ましましの音楽日記
G.ヴェルディの作品をこよなく愛するオペラ愛好家による音楽日記です。筆者が鑑賞した海外でのオペラやコンサートの模様や、筆者自身が日頃行っている音楽活動などについて、不定期に綴っていきます。
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シュトゥットガルト・ケルン行き(11年12月)①―ハイドシュ指揮シュトゥットガルト州立歌劇場「魔弾の射手」
12月3日朝、ブリュッセル市内は久しぶりの雨模様だった。ブリュッセル南駅からタリスにてケルンへ。そしてICE515に乗り継ぎ、シュトゥットガルトへ。

正午すぎに到着。宿泊先のインター・シティ・ホテルに荷物を預ける。ちなみにこのホテル、駅に直結しているという利便性以外に、メリットは感じられなかった。ガイドブックに掲載されている有名レストランでも感じたが、黙っていても客が入ってくるような店では、殿様商売的な態度が見え隠れすることがある。街自体は、若い活気に溢れていて、良い雰囲気なのだが。

チェックインまでの間、街の中心で開催されているクリスマス・マーケットを散策し、時間を潰した。ウィーンやライプツィヒと比べると、マーケットのラインナップにも、都会の香りが漂う。

夕方、ホテルに戻り、午後7時半ころ、州立劇場へ。この日は、シュトゥットガルト州立歌劇場による「魔弾の射手」。20年以上にわたり再演を重ねているレパートリー演目である。

20111203-01

筆者の座席は、3.Rang中央の1列目。この歌劇場は、客席数が1400席程度と小ぶりなため、舞台との距離が近い。音響に関しては、デッドだが、脚色されない素朴な響きで、ウェーバーのようなクラシックな作品を鑑賞するには丁度良かった。なお、この日は、学生団体が入ったため、客席は結構騒がしかった。

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この日の公演の立役者は、オーケストラである。シュトゥットガルト州立歌劇場管は、地味に上手い。作品を隅々まで知り尽くしている。自信に満ち溢れた彼らの姿には、ドイツ人の誇りがにじみ出ていた。

ウェーバーは、古典派からロマン派への移行期に位置する作曲家だ。「魔弾の射手」のオーケストレーションには、型のはっきりした様式性の強い書法から、後期ロマン派に通ずる雄弁な表現まで、多彩な要素が含まれる。そのため、演奏にあたっては、場面設定とスコアの書法を踏まえつつ、響きの軽重や明暗のバランスに細心の注意を払いながら、一つひとつの場面を描いていくことが求められる。シュトゥットガルト州立歌劇場管は、そうした描き分けを実に適切に行い、お手本のような演奏を展開した。これほど端正で瑞々しい演奏は、そうそうお目にかかれるものではない。

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セクション別にみても、魅力は満載であった。
厚みのある響きが特徴の弦セクションは、ウェーバー特有の刻みやレチタティーボといった伴奏型において、実力と意識の高さをアピール。筆者の座席から目視できた2ndヴァイオリンとコントラバスの首席奏者の弓の動きには、熟練の技が光っていた。また、第三幕ではヴィオラやチェロの独奏の毅然とした美しさが舞台に華を添えていた。
木管セクションは、オーボエが不調だったが、その点を除けば、フレージングのセンスがよく、また伴奏型でも実によい役回りを果たしており、セクションとしての完成度の高さを感じさせた。
「狩人の合唱」のテーマにおけるホルンセクションは、ドイツの王道を行く力強い響きで、技巧的にも完璧。その他、和音や裏打ちといった地味な伴奏型も、素晴らしい仕事ぶりであった。そして、重みと深みのあるティンパニが、オーケストラ全体の響きに奥行きを演出していたことも、注目に値する。

また、台本の進行とともに、緊張感と高揚感が高まり、そして、音楽に深みと透明感が増していくのも、実に素晴らしい。第二幕のアガーテのアリアにおける神秘的な美しさ、第二幕幕切れの劇的な描写、第三幕の活き活きとした晴れやかさは、特に印象に残っている。

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オーケストラと同様、合唱も充実していた。身体全体から発せられる分厚い響きは、さすがドイツである。キャスト陣と同等、あるいはそれ以上のアピール力を持っていた。「狩人の合唱」が駆け足気味になってしまったのが惜しかったが、これは合唱の問題というよりも、指揮者の問題である。

他方、キャスト陣に関しては、特に目ぼしい歌手は見当たらなかったが、バランスの良い配役だったと思われる。とりわけ、カスパール役のトゥオマス・プルシオが良い仕事ぶりをみせていた。悪役の動きが良いと、舞台全体が引き締まる。

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演出は、オーソドックスな構成だが、誰もがイメージするようなドイツ酒場の雰囲気を描いた第一幕や、客席に背を向けて表現されるアガーテのシーンは、王道を行く表現であった。ドイツ人の陽気さを地で行く演技も見応えがあるし、コミカルな表現や銃声などを効果的に織り込むことで、メリハリの効いた舞台に仕上がっていた。個人的に興味深かったのは、第二幕の狼谷の場面。悪魔とのやり取りを行う主人公らの周囲で、メルヘンの世界からやってきたような可愛らしい魔物がウロウロしていたのが、印象的であった。

なお、指揮台に立ったのは、ティモ・ハイドシュという若い指揮者。教科書通りの振り方で、真面目に取り組んではいたが、存在感は薄かった。そもそも、アウフタクトのオーラが弱いため、テンポの変わり目で音楽が迷走してしまう場面が散見される。加えて、キュー出し後のフォローがなく、音楽の潮流に対するグリップが足りないので、着地点が見えず、独唱や合唱のフレーズの末尾が緩んだり転んだりで収まりが悪かった。もっとも、これらは経験の浅い指揮者にはよくみられる傾向であり、反面教師としなければと心に誓った。

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終演後は、Zum Paulanerというビアホールで、ビールとともに、シュトゥットガルトの郷土料理であるマウルタッシェンを。途中、相席となったドイツ人の親子に話しかけられ、ビールを片手に、陽気に会話を楽しんだ。午後11時半頃、ホテルに戻り、そのまま就寝。


(公演情報)

Der Freischütz
Von Carl Maria von Weber

Samstag, 03.12.2011, 19:00 Uhr // Opernhaus

Musikalische Leitung / Timo Handschuh
Regie, Bühne und Kostüme / Achim Freyer

Ottokar / Michael Ebbecke
Kuno / Karl-Friedrich Dürr
Agathe / Michaela Schneider
Ännchen / Pumeza Matshikiza
Kaspar / Tuomas Pursio
Max / Will Hartmann
Ein Eremit / Matthias Hölle
Kilian / Daniel Kluge
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[2011/12/06 04:54] | 海外視聴記(シュトゥットガルト) | トラックバック(0) | コメント(0) |
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