ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼ管弦楽団―ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」
11月15日午後8時前、パレ・デ・ボザールへ。朝晩は、気温が2度か3度近くまで下がるようになり、肌を刺すような底冷えの空気が支配的になってきた。いよいよ冬の到来か。

この日は、フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼ管弦楽団並びにコレギウム・ヴォカーレ・ゲント及びシエナ・キジアーナ・アカデミーによる演奏会。ベートーヴェンの傑作、荘厳ミサ曲(ミサ・ソレムニス)が採り上げられた。チケットは完売、場内は超満員で、Balcon 2の頂上まで聴衆が埋め尽くしていた。

座席は、平土間5列目の下手側。この場所は、通常のオーケストラ公演であれば、ヴァイオリンばかりが聞こえてしまい、バランスが悪いが、今回のような古楽オーケストラであれば、編成が小さく音色が中央に凝縮するので、音像の偏りはそれほど気にならないし、何よりも、コントラバス越しに独唱や合唱まで見渡すことができるので、オーケストラ、独唱、合唱のそれぞれの息遣いが視覚的にも聴覚的にも感じられ、とても良いポジションであった。舞台からの距離が離れた座席で聞いたとすると、このホールの特性上、もやもやとしてしまい、ここまでビビッドな音色は愉しめなかったであろう。

20111115-01

演奏の方だが、本当に素晴らしかった。心の底から感銘を受けた。

筆者自身の中で、ヘレヴェッヘに関しては、シューマンやブルックナーの録音に窺えるような、ある意味で奇異な演奏といったイメージが強く、変態系だという先入観があったが、これは完全に覆された。この日のミサ・ソレムニスは、王道中の王道を行く超名演。全てが完成された世界の中にあった。筆者の頭は、ぐるぐると掻き回され、そしてその大きな流れに吸い込まれていった。

ヘレヴェッヘの指揮は、年老いたためか、動きが鈍く、打点がわからないどころか、テンポもぐちゃぐちゃ。しかし、オーケストラも合唱も、ヘレヴェッヘの手ではなく顔を見て、そして心を感じて、個々の音を然るべき流れに乗せ、そして、あくまでも自然に、音楽を前へと運ぶ。恣意性や作為性は一切ない。あたかも舞台上空約5メートルの位置に音楽の太い流れが存在していて、各演奏者の音色がその流れにスッと合流していくかのような、そんな予定調和的な美観がそこには存在した。

コンサートマスターが指揮者の代理をするわけでもなく、独唱や合唱の誰かが音頭を取るわけでもない。それでいて、なぜこのような緻密なアンサンブルが構築されるのか、最初のうちは理解できなかったが、この日見聞した限りでは、おそらくは、コントラバス、ホルンないし木管セクションあたりが、上述の太い流れに対して、安定感のある風を送り込み続けており、それらと独唱や合唱がうまくコラボレーションをすることにより、音楽の太い流れが確固たるものとなっていたのだろう。チェロ以上の弦楽器は、その太い流れに乗って、キラキラと瞬く水滴のように、軽やかなタッチで華と輝きを添えていた(なお、筆者個人の中では、彼らのこのようなフランス風の響きの組み立て方がツボであった。ウィーンコンツェントゥスムジクスやベルリン古楽アカデミーにおいて聴かれた方向性とは完全に別物である。)。ヘレヴェッヘの音楽を知り尽くした彼らならではの演奏スタイルといえよう。

独唱も合唱も、これ以上望めないくらいに充実していた。とりわけ、グローリアやクレドの後半に登場するフーガの完成度は、驚異的であった。独唱陣に関しても、声の伸び、響きのバランスともにパーフェクト。

ベートーヴェンは、全てを超越している。「ミサ・ソレムニスって、こんなに面白く、そして偉大な作品だったのか」というのが筆者の率直な印象である。この作品の真価を克明に示すとともに、鳥肌が立つほどの深い感動を与えてくれたこの日の演奏に感謝。

20111115-02

満席のホール内は、ほとんど物音がしないくらいに静まり返った。各曲の演奏後も、しばし静寂の時間があり、とりわけ、終曲アニュス・デイの終了後は、数十秒間の静寂が保たれた。これは、ブリュッセルでは、およそ想定できない異常事態である。この日の演奏には、特別な意味がこめられていたと思うし、聴衆もそれを敏感に察知したのであろう。心に残る至福の1時間半であった。

20111115-03


(公演情報)

Orchestre des Champs-Élysées
20 years of residence

Tuesday 15.11.2011 20:00
Centre for Fine Arts / Henry Le Boeuf Hall

Philippe Herreweghe conductor
Hanna-Elisabeth Müller soprano
Gerhild Romberger alto
Benjamin Hulett tenor
David Wilson-Johnson bass

Orchestre des Champs Élysées
Collegium Vocale Gent
Accademia Chigiana Siena

Ludwig van Beethoven, Missa Solemnis, op. 123
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[2011/11/16 08:41] | 海外視聴記(ブリュッセル) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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