ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ウィーン行き(11年10月)①―シュナイダー指揮ウィーン国立歌劇場「サロメ」
10月22日早朝、SN2901便にてウィーンへ。この週末は、ウィーンも相当冷え込んでいる。まずは、この日の宿泊先、ポスト・ホテル・ウィーンへ。ここは、普通の3つ星ホテルで、設備も朝食も最低限のレベル。メトロの駅から徒歩2分という立地以外にこのホテルを選ぶメリットはなかった。

午前中は、これまで何度かウィーンを訪れていながら、一度も足を運んでいなかったシェーンブルン宮殿を見学。ハイシーズンではなく、また午前10時台に現地に到着したため、並ぶことなく入れた。筆者が出た頃には観光客で溢れ始めていたので、こういう観光名所に行く際は、早めの始動が大事だと感じた。

午後1時頃、ウィーン中心部に戻り、Singerstr.にあるレストラン、Zu den 3 Hackenへ。フランツ・シューベルトも常連客だったという。一口サイズのターフェルシュピッツと、レバー煮込みに、Zweigeltのオーストリアワインを合わせたが、素朴ながら深みのある味わいで、感銘を受ける。ウィーン料理とブレッツェルとZweigeltの赤ワインの組み合わせは、パーフェクトだった。観光客よりも地元客で大変混雑していて、筆者の後に来店した客は、満席で席につけなかった。ここは予約必須である。

ホテルに戻り、しばし休憩の後、午後7時すぎに国立オペラ座へ。この日の演目は、ペーター・シュナイダー指揮の「サロメ」。カミラ・ニュルンドがサロメ役を演ずる。

20111022-01

この日の座席は、1 Rang Loge Rechts 10の1列目。以前に2 Rangで鑑賞したときと比べると、響きはデットだが、むしろ実際の音色に近い生々しさが感じられた。

20111022-02

さて、公演の方だが、結論からいうと、ニュルンドの独り舞台であった。深く落ち着きのある歌唱は、この日も健在で、彼女の声色がサロメに隠されたある種の気品をも窺わせる。他方で、女性的な愛らしさや、常軌を逸した感情の暴走も、見事な表現力。少女のあどけなさは、チャーミングな演技でカバーされ、7枚のヴェールの踊りにおける色気も十分であった。実演でここまで演じきるのは、並大抵のことではないだろう。ヘロデ役のヴォルフガング・シュミットも、ヨハナーン役のマルクス・マルカルトも、安定感のある非常に充実した歌唱で申し分なかったが、脇役というポジションに収まっていた印象だ。ヨハナーンは名脇役であるべきなので、それはそれで構わないが、ヘロデやその他の登場人物が、演技面でもう少し動けると、印象は変わったかもしれない。

ボレスラフ・バルロクの演出は、古典的で安定感があるが、役者の立ち位置にいまひとつ工夫がないようにも思えた。歌う場所は、常に舞台の中央前方よりで、背後に位置する役者陣も含め、棒立ちになる時間が長かった。

オーケストラは、海外公演組が抜けていたためか、響きの洗練度が十分ではない(なお、全般を通じ、ホルンセクションの充実は特筆に値する水準だった。)。今年のザルツブルク音楽祭における「影のない女」を知っている身としては、むず痒くなる。ヨハナーンが登場し、サロメが彼に求める気持ちに火が付くあたりから、徐々に体温が上がり、クライマックスは盛り上がりをみせたが、他人事といった素振りであった。

それでも、副王が登場する第四場あたりからは、リヒャルト・シュトラウスが描いた巧みな管弦楽の手法の数々が見事に浮かび上がるようになる。そして、7枚のヴェールの踊りが始まると、オーケストラは俄然やる気になり、ウィーンフィルらしい艶やかな響きが戻ってきた。こうして歯車が回りだすと、途端に凄くなるのがこのオーケストラの特徴だ。息の長いフレーズが連鎖し、幕切れに向けて脈々と音楽が流れ出す。優雅なワルツ、豊麗で官能的な陶酔、泣く子も黙る轟音、荒野に広がる沈黙、生々しい摩擦音や打撃音など、「サロメ」の真骨頂が次々と描かれた。

シュナイダーの指揮は、音楽の自然な流れを邪魔しない。ウィーン国立オペラ座の音楽性に対し、足しも引きもしない手堅い指揮振りだが、名歌手が揃い、そして連携が取れていれば、「サロメ」のような作品では、それで十分ともいえる。

「サロメ」は、ウィーン国立オペラ座で、生で鑑賞しておくべき作品の一つだと改めて感じた。リヒャルト・シュトラウスのオペラ作品では、管弦楽の手法の数々がオペラの台本と密接に結び付いているわけだが、舞台上の動きのみならず、オーケストラピット内の動きまでもが、舞台効果として巧みに織り込まれるのを体感したのは、今回が初めてであった。この感覚は、録音からは感じ取れない。また、ウィーンフィルの卓越した技巧とセンスがなければ、このような舞台効果はそもそも生み出されないだろう。

カーテンコールでは、ニュルンドに熱い拍手が送られていた。レパートリーの再演ではあったが、特に後半はなかなかの仕上がりであり、満足度もそれなりに高い公演であった。

20111022-03

終演後は、シュテファン寺院近くのPürstnerでシュニッツェルを食した後、今年5月にも来訪したこだわりのワインバー、V1no55で、オーストリアワインを数杯。分煙でないのがマイナスだが、ここのマスターの真摯で真面目な仕事振りには、惹かれるものを感じる。よい気分でホテルに戻り、就寝。


(公演情報)

22. Oktober 2011 20:00-21:45

SALOME | Richard Strauss
Peter Schneider | Dirigent
Boleslaw Barlog | Regie
Jürgen Rose | Bühnenbild und Kostüme

Wolfgang Schmidt | Herodes
Janina Baechle | Herodias
Camilla Nylund | Salome
Markus Marquardt | Jochanaan
Jörg Schneider | Narraboth
Juliette Mars | Page
Herwig Pecoraro | 1. Jude
Peter Jelosits | 2. Jude
Carlos Osuna | 3. Jude
Benedikt Kobel | 4. Jude
Walter Fink | 5. Jude
Sorin Coliban | 1. Nazarener
Hans Peter Kammerer | 2. Nazarener
Marcus Pelz | 1. Soldat
Dan Paul Dumitrescu | 2. Soldat
Johannes Gisser | Ein Cappadocier
Gerhard Reiterer | Ein Sklave

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[2011/10/25 07:24] | 海外視聴記(ウィーン) | トラックバック(0) | コメント(2) |
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コメント
同じ週末にウィーンにおりました。しかし、バロック・オペラ鑑賞が目的だったので、土曜日に『怒れるオルランド』、日曜日に『セルセ』をアン・デア・ウィーン劇場で。
国立歌劇場のクリムト風舞台セットの『サロメ』は、一度は観賞したいと思っているのですが。レパートリー化しているようなのでいつかチャンスはあるだろう、とレアなバロック・オペラを選びました。
古いプロダクションなので、正面向いて棒立ちで歌わせるような、あまり芸のない演出なのかもしれません。
タイトル・ロールのニュルンドが圧倒的な迫力だったようでご同慶。

MAKのレストラン、インテリアがおしゃれで味もまあまあ、値段は抑え目ですよね。去年、そこで同じランチを食しました。
[2011/10/26 16:13] URL | レイネ #NWeVXXfQ [ 編集 ]
同じ週末にウィーンにいらっしゃったとは、奇遇ですね。しかも、なかなか渋いチョイス。身体が二つあれば、もっと選択肢が広がるのですが。
ブログ拝見しました。着物姿が素敵です。私は今回は、シュトゥルムには出会えませんでしたが、場所を選ぶと見つかるのですね。羨ましいです。
[2011/10/26 18:23] URL | 筆者 #d6foiUVQ [ 編集 ]
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