ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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ブルニエ指揮ベルギー国立管―定期演奏会(11年12月)
12月2日午後8時前、パレ・デ・ボザールへ。シュテファン・ブルニエ指揮ベルギー国立管弦楽団による定期演奏会である。

筆者の座席は、1 Balconの上手側。舞台に近づいた方が音響は良いようだ。この日は、ストライキの影響で、ブリュッセル市内の交通網が終日壊滅状態だったが、客席はBalcon 2が閉鎖されていたものの、それ以外は8割以上は埋まっていた。この街では、ストライキがあったとしても、普段と何ら変わらない日常生活が送られてゆく。

客席には、子供連れが目立ったことに加え、咳をする老若男女が多く、おしゃべりや物音が絶えない。筆者がブリュッセル市内で体験した演奏会の中でもワーストを飾るほどの騒がしさであった。

結論からいうと、この日は、実に醜かった。

プログラム前半の一曲目は、シューベルト「6つのドイツ舞曲」。プログラムには6つと書いてあったが、実際に演奏されたのは2曲のみ。理由は不明。

響きの腰は据わっていて、柔らかいテイストの中にドイツの片田舎を想起させるような温もりも感じられたが、タテの線が揃わず、和声感が乏しいのは相変わらずで、中途半端な仕上がりだった。

プログラム前半の二曲目は、クリスティアン・テツラフとマリー=エリザベス・ヘッカーを独奏に迎え、ブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲。渋い印象だが、協奏曲の傑作であり、技巧的にも内容的にも高度な完成度を求められる。

さて、演奏の方だが、独奏については、いずれも聞くに堪えなかった。第一楽章からパワープレイに傾倒したアプローチで、弱音部以外は、圧力をかけて汚く押しまくる。かといって、弱音に艶や透明感があるわけでもなく、響きは薄い。これは会場のせいではない。第三楽章は、そもそも譜面が弾けてない。ミスタッチが多すぎ、耳を覆いたくなる。音楽になっていなかったことは言わずもがな。テツラフは、今年5月、共演者が来日を拒否する中、東京に来てソロリサイタルを決行したことで、日本国内でも話題になっているが、少なくともこの日の演奏は、完全に落第点。

オーケストラも、大味で雑。不味いベルギー料理店で、萎びたフレンチフライとともに、肉の塊を焼いただけのステーキを食べさせられているような感じだ。数箇所あった弱音部の演出も、作為的で、脈絡が感じられない。オーケストラの見せ場の一つである第二楽章冒頭の木管アンサンブルも、音程が全く揃っておらず、開けっ広げな響きがその雑な印象を助長した。このオーケストラにブラームスを期待したのが間違いだったようだ。

20111202-01

醜い演奏は、休憩後も続く。プログラム後半は、ラヴェルの作品。プログラム前半の際に、筆者の近くに座っていた親子が終始おしゃべりをしていたため、座席を移動した。

一曲目の「道化師の朝の歌」は、打楽器がドカドカと騒々しいだけで、細部は整理されていない。洗練されていないブラスバンドを聴かされているようだった。

二曲目の「スペイン狂詩曲」は、さらに酷い状況で、華が開くべき箇所でことごとく響きが広がらず、鮮やかな和声の遷移も全く感じられない。細部もグチャグチャ。見栄を切るべき箇所で突如として湧き上がる集中力はさすがだが、瞬間芸にすぎない。

三曲目の「ラ・ヴァルス」は、冒頭はノリノリな感じで音楽の片鱗が感じられたが、譜面が複雑になると、途端に勢いは萎え、公務員的な演奏スタイルに逆戻り。打楽器は相変わらずドカドカと騒々しい。数箇所見られた瞬間芸以外に、緊張感の高まりは生まれず、低調な仕上がり。

やっつけ仕事以外の何物でもなかった。

20111202-02

そして、とどめの一撃は、演奏会の最後。一通りのプログラムが終了した後、フランス語によるアナウンスが入り、のだめ風に着飾った指揮者役の役者らしき人物が指揮台に登場。醜い指揮姿により、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」第一楽章の前半部分が演奏された。万事休す。公開収録であればまだしも、仮にもプロオーケストラの定期演奏会である。もはや、筆者の理解を超えていた。

この日の演奏会は、筆者が過去に鑑賞したプロの演奏会の中でも、ワーストといえるほどの醜さだった。ここまでがっかりさせられたのは、初めてである。馴れ合いとやっつけで乗り切る仕事スタイルは、この街では日常茶飯事だが、こうした意識の低さがこの街における近時の文化水準の低調さの一因になっているようにも思われる。


(公演情報)

Friday 02.12.2011 20:00
Centre for Fine Arts / Henry Le Boeuf Hall

Stefan Blunier conductor
Christian Tetzlaff violin
Marie-Elisabeth Hecker cello
National Orchestra of Belgium

Franz Schubert, 6 German dances, op. posth., D 820 (orch. Anton Webern)
Johannes Brahms, Concerto for violin, cello and orchestra, op. 102
Maurice Ravel Alborada del gracioso, Rapsodie espagnole, La valse
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[2011/12/06 04:44] | 海外視聴記(ブリュッセル) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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