音がしなかった。それだけ聴衆が演奏に惹かれていたということだろう。演奏後は、前列の熱狂的なファンを中心に、スタンディング・オベーションも起こった。終演後にはCD購入者を対象としたサイン会も予定されていたようで、こういうところは、どこでも同じなのだなと感じた。

グリモーによるアンコールもあり、前半が終了したのは、午後9時半。ここで切り上げて帰っても不満はない充実度ではあったが、辛抱して後半を待つ。なお、予想に違わず、グリモー目当ての聴衆は前半のみで帰ってしまい、後半は2、3割が空席になっていた。

プログラムの後半は、ルーセルの交響曲第3番。

力の抜けたファジーさや、血の騒ぐような躍動感が主体の作品においては、ベルギー国立管は、まさに水を得た魚だ。色彩感のある音色も魅力的で、響きのベクトルもそれなりに合っていた。もちろん、探せば粗は色々とあるが、この手の作品に関しては、頭で聞くことはせず、気楽に聞き流してしまうのがよいだろう。

この日は、プログラムの構成はとても良かったと思われる。ベルギーの現代作品に始まり、フランス人の独奏者によるブラームスをメインに、軽妙なフランス作品で締めるという流れは、筆者好みのプログラミングだ。終演は午後10時20分。翌朝の出発が早いため、急いで帰宅。

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(公演情報)

National Orchestra of Belgium
75th anniversary

Friday 21.10.2011 20:00
Centre for Fine Arts / Henry Le Boeuf Hall

Walter Weller conductor
Hélène Grimaud piano
National Orchestra of Belgium

Jacques Leduc, Summer ouverture, op. 28
Johannes Brahms, Concerto for piano and orchestra no. 1, op. 15
Albert Roussel, Symphony no. 3, op. 42
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[2011/10/25 07:22] | 海外視聴記(ブリュッセル) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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