ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ヤーコブス指揮ベルリン古楽アカデミー―ベートーヴェンとハイドン
11月12日午後8時前、パレ・デ・ボザールへ。三連休の中日は、さすがに空席が目立つ。Balcon 2は閉鎖されていた。

この日は、ルネ・ヤーコブス指揮ベルリン古楽アカデミーによる演奏会。ベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」全曲、ロマンス第2番、そしてハイドンの交響曲第104番「ロンドン」が採り上げられた。

さて、この日の座席は、Balcon 1の上手側サイド2列目。中央ブロックとの境目付近なので、悪くはないはずだが、音の塊が眼前を通り過ぎていくのを脇で眺めるような感じであった。音の分離は比較的良好だが、舞台の上手側に配置されたティンパニとトランペットの響きが刺さることに加え、舞台の下手側に配置されたホルンの響きが若干遅れて耳に入るなど、問題も多かった。

20111112-01

プログラムの前半は、ベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」全曲。序曲を耳にすることはあっても、全曲を実演で聴ける機会はそれほど多くはない。しかも、古楽オーケストラによる演奏ということで、自ずと期待は高まる。

実際に聴いた印象だが、全曲通して演奏される機会が少ない理由が何となくわかる気がした。どの曲も、音楽的な魅力に溢れているし、舞曲としてよく仕上がっていると思われるが、ベートーヴェン特有の熱いパッションを兼ね備えていない。全曲を通じて、ストーリー性に乏しく、作品全体を貫く哲学や主張といったものも感じ取れない。それゆえ、あるテーマについて愚直なまでにこだわり続けた結果として生み出された彼の傑作の数々と比べると、その精神的な深みの点で見劣りしてしまうのだ。今回は、皮肉にも、ベートーヴェンの魅力を裏から再認識することとなった。

さて、演奏の方だが、この扱いの難しい長大な作品を見事に描いていたと思われる。キビキビとした動きや、ズーンと重みのあるフォルテは、初期のベートーヴェンには最適だ。この作品では、室内楽的なアンサンブルが随所に現れるが、ベルリン古楽アカデミーの面々は、個々の持ち味をちょい足ししつつ、その愉しげな雰囲気を創り出していた。また、ベートーヴェンの初期の作品ゆえ、ハイドンやモーツァルトの影響がかなり見られるが、ベートーヴェンらしい転調やアクセント、感情の露呈なども顔をのぞかせる。ヤーコブス&ベルリン古楽アカデミーは、そういったベートーヴェンらしさをくっきりと浮かび上がらせることに成功していた。研究と準備の成果がよく表れていたといえるだろう。音程が定まりきらず、和声が明瞭に浮かび上がらない場面も散見されたが、そこは目を瞑ることとする。

休憩後は、例によって、座席を移動し、平土間席後方ブロック(Corbeille)3列目に陣取る。この場所は、舞台上の音がそれなりの厚みをもってまっすぐ飛んで来るため、このホールの中では、最も音響の良いエリアといえよう。ベルリン古楽アカデミーのような中編成であれば、舞台上で音が飽和することも少ないため、パレ・デ・ボザールでも安心して聴くことができる。それでも、管楽器とティンパニが連続してフォルテを演奏する場面では、音が篭り気味になることもあったが。

20111112-02

プログラムの後半の一曲目は、ベートーヴェンのロマンス第2番。コンサートマスターのベルンハルト・フォークが独奏を務めた。

コンディションの良い座席に移動したため、オーケストラのふくよかな響きを感じることができた。古楽オーケストラ特有の響きは、モダンオーケストラでは浮かび上がりにくいベートーヴェンらしさをクリアに浮き立たせるから面白い。なお、フォークによる独奏は、終始音程が不安定で、聞くに堪えないレベル。これだったら、むしろやらない方が良かったのではなかろうか。

後半の二曲目は、ハイドンの交響曲第104番「ロンドン」。

こうして聴いてみると、ハイドン先生の偉大さを再認識させられる。最後の交響曲は、どこを採っても隙がなく、抜群の安定感を誇る。日頃の研究や準備といった蓄積、そして音楽に対する真摯な姿勢を、そのまま受け入れる包容力もある。

ベルリン古楽アカデミーによる演奏は、東ドイツの伝統を受け継いだ端正で緻密なスタイルで、個人的にも好感が持てる。滑舌のはっきりした骨太な響きで、中低音の馬力も強め。先月にウィーンで聴いたアーノンクール&ウィーンコンチェントゥスムジクスとは、全く毛色が異なる。ドイツ人が取り組むと、こういう響きになるのかと妙に納得した。第一楽章冒頭に現れるオクターブの跳躍で音程に乱れが生じたが、後を引くことはなく、その後は、特に目立った音程の崩れもなかった。全般を通じ、快活でありながら、折り目の正しい、実に見事なハイドンであった。

終演は、午後10時10分。ブリュッセルの聴衆も、彼らの真摯な演奏に感銘を受けたようだ。カーテンコールの拍手にも力がこもっていた。

20111112-03


(公演情報)

Akademie für Alte Musik Berlin
Saturday 12.11.2011 20:00
Centre for Fine Arts / Henry Le Boeuf Hall

René Jacobs conductor
Bernhard Forck violin
Akademie für Alte Musik Beriln

Ludwig van Beethoven Die Geschöpfe des Prometheus, op. 43, Romance for violin and orchestra no. 2, op. 50
Joseph Haydn, Symphony, Hob. I:104, "London"
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[2011/11/13 09:41] | 海外視聴記(ブリュッセル) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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