ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ヴェラー指揮ベルギー国立管―定期演奏会(11年11月)
11月18日午後8時前、パレ・デ・ボザールへ。この日は、ヴァルター・ヴェラー指揮ベルギー国立管弦楽団による定期演奏会。発表されていたプログラムは、ワーグナーの「リエンツィ」序曲、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番、ヤナーチェクの「3つのモラヴィア舞曲」と狂詩曲「タラス・ブーリバ」というものだったが、予定されていた独奏者が出演不能になったとのことで、協奏曲がメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲に変更された。

この日も、Balcon 2は閉鎖されていた。それでも、来場者数は、ざっと見た感じでは、開放された座席の5割に満たない状況。かなり空席が目立った。そのため、9月15日の鑑賞時と同様、職場の同僚のいる平土間中央上手側8列目に移動して鑑賞。空席がかなり多かったためか、目の前に並ぶ1stヴァイオリンから生音に近い音が飛んでくる。

20111118-01

プログラム前半の一曲目は、ワーグナーの「リエンツィ」序曲。冒頭から木管楽器のハーモニーのピッチが悪い。弦楽器の旋律からは、彼ららしい香りが感じられたものの、主部に入ってからは、細部において粗が目立つ。1stヴァイオリンの高音域がキンキンと聞こえたのは、座った場所に照らしてやむを得ないにしても、細かいパッセージにおいて、音色が潰れてしまい、摩擦音ばかりが聞こえてきたのは、明らかに問題だ。オーケストラ全体としてのアインザッツが合わないのも相変わらずで、神々しく響くはずのトランペットの音色もかすれ気味。

終盤に見られた「お祭り騒ぎ」的な雰囲気(無論、ワーグナーらしさからは程遠い)は痛快であったが、全般を通じ、技術的な不備が目立ち、残念な結果に終わった。

前半の二曲目は、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。2009年エリザベート王妃国際音楽コンクール第2位のLorenzo Gattoが独奏者を務めた。

Gattoによる独奏に関しては、音色はクリアで、安定感もあった。急な代役であったこと、年齢的にはまだまだこれからという世代であることを踏まえると、ベルギー国立管の定期演奏会の舞台上で立派に弾き切っただけでも十分賞賛に値するといえる。

しかし、音楽的には、学生の発表会における演奏の域を超えていなかった。溜めも揺らしも教科書通り、つまり先生から習った通りの弾き方で、彼自身の音楽の息吹は全く感じられない。アップテンポになる箇所において、浅い呼吸のまま、テンポを上げていく傾向にあり、オーケストラがこれに着いていけない場面もしばしば見られた。技術的には、概ね問題はなかったが、難所といえるいくつかのパッセージにおいて、想定通りのミスが発生し、パーフェクトではなかった。

オーケストラは、死んだ魚の目のような表情のままで、ベルギーの公務員の仕事ぶりそのものであった。バルトークを演奏するつもりであったところ、出鼻を挫かれたという事情に鑑みれば、分からないでもないが。

20111118-02

後半のプログラムの一曲目は、ヤナーチェクの比較的初期の作品、「3つのモラヴィア舞曲」。ラシュスコ舞曲の最後の2曲に、同時期の新曲「エイ・ダナイ」を付け加えたものの管弦楽版である。

この作品は、民俗音楽の影響が窺える初の作品とされる。確かに、この作品では、後期のヤナーチェク作品に見られるような強烈な印象はあまりなく、むしろ、ドヴォルザークに近い牧歌的な雰囲気が支配的だが、透き通った響きが垣間見られるあたりに、ヤナーチェクらしい輝きも見出せるように感じた。

さて、演奏の方だが、「チェラデンスキー」、「のこぎり」、「エイ・ダナイ」の3曲を通じ、この日の演奏は、そうした雰囲気を伝えるものではあったものの、技術的にもアンサンブル的にも、詰めは相当甘く、プロオーケストラの定期演奏会の場に乗せるべき水準ではなかった。リハーサルの時間が足りてなかったのではなかろうか。

後半の二曲目は、ヤナーチェクの円熟期の作品、狂詩曲「タラス・ブーリバ」。同名の小説に基づく標題音楽である。

この時期の作品になると、ヤナーチェクらしい強烈な個性が前面に出るようになる。シンプルさと複雑怪奇さが同居する独特の響きは、いかにもヤナーチェクといえる。

演奏の方だが、残念ながら、ヤナーチェクがスコア上に仕込んだ構造的な面白さを窺うことは出来なかった。愛の場面などの情熱的な旋律や情景は、それなりに巧く描写されていたが、いずれも瞬間芸であり、物語の進行を踏まえつつ周到に構築されたと思われるオーケストレーションの遷移は、ほとんど浮かび上がってこない。技術面は、前曲の「3つのモラヴィア舞曲」に比べれば、多少はマシであったが、いずれにせよ、「とりあえず演奏してみました」という域を超えないレベル。

20111118-03

演奏後は、来場者数の少なさも相まって、客席の拍手はまばら。協奏曲がメンデルスゾーンに変更されたことで、プログラムとしての一貫性も失われてしまい、何とも後味の悪い演奏会となった。個々の奏者は、良いサウンドとセンスを持ち合わせているはずで、しかも、選曲自体は、いわゆる名曲路線とは一線を画す凝った趣向のプログラムが並んでいるがゆえに、定期演奏会の場において、こういうおざなりな演奏に終わってしまったというのは、とても残念なことだ。


(公演情報)

National Orchestra of Belgium
La culture populaire, source d'inspiration

Friday 18.11.2011 20:00
Centre for Fine Arts / Henry Le Boeuf Hall

Walter Weller conductor
Lorenzo Gatto violin
National Orchestra of Belgium

Richard Wagner, Ouverture (Rienzi, der letzte der Tribunen)
Felix Mendelssohn-Bartholdy, Concerto for violin and orchestra, op. 64
Leos Janacek 3 Lachian dances, Taras Bulba
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